近年、採用活動の主戦場は「求人媒体」から「自社採用サイト」へと移りつつあります。

検索エンジンやSNSの普及により、求職者は企業の採用ページを見て応募を決める傾向が強まっています。実際、多くの求職者が「応募前に企業の採用サイトを確認している」という環境に変化しています。

しかし、採用サイトを作る目的や進め方が曖昧なまま制作を始めてしまうと、デザインは綺麗でも成果につながらないケースが少なくありません。本記事では、採用サイトをゼロから立ち上げたい方や、リニューアルを検討している担当者向けに、

  • 採用サイトの必要性と目的
  • 作り方と制作ステップ
  • ターゲット設定や構成設計の考え方
  • 運用・分析・集客の方法

までを体系的に解説します。
初めてでも失敗しない、成果の出る採用サイトの作り方を一緒に整理していきましょう。

採用サイトが企業にもたらすメリット

ブランドイメージの向上

採用サイトは企業の「顔」として、ビジョンや文化を発信できる場です。中途採用では多くの応募者が企業の公式採用ページを確認してから応募しており、自社らしさを丁寧に伝えることで信頼を得ることができます。

優秀な人材の獲得

求人サイトでは伝えきれない職場の雰囲気や働き方を発信することで、求職者が自分に合う会社を見つけやすくなります。社員インタビューや1日の仕事紹介などを通じてリアルな情報を発信できると効果的です。自社の魅力を十分に伝えられないと、他社と比較された際に見劣りし、応募数の減少につながる可能性があります。

採用プロセスの効率化

オンライン応募フォームや管理ツールを導入すれば、選考や面接の調整がスムーズになり、業務時間の短縮や採用効率の向上につながります。人事部門にも生産性が求められる今、ツール活用の重要性はますます高まっています。

応募者にとっての価値

求職者にとって、採用サイトは企業の透明性を判断する重要な材料です。
ビジョンや福利厚生、職場環境などを明確に掲載することで信頼を得られ、応募率の向上につながります。

特に中途採用では、仕事内容だけでなく「どんな人が働いているか」「自分のキャリアが活かせるか」を重視する傾向があります。社員の声や職場の写真を掲載することで、企業文化の理解が深まり、ミスマッチの防止にもつながります。

現在の採用市場は超売り手市場であり、求職者はより細かく、具体的な情報を求めています。求人サイトやスカウトメールだけでは判断が難しく、採用サイトで深い情報を得たいと考える人が増えています。
つまり採用サイトは、応募を決断するための最も重要な情報源といえるでしょう。

採用サイトの役割と採用ブランディング

採用サイトは、単なる求人ページではなく「採用ブランディングの核」となる存在です。
自社の文化や価値観を発信することで応募者との信頼関係を築き、他社との差別化を図ることができます。

自社の強みを整理し、競合やターゲットを分析したうえで、自社らしさを明確に伝えることが重要です。採用ブランディングを意識してサイトを運用している企業は、そうでない企業に比べ応募数が増え、採用決定率が高まる傾向があります。

また、求人検索エンジンとの連携や応募受付などの基本的な機能に加え、求職者に情報を提供し、ブランドを形成するという大きな役割があることを意識してサイトを構築すると良いでしょう。

採用サイトの作り方とステップ

採用サイトを作るうえで大切なのは、「いきなりデザインを考えない」ことです。
まずは、採用の目的やターゲットを明確にし、制作の流れを整理してから進めることで、効率的かつ効果的にサイトを構築できます。ここでは、採用サイト制作を進めるための基本ステップを紹介します。

目的を明確にする(誰に何を伝えるのか)

採用サイトの第一歩は「目的の明確化」です。
採用サイトの作成やリニューアルでは、「応募数を増やしたい」という相談を受けることが多いですが、目的はより細かく・具体的に設定することが重要です。

例えば、

  • 「SES企業で2年以上の勤務経験があるセキュリティエンジニアから年間100件以上の応募を獲得する」
  • 「接客経験のある営業未経験者の応募数を増やす」
    といったように、採用ターゲットのペルソナや目標人数を明確にすることで、誰に何をどう伝えるかが具体的になります。

