はじめに
近年、新卒採用市場ではSNSを活用した採用活動が急速に拡大しています。かつては、企業の公式ウェブサイトや合同説明会、リクルートサイトなどを中心に採用情報を発信していましたが、現在ではSNSを駆使した採用戦略が主流となりつつあります。特に、InstagramやTikTokといったビジュアル重視のプラットフォームは、Z世代の求職者にとって馴染み深い存在であり、企業の魅力を効果的に発信できるツールとして注目されています。
Z世代の学生たちは情報収集の手段としてSNSを多用し、企業の雰囲気や文化をチェックするために企業アカウントをフォローすることも少なくありません。そのため、企業側も従来の採用活動だけでなく、SNSを活用したブランディングが必要不可欠となっています。SNS運用によって、企業の個性や価値観を伝え、求職者にとって「自分に合う職場かどうか」を見極めてもらうことが重要です。
本記事では、新卒採用におけるSNS運用のポイントを詳しく解説し、さらに成功事例を紹介しながら、どのようにして効果的なSNS戦略を立てるべきかを考察します。SNS運用のコツを押さえれば、企業の魅力を最大限に伝え、優秀な人材との出会いを創出することが可能になります。
採用SNSの重要性
Z世代の求職者にリーチしやすい
Z世代(1996年〜2010年生まれ)の多くは、生まれたときからインターネットに触れており、SNSを日常的に活用しています。特にInstagramやTikTokは、エンタメ性の高いコンテンツが好まれ、視覚的な情報が求められるプラットフォームとして浸透しています。従来の採用方法では届かなかった層にも、SNSを活用することで効果的にリーチできるのが大きな魅力です。
例えば、企業の公式ホームページを閲覧するよりも、就活生はSNSで「社風」や「社員の雰囲気」をチェックする傾向があります。社員が発信する日常の様子や、採用担当者が運営するインターンシップ情報などは、就活生にとって貴重な情報源となります。このように、企業が積極的にSNSを活用することで、求職者との距離を縮め、より親しみを感じてもらうことが可能になります。
さらに、SNSではシェア機能が充実しているため、一つの投稿がフォロワーによって拡散され、採用情報が自然に広がるメリットもあります。学生同士が「この会社気になる!」と情報を共有することで、企業認知度が飛躍的に向上することも珍しくありません。
求職者のSNS閲覧状況(新卒)

※参考先:https://campus.doda.jp/career/job/000246.html
求職者のSNS閲覧状況(中途)

※参照先:https://one-group.jp/press/210719.html
企業のカルチャーを伝えやすい
従来の採用サイトや説明会だけでは伝えきれない企業のリアルな雰囲気を、SNSを通じて発信できるのも大きな強みです。企業の文化や社員の働き方、職場環境などを可視化し、求職者に「自分がここで働くイメージ」を持たせることができます。
例えば、社員のインタビュー動画を通じて「実際にどのような人が働いているのか」「どのような価値観を持っているのか」を伝えることで、求職者はより具体的に企業を理解できます。また、オフィスツアーの動画を投稿することで、職場の雰囲気を直感的に伝えることができます。
加えて、企業のミッションやビジョンをSNSで発信することも重要です。就活生は「どのような会社で、どのような価値を提供しているのか」を重視するため、企業の理念や社会貢献活動を発信することで、より深く共感を得ることができます。これにより、「この会社で働きたい」と思う求職者を増やすことが可能になります。
双方向のコミュニケーションが可能
SNSの最大の特徴は、企業と求職者がリアルタイムでコミュニケーションを取れる点です。従来の採用活動では、説明会やメール対応が中心でしたが、SNSではコメントやダイレクトメッセージ(DM)を通じて、求職者と直接やりとりができます。
例えば、企業の公式アカウントで「質問コーナー」を設け、就活生からの疑問にリアルタイムで答えることで、採用活動の透明性を高めることができます。また、インターンシップの募集開始をストーリー機能で告知することで、興味のある学生が素早く情報をキャッチできるようになります。
