介護業界では、有資格者や経験者の採用がますます難しくなっています。「即戦力を採用したいけれど、応募が来ない」「採用してもすぐに辞めてしまう」といった声も多く聞かれます。実際、介護職の経験者はやりがいを感じつつも、職場環境の悩みから転職を検討しているケースが多くあります。だからこそ、次の職場選びでは「ここなら納得できる」と思える情報が不可欠です。

「採用担当者のための介護求人の極意シリーズ 第6回目」では、有資格者・経験者に響く求人原稿をつくるために、 「魅力をしっかり伝えること」と「不安を丁寧に払拭すること」、この2つの視点からポイントを解説します。

仕事に誇りはある。でも職場選びには慎重になる

介護職の有資格者・経験者は、仕事にやりがいを感じている方が多くいます。リクルートジョブズの調査によると、介護職を選んだ理由として「お客様から感謝されるから(80.0%)」「社会的に価値がある事業だから(76.5%)」「専門性が身につくから(76.0%)」といった回答が上位を占めており、仕事そのものに誇りを持っている人が多いことがわかります。

引用:[業界別レポート]働く人と職場/業界イメージレポート 2019(介護サービス編)

一方で、転職を考える理由として多く挙げられるのが、「人間関係」や「給与への不満」「成長が見込めない環境」といった職場環境に対する課題です。きらケア介護白書2022によると、転職理由の1位は「人間関係が良くなかったから」(33.1%)、次いで「給与に不満があったから」(30.9%)という結果が出ています。また、転職時に最も不安を感じることは「自分に合う職場に転職できるか」(58.5%)であるというデータもあります。

つまり、有資格者・経験者は、「どんな仕事をするか」よりも、「どんな環境で働くか」に注目して求人を見ているのです。求人原稿では、「やりがい」や「専門性の活かし方」などの前向きな情報とあわせて、職場の雰囲気や人間関係、待遇面の納得感が伝わる情報提供が求められます。

「ここでなら、また頑張れる」と思わせる職場情報の伝え方

介護職は、感謝される機会が多く、誰かの生活を支えるという、社会的にも意義のある仕事です。とくに有資格者・経験者の方は、この仕事の価値や達成感をすでに知っているからこそ、「どんな職場環境で、そのやりがいを実感できるか」を重視して求人を見ています。

そのため、「やりがいのある仕事です」といった抽象的な表現では響きにくく、「この施設ならではのやりがいの感じ方」が伝わるような情報――職場の環境や体制、専門性の活かし方を具体的に描くことが鍵になります。

やりがいを実感できる職場をどう表現するか

やりがいを感じてもらうためには、業務内容だけでなく「どんな環境で働くか」も重要な要素です。とくに経験者は、職場の体制やチーム連携、専門性の発揮といったポイントに注目しています。ここでは、職場環境を通じてやりがいを伝えるための表現例をご紹介します。

事例①:社会的意義や地域連携を数字で見せる

「地域の高齢者29名に対し、昨年は延べ4,200件の訪問ケアを実施。独居高齢者の見守りや介護予防にも貢献しており、地域包括支援センターからも連携施設として高く評価されています。」

地域の中で果たす役割が明確になることで、「この施設で働く意味」を実感できます。

事例②:連携の取れたチームケアを描写する

「ご利用者の状態変化に気づいた夜勤スタッフが記録に残し、翌朝のカンファレンスで看護師とケアマネが迅速に対応。チームで支えるケアが実現しており、“一人じゃない安心感”がやりがいにつながっています。」

経験者が気にする「連携体制」や「孤立感のなさ」といった職場環境のリアルが伝わります。

「専門性を活かせる環境」がやりがいにつながる

有資格者や実務経験のある方にとっては、介護職としてのやりがいを感じられるかどうかに加え、自分の持っている知識やスキルが職場でどのように活かせるのかが重要な判断基準になります。専門性を発揮できる環境が整っていれば、それが働く意欲や成長意識にもつながり、応募の後押しとなります。

  • 「認知症対応型ユニットでは、実務者研修修了者が中心となり、非薬物療法の実践にも取り組んでいます」
  • 「褥瘡ケア加算対象のご利用者に対し、月1回の多職種カンファレンスを実施。看護・リハ職との連携を通じてスキルが磨けます」

このように、専門性を活かせる現場かどうかは経験者がとくに注目するポイントです。求人原稿には、その職場でどんな専門的取り組みをしているかを盛り込むと、応募動機に直結します。

経験者は、介護という仕事にやりがいがあることはすでに理解しています。だからこそ、「この職場でなら、自分の力が活かせる」「安心して働ける」と感じられるような、現場環境の差別化ポイントを具体例で見せることが大切です。