一方で、「応募数を増やす」といった漠然とした目的では、必要な情報の優先順位が不明確になり、成功・失敗の判断もできません。採用サイトを単なる“ページづくり”で終わらせないために、目的は明確に・具体的に設定することが不可欠です。

制作体制を決める(社内・外部の分担)

目的やターゲットが定まったら、制作体制を整えましょう。
採用サイトの制作は、社内だけでも外部委託だけでも完結しません。
外部に依頼する場合も、社内で採用方針や掲載内容を整理しておく必要があります。

また、内製で進める場合は、経験やノウハウ不足によって失敗するケースも多いため、制作実績のある外部パートナーに相談しながら進めるのがおすすめです。簡易的なテンプレート型の採用サイトの作成であれば、自社完結ができますが、明確な目的を達成する為には、簡易テンプレートでは難しいため、専門知識をふまえて判断するとよいでしょう。

誰が何を担当するのか、どこまでを社内で行い、どこからを外注に任せるのかを明確にすることで、スケジュール遅延や情報不足を防げます。

スケジュールと全体フロー

採用サイトの制作期間は、一般的に2〜3カ月が目安です。
ただし、フルデザインでの構築や、撮影・取材を伴う場合は4〜6カ月程度かかることもあります。

制作の流れは以下のステップが基本です。

  1. 目的・ターゲット設定、ペルソナ設計
  2. サイトマップ・構成設計
  3. デザイン制作・撮影・取材
  4. 実装・テスト・公開

スケジュールは余裕を持って設定し、各工程で社内確認のタイミングを明確に設けましょう。特に経営層の承認が必要な企業では、この確認プロセスが最も時間を要します。

内部ステークホルダーの巻き込み方と協働プロセス

採用サイト制作を成功させるには、社内の協力体制づくりが欠かせません。
人事部だけでなく、マーケティング・広報・デザイン・経営陣などの関係部署を早い段階で巻き込み、情報共有を徹底することが重要です。

ただし、すべての部署が全工程に関わると、意見の衝突や確認の遅れが発生します。各部署の役割を明確にし、必要な工程だけに関与してもらう体制を整えましょう。

役割分担の一例

  • 人事部:採用戦略・ターゲット設定・全体管理・外注先の窓口
  • 営業部:現場取材・社員インタビューの協力
  • 広報部:デザイン・ブランディングの整合性確認
  • 経営陣:最終承認・メッセージ方針の確認

このような形で基本的には主体者である人事が全行程を管理しながらも、関わる各部門については、限られた工程のみ担当してもらうことで専門性が高まりスムーズに進めることができます。

採用サイト制作では、目的の明確化・ターゲット設定・社内体制の整理を丁寧に行うことが成功のカギです。いきなりデザインや原稿を考えるのではなく、目的と方針を具体化し、協働体制を整えることで、成果の出る採用サイトを効率的に構築できます。

簡単なターゲット設定方法

ここからは、採用サイトを作る上で欠かせない「ターゲット設定」について、具体的な考え方を紹介します。どんなにデザインやコンテンツが充実していても、「誰に何を伝えるのか」が曖昧なままでは成果につながりません。採用ターゲットを明確にすることは、応募者とのマッチング精度を高め、採用活動を効率化する第一歩です。

ペルソナ設定の基本

まずは「どこにいる誰に向けた採用なのか」を明確に描くことから始めましょう。
性別、年齢、職種、キャリア、転職動機など、求職者の人物像(=ペルソナ)をできるだけ具体的に設定することで、訴求の方向性が明確になります。

ペルソナ例

名前:佐藤翔太(29歳)
職種:法人営業職(SaaS企業で4年勤務)
現状:業務量が多く、成果は上がっているが個人ノルマ中心の環境に疲弊。チームで成果を出せる職場を探している。
転職理由:仕事にやりがいはあるものの、残業が多くワークライフバランスを改善したい。
価値観・興味:人と話すのが好き。成果よりも「チーム全体で成長する文化」に共感を持つ。安定よりも「挑戦できる環境」を重視。
情報収集行動

  • Googleで「営業職 転職 30代前半」「IT営業 働き方」などを検索
  • 転職サイトよりも企業の採用サイトや社員インタビュー記事を重視
  • SNS(XやInstagram)で企業文化をチェックして応募を検討