さらに、InstagramライブやTikTokライブを活用すれば、採用担当者や現場社員が就活生と直接会話する機会を作ることができます。「社内の雰囲気を知りたい」「リアルな社員の声を聞きたい」と思う就活生に対して、よりパーソナルな情報を提供できるのです。
採用ブランドの強化につながる
SNSの活用は、単に採用情報を発信するだけでなく、企業の採用ブランドを強化する手段としても有効です。企業の公式SNSアカウントを戦略的に運用することで、「この企業は魅力的」「働きたい」と思ってもらうことができます。
例えば、採用ブランドを強化するためには、次のような工夫が考えられます。
- 統一感のあるデザイン:投稿のデザインやトーンを統一し、企業のイメージを確立する。
- ストーリーテリングの活用:単なる情報発信ではなく、実際の社員のエピソードやストーリーを交えて投稿する。
- 社員の巻き込み:社員が自ら発信するコンテンツを増やし、よりリアルな企業の姿を伝える。
こうした取り組みを行うことで、求職者の関心を引きつけ、企業の魅力を効果的にアピールすることが可能になります。
成果の測定と改善が可能
SNS運用のもう一つの大きなメリットは、成果を測定し、改善を繰り返せる点です。例えば、投稿のリーチ数やエンゲージメント率(いいね、コメント、シェア数)を分析することで、どのコンテンツが求職者に響いているのかを把握することができます。
さらに、SNS広告を活用すれば、特定の属性を持つ求職者に向けてピンポイントで情報を届けることができます。例えば、「IT系の企業に興味がある学生」「関東圏の大学生」など、細かいターゲティングを設定し、最適な形で採用情報を届けることが可能です。
実際にSNSの導入効果としては下図のような結果が出ています。

SNSをより効率的に運用していくことで、求職者からの認知獲得や応募意欲の醸成に繋がっていきます。
※参考先:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000089446.html
SNSを活用した新卒採用は、単なる情報発信の手段ではなく、企業と求職者が直接つながる重要なツールとなっています。採用活動を成功させるためには、SNSの特性を理解し、効果的な運用戦略を立てることが不可欠です。企業の魅力を最大限に伝えるために、SNSの活用を積極的に進めましょう。
採用SNS運用のポイント
ペルソナを明確にする
新卒採用におけるSNS運用では、どのような学生をターゲットにするのかを明確にすることが最も重要です。単に「新卒採用を増やしたい」と考えるのではなく、どのような特性を持った学生を求めているのかを具体的に設定することが、SNSを通じた効果的なアプローチにつながります。例えば、「主体性のある学生」「チームワークを大切にする学生」「デジタルスキルが高い学生」など、具体的な人物像を設定し、それに応じたコンテンツを制作することが必要です。
さらに、求職者の興味や関心を分析するために、SNSのフォロワー分析ツールを活用しましょう。どの投稿がどの層にリーチし、どのコンテンツにエンゲージメントが高まるのかをデータで把握することで、より効果的なSNS戦略を立てることができます。
投稿内容のバリエーションを増やす
SNS運用において、単調な採用情報ばかりを発信してしまうとフォロワーが興味を失ってしまう可能性があります。そのため、多様なコンテンツを組み合わせ、企業の魅力を幅広く伝えることが重要です。
以下のようなコンテンツを定期的に投稿し、フォロワーとの接点を増やしましょう。
- 社員インタビュー:実際に働く社員のインタビュー動画や記事を掲載し、求職者にリアルな職場環境を伝える。
- オフィスツアー:オフィス内の設備や雰囲気を映した動画や写真を投稿し、働く環境を可視化する。
- Q&Aコーナー:求職者からのよくある質問に回答する投稿を作成し、就活生の不安を解消する。
- 社内イベントの紹介:社内の研修プログラムや社員交流イベントの様子を投稿し、企業文化を伝える。
- 仕事の裏側:社員が日々どのように仕事をしているのかを紹介し、実際の業務内容を知ってもらう。
特にショート動画はエンゲージメントが高まりやすいため、TikTokやInstagramのリール機能を活用し、企業の魅力を短時間で伝える工夫をしましょう。
また、季節イベント(花見や花火など)に合わせた投稿を行うことや、流行の話題とかけ合わせたコンテンツの企画を行うことで、SNSユーザーからの興味・閲覧を獲得していくことも有効的な運用となります。
