介護業界では、慢性的な人材不足を背景に、シニア層や子育て世代の採用がますます重要になっています。しかし現場では、「年齢不問と書いても応募が来ない」「応募はあっても定着しない」といった悩みも多く聞かれます。

実際、60代以上の求職者は「無理なく働ける環境か」を慎重に見極めようとし、子育て世代は「家庭と両立できる働き方ができるか」を重視する傾向があります。それにもかかわらず、求人原稿では「年齢不問」「シフト応相談」といった抽象的な表現にとどまり、「自分にも働けそう」と思える具体的な情報が不足しているケースが少なくありません。

「採用担当者のための介護求人の極意 第9回」では、こうしたターゲットに響く原稿づくりのために、応募の判断材料となる視点や表現の工夫について、データや事例を交えて解説していきます。シニア層・子育て世代に「ここなら働けそう」と感じてもらえる求人原稿をつくるためのヒントを、ぜひお役立てください。

応募が来ないのは「働けそう」が伝わっていないから

「年齢不問」「主婦(夫)歓迎」「シフト応相談」――こうした表現は、求人原稿でよく見かける定型句ですが、シニア層や子育て世代にとっては「本当に自分に合った働き方ができるのか」が伝わらず、不安を払拭するには至りません。

シニア層が重視するのは「体への負担」と「健康配慮」

産業雇用安定センターが2023年11月に実施した「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」によると、シニア層が仕事探しで重視している項目の1位は「仕事内容や職場の働きやすさ」(40.1%)、次いで「就業場所や通勤時間」(34.9%)、「就労日数・時間」(33.7%)となっています。

一方、「体力・体調に合っている」は22.7%とやや低めの回答率ではあるものの、高年齢層ほど短時間勤務・少日数勤務を希望する傾向が顕著に表れており、働き方の柔軟性が求められていることが分かります。そのため、「年齢不問」と書くだけでは不十分であり、「体力に自信がなくてもできる仕事か」「どんなサポート体制があるか」といった具体的な情報がなければ、応募にはつながりにくいのです。

子育て世代は「生活と両立できるか」に敏感

リクルートの調査によると、育児中の就業希望者の約7割が「働きたいが条件が合わない」と回答しており、特に「子どもの発熱などで休めるか」「時短勤務が可能か」といった柔軟な働き方へのニーズが顕著に現れています
株式会社インディードリクルートパートナーズ「女性の就業に関する1万人調査2023 基本報告書

また、2025年の最新調査でも、既婚子育て世代の女性の約半数が「家庭と仕事の両立に不安がある」と回答しており、勤務時間・休暇対応・相談体制などの具体性が、応募の可否を大きく左右することが分かっています
株式会社リクルート「パート・アルバイトの仕事や賃金に関する意識調査

「働けそう」と思えるかどうかが応募のカギ

シニア層も子育て世代も、「今の自分でも働けるか」が応募の判断基準です。しかし多くの求人原稿では、抽象的な歓迎メッセージだけで終わってしまい、「自分に合っている」と思える材料が不足しています。

だからこそ、「どんな働き方ができるのか」「自分と同じ立場の人が活躍しているのか」といった情報を求職者目線で具体的に記載することが、応募を後押しする決め手となるのです。

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働き方の不安を解消するために求人原稿で伝えるべきこと

求職者の中には、年齢や体力の問題、家庭の事情などにより、「フルタイムで働くのは難しい」「急な休みが必要になることがある」といった制約を抱えている方も少なくありません。特に介護業界では、シニア層や子育て世代、ダブルワーカーなど、働き方に制限のある方々の活躍がますます求められています。

そうした方々に「ここなら働けそう」と思ってもらうためには、柔軟な働き方への対応があることを具体的に伝えることが不可欠です。

「週3日・時短OK」だけでは不十分

「週3日OK」「短時間勤務歓迎」といった文言はよく見かけますが、それだけでは求職者の不安を取り除くには不十分です。勤務時間や曜日、休みの取りやすさなどを実例として提示することで、働くイメージをより具体的に持ってもらえます。

良い例

  • フルタイム:9:00〜18:00(週5日)
  • 時短勤務:9:00〜15:00(週4日)
  • 午前中心:8:30〜12:30(週3日)
  • 柔軟対応型:9:00〜14:00(家庭都合や体調への配慮)

「休める環境」が伝わる記載を

家族の都合や健康上の理由で急なお休みや特定日の休暇が必要なケースは多くあります。そうした不安に配慮した職場であることを、実績や事例を交えて記載することで、応募意欲が高まります。

  • 「お子さまの体調不良や介護など、急なお休みにも柔軟に対応しています」
  • 「学校行事や家族の都合でお休みを取ったスタッフも多数おり、お互いにカバーし合う風土が根づいています」
  • 「病院通院や体調を考慮した勤務調整にも対応しています」