このように、人物像を具体的に描くことで、「どんな言葉で訴求すべきか」「どの写真や構成が響くか」が見えてきます。たとえば佐藤さんのような層に向けた採用サイトなら、「チームで成果を出す文化」「柔軟な働き方」「成長を支える教育制度」といったコンテンツを中心に設計するのが効果的です。

求職者の検索行動を意識する

ペルソナを明確にしたら、次に「その人がどんな検索行動をとるか」を考えましょう。
多くの求職者はGoogleやIndeedなどで条件検索を行うため、検索キーワードを把握しておくことが重要です。

おすすめのリサーチ方法は以下の3つです。

  • Googleキーワードプランナーで、職種・地域・条件の検索ボリュームを確認
  • サジェストキーワード分析で、関連検索語(例:「営業 未経験」「IT企業 福利厚生」)を把握
  • 口コミサイト(OpenWork・転職会議など)で、求職者が注目しているポイントを調べる

これらをもとに、「自社のターゲット層がどんな言葉で仕事を探しているのか」を知ることで、ページ構成やタイトルの設計にも活かせます。

社内からヒントを得る方法

自社の中にも、ターゲット設定のヒントは多く隠れています。
過去に採用した社員の中から、成果を出している人材定着率の高い人材の共通点を洗い出すことで、リアルなペルソナを構築できます。

たとえば、活躍している社員の多くが「前職で営業経験があり、チーム志向が強い」傾向があれば、それを採用基準の一つに反映させることができます。
また、社内アンケートや1on1ヒアリングを行い、「なぜこの会社を選んだのか」「入社前に不安だったこと」「入社して良かったと感じること」を聞くと、採用サイトで伝えるべきリアルな情報が見えてきます。

もっとシンプルに設定したい場合は、今いる活躍社員の中で「この人みたいな人が欲しい」という人をピックアップしてその人の過去の行動や興味が湧くKWをヒアリング・分析してみるのもよいでしょう。

ターゲット設定は、採用サイトづくりの土台です。 ペルソナを詳細に描き、求職者の検索行動や社内の成功事例を分析することで、「誰に何をどう伝えるか」が明確になり、「自社の強みを再確認するきっかけ」にもなります。これにより、コンテンツやデザインの方向性がブレず、採用活動全体の成果にもつながります。次は、このターゲット設定をもとに、採用サイト全体の構成を決める「サイトマップの作り方・考え方」を解説していきます。

サイトマップの作り方・考え方

採用サイトを効果的に設計するうえで欠かせないのが「サイトマップ」の作成です。
どんな情報をどの順番で配置するかを整理することで、求職者にとって見やすく、理解しやすいサイトになります。この章では、採用サイトの基本構成から、情報整理・階層設計のポイント、複数職種や拠点がある場合の考え方を紹介します。

採用サイトの基本構成例

採用サイトの目的は「応募者が自社を理解し、安心して応募できること」。 そのため、求職者が知りたい情報を順に配置することが大切です。以下は、一般的な採用サイトの基本構成例です。

基本構成の一例

  1. トップページ(ビジョン・キービジュアル)
  2. 会社紹介(企業理念・事業内容・代表メッセージ)
  3. 社員紹介・インタビュー(現場社員や管理職など複数層)
  4. 募集要項・職種紹介(仕事内容・給与・勤務地・福利厚生など)
  5. 働く環境(制度・社内イベント・オフィス紹介)
  6. 選考フロー(応募〜内定までの流れ)
  7. よくある質問・お問い合わせ

このような構成をベースに、各ページで「応募動機が高まる要素(例:写真・社員の声・成長できる制度)」を配置していくと、自然な導線を作ることができます。また、同業界の大手企業や採用競合となり得る企業の採用サイトを分析することも有効です。たとえばIT業界では、サイバーエージェントやリクルート、freeeなどの採用サイトが分かりやすく整理されています。構成やナビゲーションを参考にしながら、自社の規模やターゲット層に合わせて要素を取捨選択しましょう。