定期的な投稿とストーリーズの活用
SNSの効果を最大化するためには、コンスタントな情報発信が不可欠です。長期間更新がないアカウントはフォロワーの興味を引き続けることが難しくなります。投稿の頻度を決め、週に3〜4回程度の更新を目安に計画を立てましょう。
Instagramにおいてはアルゴリズム上、理想の投稿本数が月8回となっています。
また、InstagramやTikTokではストーリーズ機能やライブ配信を活用することで、リアルタイムの情報発信が可能になります。特にストーリーズは24時間で消えるため、気軽に投稿でき、日々の業務風景やオフィスの雰囲気を手軽に伝える手段として活用できます。
さらに、ライブ配信を活用して人事担当者や社員と求職者のリアルな交流を実施することで、エンゲージメントを向上させることができます。例えば、「新卒採用の説明会ライブ」「現場社員との座談会」「内定者インタビューライブ」など、求職者が気になるテーマを取り上げると効果的です。
ハッシュタグとSEO対策
SNSでの露出を増やすためには、適切なハッシュタグの活用が欠かせません。採用活動に関連するハッシュタグを適切に選定し、投稿のリーチを広げることが重要です。
例えば、
- #新卒採用
- #23卒
- #企業文化
- #インターンシップ
- #就活生と繋がりたい
といったタグを活用し、適切なユーザーにコンテンツを届けましょう。さらに、投稿文には検索に引っかかりやすいキーワードを自然に組み込み、SNS内でのSEO効果を高める工夫も必要です。
インフルエンサーや社員の活用
採用活動においては、企業の公式アカウントだけでなく、社員やOB・OGを活用した情報発信も効果的です。社員が自らの視点で企業の魅力を発信することで、よりリアルな雰囲気が伝わりやすくなります。
また、業界のインフルエンサーや就活系YouTuberとのコラボレーションも有効です。就職活動に関心のあるフォロワーを多く抱えているインフルエンサーと協力することで、企業の認知度を大幅に向上させることができます。
例えば、
- 企業紹介のタイアップ投稿
- 社員とインフルエンサーの対談企画
- 企業訪問動画の制作
などを実施することで、より多くの求職者にリーチしやすくなります。
分析と改善を繰り返す
SNS運用は、ただ投稿するだけではなく、定期的に成果を分析し、改善を繰り返すことが重要です。投稿ごとのリーチ数、エンゲージメント率、フォロワー数の推移などをデータで確認し、どのコンテンツが最も反響があったのかを把握しましょう。
また、求職者からの反応を参考にしながら、投稿内容をブラッシュアップすることで、より効果的なSNS運用が可能になります。必要に応じて、SNS広告を活用し、ターゲット層にダイレクトにリーチする戦略も有効です。
SNSを活用した新卒採用は、企業と求職者の距離を縮める非常に有効な手段です。ターゲット層に合わせたコンテンツを発信し、インタラクティブなコミュニケーションを行うことで、企業の魅力を最大限に伝えることができます。戦略的なSNS運用を行い、より多くの優秀な人材と出会う機会を創出しましょう。
InstagramとTikTokの特性と活用の重要性
近年、企業の新卒採用活動において、SNSの活用は欠かせないものとなっています。その中でも、InstagramとTikTokは特に影響力が強く、求職者との接点を増やすために最適なツールとされています。では、それぞれのプラットフォームの特性と活用方法について詳しく見ていきましょう。
Instagramの特性と活用方法
Instagramは視覚的なコンテンツが中心のSNSであり、特にブランディングや企業文化の発信に適しています。フィード投稿、リール、ストーリーズなど、多様なコンテンツフォーマットを活用することで、企業の魅力を求職者に伝えることが可能です。
ブランディングと企業文化の可視化
- フィード投稿で企業の理念やミッションを伝える。
- 社員のインタビューやオフィスツアー動画をリールで投稿。
- ハイライト機能を活用し、採用情報をカテゴリーごとに整理。
ストーリーズの活用でリアルな情報提供
- 1日密着型のコンテンツで社員の働き方を紹介。
- Q&Aセッションを設け、求職者の疑問にリアルタイムで回答。