「個別の事情に応じた調整」ができることを伝える

一律の条件提示だけでは、働き方に不安がある方の応募を後押しするのは難しいもの。だからこそ、「面接時に希望を伺います」「勤務条件は相談に応じます」といった文言が、応募ハードルを大きく下げる効果を持ちます。

  • 「勤務日数・時間はお気軽にご相談ください」
  • 「ご家庭の状況や体調に合わせた勤務も柔軟に対応します」
  • 「実際に、週3日・1日5時間勤務で働いているスタッフも在籍しています」

また、Indeed PLUSの仕様上、1原稿で複数の雇用形態を並列に掲載することはできませんが、別原稿で他の勤務形態も募集中であることを伝えることで、応募者に選択肢の広さを感じてもらえます。

  • 「現在、日勤パートとして活躍しているスタッフも多数在籍」
  • 「夜勤専従の採用も行っております。詳細は別途お問い合わせください」
  • 「働き方については、面接時に希望をお聞かせください」

これらを原稿内に盛り込むことで、「自分にもできそう」「無理なく働けそう」と思ってもらえる確率がぐっと高まります。


働き方に不安がある方に安心感を届けるためには、「柔軟な働き方が可能」というメッセージを、具体的な勤務例や相談体制とともに伝えることが不可欠です。求職者が「自分にもできそう」と思える情報があってはじめて、応募への一歩につながります。

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体力的に不安なシニア層に安心感を伝える

年齢を重ねた求職者にとって、「この仕事は自分にできるだろうか」「体力的にきつくないか」といった不安は大きなハードルになります。特に介護職は、「体力が必要」「腰に負担がかかる」といった印象を持たれやすく、応募をためらう要因になりがちです。

求人原稿では、「誰でも歓迎」や「未経験OK」といった言葉だけではなく、体への負担を軽減するための具体的な取り組みや設備の情報を明記することで、安心感を与えることができます。

設備や工夫による負担軽減をアピール

介護職は身体への負担が大きいというイメージを持たれがちですが、近年では福祉用具ICTの導入により、スタッフの業務負担を軽減する取り組みが進んでいます。こうした設備面での工夫を求人原稿で明記することで、「無理なく働けそう」と感じてもらいやすくなります。

特にシニア層の求職者が気にするのは、「腰に負担がかかる作業があるのか」「一人で重い業務を任されないか」といった不安です。だからこそ、具体的な設備やサポート体制を伝えることが重要です。

  • 「記録はすべてタブレット入力。手書き作業が少なく、目や腕の負担を軽減」
  • 「電動ベッド・リフトを導入し、移乗介助の負担を軽減」
  • 「入浴介助は2名体制で行っており、腰痛予防対策も徹底」

また、ICTや福祉用具を積極的に導入している現場であれば、製品名や導入目的、活用方法などを明記することで、より説得力のあるアピールにつながります。

身体的に負荷が少ない業務内容を伝える

介護施設の種類や配属先によっては、身体的負担の少ない業務も多くあります。とくにデイサービスやサービス付き高齢者向け住宅などは、夜勤や重度介助が少ないため、シニア層にも適しています。

  • 「軽度の方が多く、身体介助よりも見守りや話し相手が中心」
  • 「入浴・排泄介助は一部スタッフが対応。他業務との分担体制を整備」
  • 「午前中のみの勤務で、業務内容は見守りとレクリエーションの準備中心」

同世代スタッフの在籍を伝える

「同年代の人が活躍している」という事実は、安心材料になります。年齢に配慮した採用方針や職場の風土を言葉で補足することで、より応募につながりやすくなります。

  • 「60代スタッフも3名在籍。週3日・短時間勤務で活躍中」
  • 「最年長スタッフは72歳。無理のないシフトで勤務しています」
  • 「年齢に関係なく相談しやすい職場です」

「年齢不問」と書くだけでは、「本当に続けられるのか?」という不安には届きません。体力的な不安に対してどんなサポートや配慮があるのかを具体的に伝えることが、シニア層の応募を後押しする鍵になります。

シニア層向けの求人原稿例

【求人タイトル】
無理なく続けられる介護スタッフ募集

【仕事内容】
デイサービス施設「やすらぎの家」にて、利用者さまの見守りやサポート業務をお願いします。
移動や食事の見守り、レクリエーションの準備など、体力的な負担の少ない業務が中心です。

<主な業務>
・ご利用者の送迎補助(添乗のみ/運転なし)
・食事・トイレ介助(スタッフ2名体制)
・レクリエーションの補助、準備
・フロア内の見守り、記録の記入など

<1日のスケジュール例(短時間勤務)>
9:00 出勤・申し送り
9:30 健康チェック・体操
10:00 入浴介助(軽介助のみ)または見守り業務
11:00 レクリエーション準備・補助
12:00 昼食の配膳・見守り
13:00 記録の記入・片付け
13:30 退勤

【応募資格】
<必須条件>
・介護職員初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)以上
・無理なく働けるシフトをご相談いただける方

<歓迎条件>
・介護福祉士資格
・60歳以上の方も歓迎!ブランクがある方も丁寧にサポートします

【職場環境・設備】
・移乗リフト・電動ベッドあり(腰への負担軽減)
・記録はタブレット入力で負担軽減
・スタッフの年齢構成:20代~70代まで在籍
・現在、60代スタッフ4名が週3日勤務中!