情報整理と階層設計のポイント

採用サイトでは、「どんな情報をどの深さで伝えるか」を整理することが重要です。
ページ数が増えるほど、求職者が迷いやすくなります。

設計時のポイントは以下の3つです。

  1. 階層は3階層以内に収める
    トップ → カテゴリーページ → 詳細ページ という構成にし、クリック数を減らすことで離脱を防ぎます。
  2. 同じテーマの情報はまとめる
    例えば、「福利厚生」「キャリア支援」「評価制度」などは“働く環境”ページとして統一すれば見やすくなります。
  3. 導線の「終着点」はエントリーページにする
    すべてのページから応募導線(ボタンやバナー)にスムーズに遷移できるように設計することが大切です。

こうした階層設計を事前に整理しておくと、デザイン段階でも迷いがなく、制作工程の短縮にもつながります。

複数職種・複数拠点の構成パターン

採用サイトでは、職種や拠点が複数ある場合の構成にも注意が必要です。情報をすべて1ページにまとめてしまうと、求職者が自分に関係のある情報を探しにくくなります。

複数職種を採用している場合

  • 職種ごとに専用ページを設ける(営業職・技術職・デザイナー職など)
  • 各ページに社員インタビューや業務フローを掲載し、求職者が自分の働く姿を想像できるようにする

複数拠点がある場合

  • 「勤務地別」タブで分ける(例:東京本社/大阪支社/福岡営業所)
  • 地域ごとの働き方や雰囲気を写真やコメントで紹介する

特に地方拠点を持つ企業では、勤務地情報を明確に示すことで、応募率が大きく変わります。

求職者に回遊してもらいやすくするためのアイデア

採用サイトは、トップページから「応募」までをいかにスムーズにつなげるかがポイントです。1つのページだけで完結させず、関連するページへ自然に誘導する“回遊設計”が重要になります。

たとえば、

  • 社員インタビューページ → 募集要項へのリンクを設置
  • 働く環境ページ → 福利厚生制度の詳細へ誘導
  • 各ページの下部に「この職種にエントリーする」ボタンを設置

また、エントリーフォームを複数職種で共通化し、どのページからでも応募できる仕組みにしておくと、離脱を防げます。Googleアナリティクスやヒートマップツールを導入し、どのページから応募に至ったかを定期的に分析するのもおすすめです。

サイトマップは、採用サイトの“設計図”です。
構成を明確にすることで、求職者にとってわかりやすく、企業側にとっても運用しやすいサイトになります。自社にとって必要な情報を整理し、求職者が自然に応募まで進める導線設計を意識しましょう。次は、実際にサイトを充実させるための「サイトに必要なコンテンツ」について解説します。

サイトに必要なコンテンツ

採用サイトを作る際は、ただ情報を並べるのではなく「目的」に合わせてコンテンツを取捨選択することが大切です。
求職者に伝えたいメッセージを明確にし、それを最もわかりやすく表現できる構成にしましょう。ここでは、多くの採用サイトで活用されている主なコンテンツを紹介します。

ビジョン・理念

企業の価値観や方向性を示す「ビジョン・理念」は、採用サイトの核となる情報です。単にスローガンを載せるだけではなく、「なぜその理念に至ったのか」「どんな想いがあるのか」という背景を添えることで、共感を生み出せます。
実際に、採用サイト制作を機に自社の理念を見直したり、新たに言語化したりする企業も増えています。

会社の強み

求職者は1社だけを見て応募を決めるわけではありません。競合他社と比較したときに「この会社を選ぶ理由」が明確であることが重要です。たとえば、自社サービスが選ばれる理由や顧客からの評価、従業員が誇りを持って働ける環境などを具体的に伝えると、信頼性が高まります。

職種紹介・仕事紹介

仕事内容を具体的に示すことで、求職者が自分のスキルや経験を重ねてイメージしやすくなります。未経験者向けの職種では、研修制度やサポート体制を、経験者向けの職種では、業務の裁量や成長機会を明確に伝えると効果的です。
1日のスケジュール例や仕事風景の写真などを入れると、リアリティが増します。

福利厚生

福利厚生は、応募者が安心して働ける職場かどうかを判断する重要な要素です。
内容を一覧で示すだけでなく、導入の背景や活用している社員の声を紹介すると、企業の考え方や人への配慮が伝わります。たとえば「子育て支援制度」なら、実際に利用している社員のコメントやエピソードを添えると、より共感を得やすくなります。

