介護業界では職種によっては有効求人倍率が10倍を超えるなど、深刻な人材不足が続いています。その中で、採用成功のカギを握るのが未経験者の活用です。実際、医療・福祉・介護業界の求人のうち、8割近くが「未経験歓迎」とされており間口を広げた採用姿勢が浸透しています。
キャリアリサーチLab「【医療・福祉・介護業界】の転職市場を最新調査から考える―業界別に転職市場を徹底分析―

しかし現場では、こんな声が後を絶ちません。

「【未経験歓迎】と書いているのに応募が来ない」
「採用しても早期に辞めてしまう」
「経験がない方にどう伝えたらいいか分からない」

この背景には、未経験者が介護職に関心はあっても、「体力的にきつそう」「自分にできるか不安」といった心理的なハードルを抱えていることがあります。HELPMAN JAPANの調査でも、介護業界に対して否定的だった未経験者のうち、12%が情報提供によって「働いてもいいかも」と意識が変化したというデータもあります。つまり、応募を生むためには「やりがい」だけでなく、「安心感」まで届けることが不可欠です。

「採用担当者のための介護求人の極意シリーズ 第5回」では、未経験者の期待と不安、両方に寄り添う原稿づくりのコツを、具体例を交えてお届けします。

関心はあっても不安もある、そんな求職者の本音とは?

「介護の仕事に興味はあるけど、自分にできるか不安…」そんな思いを抱えている方は、決して少なくありません。

リクルートジョブズの「働く人と職場 介護サービス編(2019)」によると、介護業界での就業経験がない人の中にも、「働いてみたい」と考える未経験者は一定数います。特に「人の役に立てる仕事がしたい」「社会的意義を感じられる仕事がいい」といった想いを持つ方は多いようです。

引用:[業界別レポート]働く人と職場/業界イメージレポート 2019(介護サービス編)

一方で、「体力的にきつそう(78.5%)」「給与が低そう(77.5%)」といったイメージが、応募の大きなハードルになっていることもわかっています。「仕事内容が想像しにくい」「スキルがなくて不安」といった声も、現場ではよく聞かれます。

そんなときこそ、求人原稿でしっかり伝えておきたいのが、介護職の魅力と、不安を和らげる具体的な情報です。次の章ではまず、「この仕事って素敵だな」と思ってもらえるような、介護の魅力の伝え方をご紹介します。

「この仕事、いいな」と思ってもらうために

介護の仕事に興味を持つ未経験者が、まず惹かれるポイントは「人の役に立てる実感」や「感謝される喜び」、そして「社会的に価値のある仕事であること」。ただ、こうした言葉だけだと少しぼんやりしていて、イメージしにくいかもしれません。だからこそ、「どんな場面で」「どんな言葉をもらえるのか」まで伝えると、より伝わりやすくなります。

やりがいを伝えるための具体表現とは?

  • 「寝たきりだった方が笑顔で歩けるようになり、ご家族から“本当にありがとうございました”と手を握られたとき、この仕事を選んでよかったと思いました」
  • 「“あなたがいてくれて助かった”と言われることが、この仕事の原動力になっています」
  • 「介護福祉士の資格取得を支援しており、専門性を高めながら長く働ける環境です」
  • 「年間行事や地域との交流もあり、社会とのつながりを日々感じられる職場です」

こうしたリアルな体験や現場の声を求人原稿に盛り込むことで、求職者は「ここで働いてみたい」と前向きに想像しやすくなります。ありきたりな「やりがいのある仕事」という表現ではなく、応募者自身がその場にいるようなイメージを持てる工夫が、応募の背中を押すポイントになります。

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未経験者が感じる“不安”にどう寄り添うか

介護の仕事に興味はあっても、未経験の方にとっては「自分にできるのか」「働き続けられるのか」といった不安がつきものです。そうした心理的ハードルを少しでも和らげるためには、求人原稿で事前に安心材料をしっかり伝えることが大切です。

以下では、未経験者が感じやすい代表的な不安と、それに応える表現の工夫を紹介します。

「体力的にキツそう…」そんな不安にはこんな工夫を

「体力的にきつそう」「勤務時間が不規則で大変そう」といったイメージは、介護職に対する未経験者の代表的な不安要素です。求人原稿では、身体面での負担軽減に取り組んでいる点や、生活と両立しやすい勤務形態を提示することで、不安の払拭につながります。

たとえば、こんな工夫があります

  • 移乗リフトや電動ベッドの導入により、無理のない介助を実現
  • 2名体制での介助や分業制によって業務負担を分散
  • 週3日〜・1日4時間〜勤務OK、曜日固定シフトなど、生活スタイルに合わせた働き方を提案
  • 子育てやWワークとの両立実績があるスタッフの声を紹介
  • 学校行事や急なお休みにも柔軟に対応できる体制あり

こうした内容を具体的に伝えることで、応募者に「無理なく続けられそう」「家庭と両立できそう」という安心感を与えることができ、実際の応募行動につながります。

給与や待遇面の不安には、具体的な情報で応える

「給与が低そうだから」というイメージは、未経験者が応募をためらう大きな理由の一つです。そのため、曖昧な表現を避け、具体的な数字や仕組みを丁寧に伝えることが信頼につながります。

たとえば、こんな情報が安心につながります

  • 月収例:220,000円(基本給+各種手当)+賞与実績年2回(計3.2ヶ月分)
  • 昇給実績あり:昨年は年平均3.5%の昇給率
  • 資格取得支援あり:受講料補助、合格祝金制度
  • パートでも交通費全額支給・有給あり、など