【勤務条件】
・勤務時間:9:00~17:00のうち、1日5~7時間
・勤務日数:週3日~相談OK(曜日固定も可能)
・残業ほぼなし(月平均1時間)
・マイカー通勤可/駐車場無料

まずは短時間・少日数からのスタートも可能です。
業務内容やシフトは、働き方のご希望に応じて柔軟に調整しています。
「自分にできるか不安」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

両立できるか不安な子育て世代への配慮を伝える

「家庭との両立ができるかどうか」は、子育て世代の求職者にとって最も重要な判断基準のひとつです。応募の前段階で、「子どもの体調不良時に休めるか」「学校行事への参加は可能か」といった不安を抱えている方が多く、単に「子育て中の方歓迎」と書くだけでは、応募につながらないケースも少なくありません。

だからこそ、求人原稿では具体的な配慮の内容や実績、相談体制を明記することが重要です。

子どもの急病・行事への配慮は「実績」で示す

「休みやすい環境です」ではなく、実際に取得実績があることや制度があることを伝えることで、現実味と安心感が増します。

  • 「昨年度、子育て中のスタッフによる学校行事の休暇取得は延べ52件」
  • 「お子さまの急な発熱による当日欠勤も柔軟に対応しています」
  • 「育児中のスタッフが全体の3割を占めており、お互いに助け合う風土が根づいています」

時短や曜日固定などの働き方例を示す

「週3日OK」「時短可」ではなく、実際の働き方事例を交えて伝えることで、「自分にもできそう」と感じてもらえます。

  • 「保育園の送迎に合わせた9:00〜15:00勤務で働くスタッフも在籍」
  • 「週3日・平日固定勤務で、家庭と両立しながら活躍中」
  • 「小学生2人を育てながら、午前中のみ勤務しているスタッフも」

「相談できる文化」が伝わる文言を加える

両立にはイレギュラー対応がつきものです。柔軟に相談できる職場であることを、制度と雰囲気の両面から伝えましょう。

  • 「学校行事・保育園の送迎時間なども考慮しながらシフト調整可能」
  • 「面接時にご家庭の状況をお伺いし、無理のない働き方をご提案します」
  • 「子育て中の方が働きやすいよう、管理者も定期的に相談の場を設けています」

子育て世代は、「両立できそう」と思える求人でなければ、そもそも応募に至りません。家庭との両立支援に関する情報を曖昧にせず、実例とともに具体的に記載することが、応募数・定着率の向上につながります。

子育て世代向けの求人原稿例

【求人タイトル】
子育てと両立しやすい介護スタッフ

【仕事内容】
住宅型有料老人ホーム「ふれあいケア本町」にて、介護業務をお願いします。
育児中の方が多数在籍しており、子育てに理解ある職場環境です。
時短勤務や曜日固定、急なお休みにも柔軟に対応しています。

<主な業務>
・食事、排泄などの介助業務(軽度の方中心)
・見守り、コミュニケーション
・レクリエーション準備・補助
・介護記録の入力(タブレット対応)

<1日のスケジュール例(時短勤務)>
9:00 出勤・申し送り
9:30 排泄・水分補助
10:00 レクリエーション補助
11:30 昼食準備・食事介助
13:00 休憩(30分)
13:30 見守り・記録入力
14:30 退勤

【応募資格】

<必須条件>
・介護職員初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)以上
・子育て中でも無理なく働きたい方歓迎

<歓迎条件>
・介護福祉士資格
・平日勤務のみ希望の方もご相談ください

【子育て支援・柔軟な働き方】
・週3日・1日5時間から勤務OK
・保育園の送迎時間に合わせたシフト調整可能
・学校行事・お子さまの急な体調不良でのお休みにも対応
・育児中スタッフの在籍率:約30%
・昨年の子育てスタッフによる行事休暇取得:延べ48件

【勤務条件】
・勤務時間:9:00~17:00の間で時短OK(例:9:00~14:30など)
・週3日~相談可(土日祝休みも応相談)
・残業なし/有給取得率90%以上
・希望により正社員登用制度あり

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求職者が「自分にもできそう」と思える原稿を

シニア層や子育て世代は、「働けるかどうか」以前に、「本当に自分に合った職場なのか」を慎重に見極めようとしています。 年齢不問・主婦歓迎といった一言だけでは、応募にはつながりません。だからこそ、求人原稿では、「どんな働き方ができるのか」「どんなサポート体制があるのか」「同じ境遇のスタッフが活躍しているか」など、求職者目線に立った、具体的で安心感のある情報提供が重要です。

応募を後押しするためには、抽象的な歓迎表現ではなく、勤務実態や制度の有無を明示することが欠かせません。的確な情報の提供が、採用数と定着率の向上につながります。

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