社員インタビュー・現場の声

社員インタビューは、採用サイトでもっとも閲覧されやすいコンテンツのひとつです。
ターゲットに近い年代や職種の社員の声を中心に構成し、入社理由や仕事のやりがい、今後の目標などを紹介しましょう。
また、入社後に関わる先輩社員や上司の声を載せることで、入社後のイメージを持ちやすくなります。複数人でのクロストークや座談会形式の動画も、リアルな雰囲気が伝わるため効果的です。

選考プロセス

応募から内定までの流れを明示しておくことで、求職者は安心して応募できます。
面接回数や必要書類、選考期間などを具体的に書くと、応募へのハードルが下がります。
また、選考基準を「人柄重視」「ポテンシャル採用」などと明記すると、自分が対象かどうかを判断しやすくなります。

ターゲット別コンテンツ

採用ターゲットが複数ある場合は、情報を分けて伝える工夫が必要です。
職種・勤務地・キャリア・性別・国籍などによって、求職者が求める情報は大きく異なります。

たとえば、

  • 新卒向け:研修・キャリアステップ・成長環境
  • 中途向け:仕事内容・社風・福利厚生・活かせる経験
  • 海外採用向け:多言語対応・就労ビザ・文化的サポート

このように、ターゲットごとにページを分けて情報を整理すると、ユーザー体験が向上し、離脱率の低下につながります。逆に、複数職種の情報など、すべての情報を1ページに詰め込むと、読みづらくなり、伝えたいメッセージが読み飛ばされてしまったり、埋もれてしまうため注意が必要です。

採用サイトに掲載する情報は多ければよいわけではありません。
ターゲットと目的に合わせて、必要な情報を厳選することが大切です。求職者が知りたいことに的確に答えることで、信頼を得やすくなり、応募率の向上につながります。

外注と内製化のメリット・デメリット

採用サイトを制作する際は、「外注するか」「自社で内製するか」を決めることが大きな分かれ道です。どちらにも一長一短があり、制作時だけでなく、公開後の運用・改善までを見据えて判断することが大切です。

外注のメリット・デメリット

外注のメリット

外部の制作会社に依頼する最大のメリットは、ノウハウとクオリティの高さです。
採用やWebマーケティングに強い制作会社であれば、他社の成功事例を踏まえた構成提案や、SEO対策・求人検索エンジン最適化などの専門的な設計が可能です。
また、撮影・取材・デザイン・ライティングなどを一貫して任せられるため、スピーディーに高品質なサイトを完成させやすいのも特徴です。一方で、自社のことを深く理解していないというデメリットもあります。
特に、担当営業と制作チームが別の会社の場合、打ち合わせ内容がうまく共有されず、仕上がりにズレが生じるケースもあります。また、採用ノウハウ・採用サイトの制作経験が少ない会社もあるため、外注する際は「担当者がどこまで制作に関わるか」「採用の知見を持っているか」を確認しておくことが重要です。

内製化のメリット・デメリット

内製化のメリット

内製化の最大の強みは、自社理解が深くスピーディーに反映できることです。自社の文化や価値観を熟知している担当者が直接手を動かすことで、リアルな情報発信が可能になります。
また、外注費がかからない分、コストを抑えやすいのも魅力です。内製化のデメリット
ただし、デザイン・ライティング・システム構築などをすべて社内で行うには、相応の知識と時間が必要です。他業務と兼任しながら進めるケースも多く、制作に時間がかかる・品質が安定しないといった課題が起こりやすくなります。
さらに、担当者が異動・退職した際に、サイトの運用が滞るリスクもあります。

判断のポイントとハイブリッド型のすすめ

外注か内製かを判断する際は、費用・スピード・採用ノウハウの有無・実績などを軸に考えるのが基本です。制作を外注しても、更新や修正を自社で行えるようにしておくと、運用コストを抑えつつ改善がしやすくなります。

そのため最近では、“ハイブリッド型”と呼ばれる進め方を採用する企業も増えています。
これは、初期制作やデザインを外注し、公開後の更新やブログ・社員紹介ページなどの運用部分を自社で対応する方法です。公開後に新しい職種や社員インタビューを追加したい場合でも、自社で柔軟に更新できるため、スピード感のある運用が可能です。

採用サイトは作って終わりではなく、運用と改善を繰り返すことで成果を高めていくツールです。そのため、公開後に自社で修正・改善ができる体制を整えておくことをおすすめします。