「生活を支えられる」「将来の見通しがある」と感じられる内容を盛り込むことで、応募者の納得感を高めることができます。

業務の流れを見せることが、不安の軽減につながる

未経験者にとって、介護職の業務がどんな流れで進むのか分からないことは、大きな心理的ハードルになります。原稿では、1日のスケジュールや業務内容の流れ、どんなチーム体制で動いているのかを明示することで、「働く自分」を想像しやすくなります。

“働く1日”がイメージできる情報の伝え方

  • 1日の業務スケジュール(例:7:00出勤→朝食介助→レク準備→休憩→記録作成…)
  • どのような人と関わるか(利用者、看護師、ケアマネジャーなど)
  • どんなサポートを受けながら仕事を覚えていくか(ペア制や申し送りなど)

さらに、写真や動画を使って視覚的に伝えることで、よりイメージがしやすくなります。「介護職の1日」や「研修の様子」など、ビジュアルを活用した求人は、応募の後押しに大きく貢献します。

「できるか不安」を「やってみたい」に変えるには?

未経験者にとって、最も大きな壁は「自分にもできるのか」という不安です。その壁を越えてもらうためには、現場のサポート体制や育成の仕組み、実際に活躍している未経験スタッフの姿を具体的に伝えることが大切です。ここでは、応募の一歩を後押しするための情報の届け方をご紹介します。

研修・育成の仕組みを明確に伝える

未経験者が最も気にするのは「ついていけるか」「教えてもらえるか」です。「現場で置いていかれないか」「質問しにくい雰囲気ではないか」といった細かい不安も多く、安心感のある研修体制を明確に伝えることが大切です。入職後の座学やOJT、フォローアップ体制など、ステップごとの流れを具体的に示しましょう。

安心感が伝わる研修の見せ方とは

  • 入職後1週間は座学で介護の基礎を学びます(給与発生)
  • その後、1ヶ月間は先輩スタッフがマンツーマンでOJTを実施
  • 2ヶ月目以降も月1回のフォローアップ面談で安心サポート
  • 昨年度の未経験者定着率は92%!

未経験から活躍しているスタッフの事例を示す

実在のスタッフストーリーは、「自分にもできるかも」と思ってもらう一番の材料です。「同じような境遇の人が活躍している」という事例は、求職者にとって非常に心強い情報になります。転職前の職種や年齢、家庭状況など、共感できるポイントがあると、応募への心理的ハードルを一気に下げることができます。

例①

★30代・女性/元・スーパーのレジスタッフ

「人と関わる仕事が好き」で介護職に挑戦。未経験からパートで入職し、初任者研修を受講。現在は正社員としてフルタイム勤務し、介護福祉士資格を取得。3年目でユニットリーダーに昇格し、後輩指導も担当。

例②

★40代・男性/元・建設業からの転職

体力には自信があるが、介護は初めて。最初は「自分に向いているか不安だった」が、現場のサポート体制と利用者とのふれあいを通じてやりがいを実感。入職2年目で夜勤もこなし、施設内での信頼を得て、チームの中心的存在に。

このような実例を盛り込むことで、読者が「未経験でもキャリアを築ける」「前職が違っても活躍できる」と具体的にイメージしやすくなり、応募の一歩を後押しできます。

他職種での経験がどう活きるかを具体的に伝える

「未経験でも役立つ経験」は、実はさまざまな職種に存在します。介護の現場では、人と関わる力・細やかな気配り・正確な記録・報告といった要素が非常に重視されており、これは接客業や子育て、事務職などで培われたスキルと大きく重なる部分があります。

一見関係がなさそうに見える経歴でも、「この経験がこう活かせる」というつなげ方を求人原稿で伝えることで、「自分にもできるかも」と思える求職者を増やすことができます。

【例①】接客業からの転職

飲食店や小売業での接客経験は、利用者とのコミュニケーションや丁寧な応対に活かせます。特に「人の表情や状態の変化に気づける力」は、介護現場でも高く評価されます。

【例②】子育て経験

ご自身の育児経験を通じて培った「気配り」や「生活介助のスキル」は、日常的なケア業務や声かけに活かすことができます。実際に、ブランク明けの主婦・主夫の方が活躍している職場も多数あります。

【例③】事務職・コールセンター経験

事務処理や報告業務の経験は、記録入力や申し送りなど“正確さ”が求められる場面で強みになります。また、電話応対で鍛えた「聞き取る力」「伝える力」も、チーム連携や利用者とのやりとりに活かせます。

このような例を求人原稿に盛り込むことで、これまで介護職を候補にしてこなかった層にも「ここでなら自分の経験が活かせる」と気づいてもらえるきっかけになります。

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伝え方ひとつで、“応募したくなる”原稿へ

「未経験歓迎」と書くだけでは、応募は増えません。重要なのは、「自分でも働けそう」「ここなら続けられそう」と、求職者が安心して一歩踏み出せる情報を丁寧に伝えることです。

  1. 介護職の魅力を、抽象的な言葉でなく具体的なエピソードで伝えること
  2. 「体力・給与・スキル」への不安に対し、実例と数字で応えること
  3. 研修・サポート体制や実在スタッフのストーリーを盛り込み、将来の自分をイメージさせること

こうした工夫が、応募数の増加と、入職後の定着につながります。伝え方ひとつで、「応募したくなる原稿」へと変わります。未経験者の可能性を広げる原稿づくり、ぜひ意識してみてください。

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