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一番気になるのは「人間関係」だからこそ、具体的に伝える

介護職の経験者が転職を考える理由として、常に上位に挙がるのが「人間関係の悩み」です。仕事内容にはやりがいや使命感を持っていても、職場の人間関係が原因で退職を選ぶケースは少なくありません。前職で孤立感や相談できない環境に悩んだ経験がある人ほど、「次は人間関係の良い職場に行きたい」と考えながら求人を探しています。

だからこそ、求人原稿では「アットホームな職場」「風通しのよい職場」といった抽象的な表現ではなく、「何がどう良いのか」「どんな仕組みや雰囲気があるのか」といった具体性が求められます。人間関係の見える化ができている原稿こそ、応募者に安心感を与える原稿です。

ありきたりな表現を脱却する!人間関係の伝え方のコツ

単に「人間関係が良い」と書くだけでは、応募者の不安は払拭できません。ここでは、ありがちな表現と、それをどう具体的に言い換えると伝わるのかを比較してご紹介します。

定着率や復職実績で職場の安定感を示す

悪い例良い
「アットホームな職場で、長く働ける環境です。」
「ブランクがあっても安心して働けます。」
「スタッフ20名中、12名が勤続5年以上。昨年度の離職率は5.8%(全国平均13.1%)と、定着率の高さが特徴です。」

「産休・行く救護に復帰したスタッフが8人在籍。子育てと両立しながら活躍しています。」

相談しやすい風土を仕組みで伝える

悪い例良い
「風通しの良い職場です。」
「新人も安心して働けます。」
「週1回の全体ミーティングでは、介護・看護・ケアマネが一堂に会し、現場の意見を話し合う機会があります。」

「新人には1人の教育担当がつき、日々の業務をマンツーマンでサポート。日常的に相談できる体制を整えています。」

スタッフの声でリアルな職場感を伝える

悪い例良い
「人間関係が良好です。」
「困ったときも助け合える職場です。」
「忙しい時でも”お互いさま”と言い合える関係があるから無理なく続けられる」との声が多く寄せられています(社内アンケートより)

「入職初日に全員が名前を覚えて声をかけてくれて、すぐに馴染めた」という新人スタッフの声もあり、あたたかい雰囲気が感じられます。

人間関係の安心感は、数字(定着率)・仕組み(相談体制)・声(スタッフの本音)の3点で伝えるのが効果的です。さらに写真がある場合は、それらの雰囲気を“見てわかる”形で補うと、より一層説得力が増します。

こうした具体的な情報を丁寧に積み重ねることで、「ここなら安心して働けそう」と感じてもらえる求人原稿につながります。抽象的な言葉では伝えきれない“職場の空気感”こそが、応募を後押しする大きな材料になるのです。

“納得”で差がつく!経験者が応募したくなる給与・待遇の見せ方

給与や待遇の情報は、求人原稿の中でも非常に重視される項目です。 特に有資格者・経験者にとっては、「これまでの経験やスキルがきちんと評価されるか」「今の職場より条件が良くなるのか」といった納得感が応募の分かれ目になります。

「評価されている」と感じられる給与モデルの提示

有資格者は「資格を活かした分の報酬があるか」「経験年数によって待遇は変わるのか」を見ています。そのため、基本給+各種手当+モデル月収や年収例をセットで提示するのが効果的です。

月収・年収イメージの具体的な伝え方

「介護福祉士/経験5年」モデル
・基本給:230,000円
・資格手当:20,000円
・処遇改善手当:40,000円
・夜勤手当(月4回):40,000円(1回10,000円)
→ 月収例:330,000円/年収見込み:約4,600,000円(賞与含む)

+αで伝えると響くポイント

「昨年度、役職手当が新設されました」
「中途入職でも3年で主任登用の実績あり」

手当や昇給制度の透明性を具体的に示す

手当や昇給制度については、「支給される」「制度がある」といった記載だけでは、応募者に十分な安心感や納得感を与えることはできません。とくに経験者や中途入職希望者は、「どのくらいもらえるのか」「昇給や賞与はどれくらい期待できるのか」といった具体的な水準や実績を重視しています。

そのため、昨年度の支給実績や評価基準、金額の幅などを明示することで、制度の透明性を示すことが重要です。数字があることで信頼性が高まり、「ここなら長く働けそう」と感じてもらえるポイントになります。

記載例

  • 処遇改善手当:月30,000~50,000円(評価により変動)
  • 昇給:年1回(昨年度昇給率 平均3.2%)
  • 賞与:年2回(昨年度実績 計3.4ヶ月分)