公開後の分析・運用改善方法

採用サイトは、公開して終わりではありません。
公開後にアクセス状況や応募率を分析し、定期的に改善を重ねることで、長く成果を出し続けることができます。ここでは、分析の基本から改善サイクルの回し方、最新のAI活用方法までを紹介します。

アクセス解析と応募率の見方

採用サイトの効果を高めるには、まず“現状を正確に把握すること”が欠かせません。
Google AnalyticsSearch Consoleなどの無料ツールを活用して、次のような指標を定期的にチェックしましょう。

主なチェック項目

  • 訪問者数(セッション数)やページビュー数
  • 平均滞在時間、直帰率
  • エントリーページ(応募フォーム)への遷移数
  • 応募フォームの完了率(コンバージョン率)

たとえば、ある企業では採用サイトの月間訪問者が約3,000人。そのうち応募フォームまで進むのは約1%、実際に応募完了するのは約0.1%でした。
数値を把握することで、改善すべき箇所が明確になります。滞在時間が短いページや直帰率の高いページがある場合は、情報が伝わりづらい、またはコンテンツの魅力が弱い可能性があるため、改善が必要なども数値を把握していなければわからない対策になります。

フィードバックの収集と改善サイクル

アクセスデータだけでなく、応募者の声を直接聞くことも重要です。
面接時や入社後のアンケートなどで「応募前にどんな情報を知りたかったか」「サイトの使いづらい点はあったか」をヒアリングしましょう。

集めたフィードバックは「改善テーマ」に整理し、次のようなサイクルで改善を進めます。

  1. フィードバック・データの収集
  2. 課題の分析(例:仕事内容がわかりにくい、情報が古い)
  3. 改善策の実施(文章・デザイン・導線の見直し)
  4. 改善後の再検証

このPDCAサイクルを3〜6カ月単位で回すことで、応募者体験の質を継続的に高めることができます。実際に、フィードバックをもとに「社員インタビューを増やした」企業では、応募率が改善したケースもあります。

定期更新とSEOの維持

採用サイトの効果を長く保つには、定期的な更新が欠かせません。
情報が古いままだと、求職者は「採用活動をしていないのでは」と感じてしまいます。
少なくとも3カ月〜半年に一度は以下を見直しましょう。

  • 募集職種・条件・勤務地などの最新化
  • 福利厚生・制度の追加や変更
  • 社員紹介・インタビューの更新
  • 季節やイベントに合わせたトピック記事の追加

また、更新を続けることはSEO対策(検索順位維持)にもつながります。
検索エンジンは「定期的に更新されるサイト」を評価するため、採用サイトの表示順位を安定させる効果があります。
更新時には、職種名や勤務地などの検索キーワードを自然に取り入れることも意識しましょう。

AIチャットボットと自動化技術で応募者エンゲージメントを向上させる方法

近年では、AIや自動化ツールを活用した“運用型の採用サイト”が増えています。
特に、応募者対応や情報提供の効率化において効果的です。

主な活用例

  • AIチャットボットによる質問対応:
     応募者が24時間いつでも問い合わせできる環境を整え、回答を自動化。人事担当者の対応負担を軽減。
  • 応募者データの分析
     AIを活用して応募傾向を分析し、応募が集まりやすい時間帯やページを可視化。
  • 自動リマインドメールの配信
     エントリー後のフォローを自動化し、面接キャンセル率を低減。

実際にAIチャットボットを導入した企業では、応募者とのやり取りを自動対応できるようになり、担当者の作業時間を削減できたという事例もあります。

これらのテクノロジーを上手に取り入れることで、応募者とのコミュニケーションがスムーズになり、採用体験の質を向上させることができます。

アクセス解析 → フィードバック収集 → 改善 → 更新 のサイクルを定期的に回すことが大切です。さらに、AIや自動化ツールを活用すれば、応募者対応やデータ分析の精度も高まり、採用活動全体の効率化につながりますが、一つポイントをお伝えすると「数値にとらわれすぎない」ことも重要になります。当初設定していた目的・ゴールに影響があるか・ないかという視点を持った上で、影響が大きい箇所から始める・影響が小さい箇所は対応しないなど、取捨選択をしないと業務効率が落ちてしまうこともあるので注意しましょう。