- インターンシップや説明会の告知を定期的に配信。
エンゲージメント向上の工夫
- #新卒採用 #企業カルチャー などのハッシュタグを活用し、ターゲット層にリーチ。
- Instagramライブを開催し、就活生と双方向のコミュニケーションを実現。
TikTokの特性と活用方法
TikTokは短尺動画を主体としたSNSで、拡散力が非常に高いのが特徴です。特に、エンタメ性のあるコンテンツが人気を集めやすく、企業の魅力をカジュアルに伝えるのに適しています。
既存社員が参加し、就活生からの質問にリアルタイムで回答。
ショート動画を活用した採用マーケティング
- 「1日密着」シリーズで社員の業務風景を紹介。
- 企業の魅力を音楽やエフェクトを使って楽しく表現。
- 若手社員が自ら出演し、親しみやすいコンテンツを制作。
ハッシュタグチャレンジの実施
- #新卒採用チャレンジ などのハッシュタグを活用し、求職者の関与を促進。
- 採用に関する質問に動画で答えることで、視聴者の興味を引きつける。
ライブ配信で求職者と直接対話
- 採用担当者が企業説明会をライブで実施し、リアルな情報を提供。
- 既存社員が参加し、就活生からの質問にリアルタイムで回答。
新卒採用SNSの成功事例
Instagramを活用した医療業界コンサルティング企業A社の事例
A社は、新卒採用向けにInstagramを積極的に活用し、企業の魅力を発信しました。
彼らの成功の鍵となったのは、新卒学生視点に立った投稿コンテンツの構成を工夫したことです。
新卒学生の就活相談コンテンツ
自己分析の仕方や面接時の逆質問集など、新卒学生が悩みがちなポイントかつ誰にも聞けないような内容をあえて投稿コンテンツに混ぜることで、新卒学生からの興味獲得やインプレッション獲得に繋がりました。
社員インタビューシリーズ
職種の垣根を超えてあらゆる社員がどのようなキャリアを歩んでいるのかを紹介し、企業文化や成長の機会をアピールしました。
ハッシュタグ戦略の活用
#新卒採用 #就活生 #〇〇学部 など、求職者が検索しやすいハッシュタグを活用し、エンゲージメントの増加を狙いました。
採用サイトとの連携
アカウントプロフィールへ採用サイトのURLを設置することで、アカウント閲覧した=詳細内容を覗きに来たユーザーを効率よく自社採用サイトへ遷移させることができました。
結果として、運用期間の1年間の中で、Instagram経由の新卒エントリー者を5ヵ月で62名獲得、資料請求が18名、インターンシップ申込みが15名と大きな成果を創出しました。
TikTokを活用した人材派遣企業C社の成功事例
C社はTikTokを活用し、エンタメ性のあるコンテンツを投稿することで多くの求職者からのリーチ獲得/興味獲得を成功させました。
社員の成長記録シリーズ
若手社員が仕事を通しての学びや、やりがいを実際の業務を行いながら語るVlog系コンテンツを作成しました。これによってよりリアルな仕事現場のイメージ創出とそこからの成長過程が明確になりました。
オフィスの舞台裏を紹介
職場のリアルな雰囲気を動画で伝え、応募者に働くイメージを持ってもらう。
この施策により、TikTokでのフォロワーが30,400人増加し、95,200いいねの獲得に繋がりました。また、1投稿あたりの最大再生数は2.2Mと再生数も多く獲得できました。
まとめ
InstagramとTikTokは、それぞれ異なる特性を持ちつつも、新卒採用において非常に有効なプラットフォームです。企業ごとの特色を活かしながら、SNS戦略を構築することで、より多くの求職者にアプローチできます。
Instagramはブランディングと詳細情報の提供に最適
- 視覚的な訴求力が高い
- ストーリーズやリールで詳細な情報発信が可能
- インタラクティブなQ&Aで求職者とつながれる
TikTokはエンタメ性と拡散力が強み
- 短時間で強いインパクトを与えられる
- 参加型コンテンツやハッシュタグチャレンジが効果的
- 企業の雰囲気をカジュアルに伝えられる
これらのSNSを戦略的に活用することで、新卒採用の成功確率を高め、優秀な人材との出会いを生み出すことが可能になります。今後も、トレンドを取り入れながら最適なSNS採用戦略を構築していきましょう。
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