他と比べてどう違う?経験者が納得する情報の出し方

有資格者や経験者は、「今より条件が良くなるか」「他施設と比べてどうか」という視点で求人を見ています。 そこで、業界平均や地域水準との比較情報があると、「ここにする理由」が明確になります。

比較の見せ方例

  • 昇給率:昨年度昇給率 平均3.5%(全国平均:2.0%)
  • 年間休日数:112日(業界平均:108日)
  • 残業時間:月平均6.5時間(業界平均の1/3以下)
  • 平均勤続年数:7.8年(業界平均:5.1年)

有資格者や経験者は、「どこでも働ける」からこそ、「ここで働く理由」を探しています。その理由を“数字”と“実績”で明確に示すことが、応募の後押しにつながります。

ミスマッチを防ぐ情報設計で「応募してよかった」と思わせる

介護職の有資格者・経験者は、これまでの職場での成功体験もあれば、うまくいかなかった経験も持っています。そのため次の職場を選ぶ際には、「また同じ思いをしないか」「自分に合う環境なのか」という視点で、求人情報をじっくりと見ています。

だからこそ、求人原稿には「自分に合っているかどうか」を判断できる情報を、できるだけ具体的に盛り込むことが大切です。

必須条件と歓迎条件を明確に分けて記載する

これは求人原稿の基本ですが、経験者ほど「自分は対象かどうか」を正確に知りたいものです。あいまいな書き方ではなく、必須条件歓迎要件を分かりやすく分けて記載しましょう。

悪い例良い
介護福祉士の資格があり、ある程度の経験がある方歓迎します。リーダー経験や専門的なスキルがあれば活かせます。【必須条件】
・介護福祉士資格をお持ちの方
・高齢者施設での実務経験3年以上

【歓迎条件】
・リーダーまたは主任経験のある方
・認知症ケア、褥瘡ケアなどの専門スキルをお持ちの方

活躍できる人のイメージを伝えて「ここで働く自分」を想像させる

応募者が知りたいのは、「どんな人が活躍しているのか」「自分にも合いそうかどうか」。求人原稿でそれを具体的に伝えることで、入職後のギャップや早期離職の防止につながります。

  • チームで連携しながら、柔軟に対応するのが得意な方
  • 変化のある現場でも前向きに取り組める方
  • 状況を見ながら、自ら相談・報告し行動できる方
  • 一人で抱え込まず、周囲と協力しながら働きたい方
  • マニュアル通りのルーティンだけでなく、自分の判断を活かしたケアをしたい方

勤務スタイル・シフトパターンを具体的に提示

勤務時間・休日・夜勤の有無など、働く上での生活の見通しが立てられる情報は、非常に重要です。特に家庭やダブルワークと両立したい方にとって、応募判断の決定打になります。

悪い例良い
勤務時間:シフト制(応相談)
休日:週休2日制
【シフト例】
・日勤:9:00~18:00(休憩60分)
・早番:7:00~16:00/遅番:11:00~20:00
・夜勤:16:00~翌10:00(休憩120分)※月4回程度
・固定曜日休みも相談可(保育園送迎に合わせた時短勤務も実績あり)

「この人みたいに働きたい」と思わせる、活躍スタッフの描き方

求人原稿では、現場で活躍しているスタッフ像を示すことが、応募者に「自分にもできそう」「こんなふうになりたい」と感じてもらうポイントになります。いわば、求める人物像=ペルソナを言語化する作業です。

【活躍中のスタッフ紹介】
Aさん(40代・女性):老健から転職し、現在5年目。
介護福祉士として現場の中心を担い、後輩指導やケア会議でも積極的に意見を出しています。
「ここは、自分の意見が届く環境。経験がちゃんと活かせる実感があります」

ミスマッチは、採用後の離職や現場の混乱にもつながります。求人原稿の段階で「合いそうかどうか」を判断できる情報を提示することが、応募の質と定着率を高める鍵になります。

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魅力と安心の両輪が揃って、応募につながる

介護職の有資格者・経験者は、仕事のやりがいや社会的意義を理解し、誇りを持って働いてきた方々です。だからこそ、次の職場選びでは「ここでならもっと活かせる」「前よりも納得できる」と思えるかどうかを、慎重に見極めています。今回ご紹介したように、求人原稿で応募を後押しするには、「やりがい・専門性」と「不安の払拭」の2軸が鍵となります。

介護業界では、有資格者・経験者は非常に貴重な人材です。 「この経験、ここで活かせそう」「安心して働けそう」そう思ってもらえる求人原稿は、応募数だけでなく、質の高い採用と定着につながります。貴法人の魅力が正しく届く原稿づくりの参考に、ぜひ本記事のポイントをお役立てください。

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