採用サイトの集客方法

ここまで、採用サイトの作成方法やポイント、分析改善の方法などをお伝えしてきましたが、いくら良いコンテンツを作ったとしても集客ができないと意味がありません。集客数の少ないサイトは分析改善もしにくくなります。ここでは、公開後の最重要課題とも言える採用サイトへの集客方法について、説明していきます。

SNS・WEB広告との連携

採用サイト単体では、自然検索だけで求職者を集めるのに時間がかかることがあります。
そのため、SNSやWEB広告との連携を活用して露出を増やすのが効果的です。

SNS活用のポイント

  • Instagram・TikTok:若年層への認知拡大に有効。社員の日常や職場の雰囲気を動画で発信。
  • X(旧Twitter)・LinkedIn:キャリア層・専門職向けの発信に効果的。求人情報や採用イベントを告知。
  • YouTube:採用ムービーや社員インタビューを掲載し、リアルな雰囲気を伝える。

WEB広告の活用方法

Google広告やSNS広告を使えば、職種・地域・年齢などを絞って求職者に情報を届けることができます。特に「採用サイトリニューアル後3カ月以内」に広告を出すと、早期に応募データを集めて改善方針を立てやすくなります。

応募者を獲得しやすい採用サイトの集客方法

近年、求人検索エンジン(Indeed・求人ボックス・スタンバイ・Googleしごと検索など)の影響力が大きくなっています。これらのエンジンは、採用サイトに掲載されている募集情報を自動的に収集・表示する仕組みを持っています。

つまり、採用サイトの募集要項を検索エンジンに最適化しておけば、無料で掲載される可能性があるのです。

ポイントは以下の3つです。

  1. 募集職種名・勤務地・給与・仕事内容などを正確に記載する
  2. 各求人ページのURLを固定化し、各メディアの情報収集方法に対応させる
  3. 更新頻度を高く保ち、常に最新情報を提供する

特に中途採用やアルバイト採用では、無料掲載からの応募獲得率が高く、コストを抑えながら採用効果を高めることが可能です。

成功事例・採用サイト作成で年間応募数が7倍以上に

弊社で担当させて頂き採用サイトを作成した事例を1つご紹介します。

作成前

コーポレートサイト上の求人情報のページに募集要項と簡単な社員紹介・メッセージが入っているページがあるものの、HP経由の応募数は1年間で良くても5件位。
以前は面接で「ウチ向きな人材だ」と感じる人は高い率で採用ができたイメージだったが、最近は競合他社に負けてしまっていた。

作成後の成果

  • コンテンツを充実化させたことで面接で「採用HP」を見たと言う人の率が急増
  • 求人検索エンジンとの連携で数件だったHP経由の応募数が一気に37名に増加
  • 5,000人以上のユーザー数を獲得(以前は分析ツールなし)
  • 繁忙期に向けたWEB広告を検討

このような結果と共に、「競合他社に圧倒的に負けている感覚から戦えている感覚にもどった」という担当者からの声も頂きました。

採用サイトを作成・リニューアルする際は、サイトをどう作るかだけでなく、公開後の運用改善・集客施策もしっかりセットで考えた上で制作することも重要なポイントです。

また、広告集客を検討する際は、「採用サイト」ではなく「採用LP」の活用が効果的です。WEB・SNS広告などの集客を検討されている方は、こちらの記事も是非ご覧ください。

まとめ

採用サイトは「作って終わり」ではなく、「育てていく」ものです。
目的を明確にし、ターゲットに合わせて設計・改善を重ねることで、長期的に効果を発揮します。外注・内製のどちらを選ぶ場合でも、重要なのは「誰に何を伝えたいのか」という軸をぶらさないこと。その軸さえ明確であれば、デザインやツールは後からいくらでも最適化できます。

また、求人検索エンジンやSNS・広告との連携、AIチャットボットの導入など、採用サイトの活用方法は年々広がっています。これらをうまく取り入れ、継続的に改善を続けていくことで、「企業の魅力を伝えるだけでなく、優秀な人材を引き寄せる採用の基盤」を作ることができます。

採用活動の中心に“自社採用サイト”を据えることで、ブランディングと人材獲得の両立を実現していきましょう。