Power Automate for Desktop(PAD)で自動化フローを作成する際、繰り返し処理は非常に重要な機能の一つです。Excelのデータを1行ずつ処理したり、フォルダ内の複数ファイルを順番に操作したりするなど、実務での自動化では同じ処理を繰り返す場面が多くあります。

しかし、PADには「For each」「Loop」「ループ条件」など、複数の繰り返し処理が用意されており、どのアクションを使えばよいのか迷うことも少なくありません。また、「次のループ」や「ループを抜ける」など、似たような動きをするアクションの違いが分かりにくいと感じる方もいるでしょう。

この記事では、Power Automate for Desktopで使用できる繰り返し処理の基本と、それぞれのアクションの役割について解説します。Excelデータを使った具体例も交えながら、実務で活用するためのポイントを分かりやすく説明します。

※本記事は2026年3月時点の仕様に基づいています。今後のアップデートにより、画面表示や名称が変更になる可能性があります。

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繰り返し処理(ループ処理)とは

Power Automate for Desktop(以下、PAD)の繰り返し処理とは、同じ処理を複数回自動実行する仕組みです。一般的にループ処理と呼ばれます。

例えば、次のようなケースで使われます。

  • Excelの全行を順番に処理する
  • フォルダ内のファイルを1つずつ操作する
  • 同じ操作を複数回実行する

一見単純な作業でも件数が増えると時間と手間がかかります。繰り返し処理を活用することで、これらの作業を効率的に自動化できます。

PADでは「ループ」グループの中に複数のアクションが用意されています。それぞれの役割を理解することが重要です。

For each

For eachは、リストやデータテーブルなどの集合データを1件ずつ取り出して処理するアクションです。

基本設定

「反復処理を行う値」に、繰り返し対象となるデータを入力します。リストやデータテーブルなど、複数の要素を持つデータが対象です。

保存先では、各繰り返しで取得したデータを格納する変数を指定します。For eachの内部ではこの変数に格納された値を使って処理を記述します。

For eachでExcelの各行を処理する例

次のようなExcelデータを使用します。

このデータを読み取り、各行を順番に処理していきます。

まず「Excel ワークシートから読み取る」アクションを使用し、読み取り結果を %ExcelData% に格納します。

※Excelデータの1行目に項目名が入っている場合、「範囲の最初の行に列名が含まれています」をオンにします。

この時点で、ExcelDataはデータテーブル形式になっています。

次に「For each」を追加し、

  • 反復処理を行う値:%ExcelData%
  • 保存先:CurrentItem

と設定します。

この設定により、ExcelDataの各行が1行ずつCurrentItemに格納されます。
ここで重要なのは、CurrentItemには列の値ではなく「1行分のデータ」が入るという点です。列ごとの値を参照する場合は、列名またはインデックスを指定します。

例えば「メッセージを表示」アクションに次のように入力します。

%CurrentItem[‘名前’]% の点数は %CurrentItem[‘点数’]% 点です

このように列名を指定すれば、各行の「名前」と「点数」を取得できます。

以下のように列番号で指定することも可能です。

%CurrentItem[0]% の点数は %CurrentItem[2]% です

ただし、列の順番が変更された場合に影響を受けるため、実務では列名での指定が安全です。
フローを実行すると、各行のデータが順番に表示されます。

Loop

Loopは、指定した回数だけ処理を繰り返すアクションです。

基本設定

Loopの設定画面では、次の3項目を指定します。

  • 開始値
  • 終了
  • 増分

例えば、開始値1、終了5、増分1と設定すると、1から5まで合計5回処理が実行されます。

Loopを追加すると、ループ内で使用できる変数が自動的に作成されます。この変数には現在の繰り返し回数が格納されます。

Loopで回数を指定して処理する例

動きを確認するために、「現在の回数は %LoopIndex% 回目です」とメッセージで表示します。

フローを実行すると、1回目から5回目まで順番に表示されます。

For eachがデータを順番に処理するのに対し、Loopはあらかじめ決めた回数だけ処理を実行します。

ループ条件

ループ条件は、指定した条件が成立している間、処理を繰り返すアクションです。

基本設定

  • 最初のオペランド
  • 演算子
  • 2番目のオペランド

例えば、

  • 最初のオペランド:%CountNumber%
  • 演算子:より小さい
  • 2番めのオペランド:10

と設定すると、CountNumberが10未満の間、処理が繰り返されます。

ループ条件で使用している変数は、ループ内で値を変更する必要があります。値が変わらないと条件がずっと成立したままとなり、ループが終了しません。

次のループ

次のループは、その回の処理だけを終了し、次の繰り返しへ進むアクションです。
例えば、特定の条件に一致した場合だけ処理をスキップしたいときに使用します。
ループ自体を終了するわけではありません。

CountNumberが5のときだけ処理をスキップする例を見てみます。

まず、変数 CountNumber に0を代入します。

次に、CountNumberが10未満の間繰り返すループ条件を設定します。

ループの中にIfを追加し、次のように設定します。

  • 最初のオペランド:CountNumber
  • 演算子:と等しい
  • 2番めのオペランド:5

そして、このIfの中に「次のループ」を配置します。

フローの構造は次のとおりです。

このフローを実行すると、CountNumberが5のときだけメッセージは表示されません。

これは、CountNumberが5になったタイミングで「次のループ」が実行され、その回の残りの処理がスキップされるためです。その後、次の繰り返しへ進みます。

次のループは、特定の条件に当てはまる場合だけ処理を飛ばしたいときに有効です。

ループを抜ける

ループを抜けるは、現在のループ処理を終了するアクションです。
条件に一致した時点で、繰り返し自体を終了させたい場合に使用します。

このフローを実行すると、表示は次のようになります。

 現在の値は 0 です
 現在の値は 1 です
 現在の値は 2 です
 現在の値は 3 です
 現在の値は 4 です

CountNumberが5になった時点で「ループを抜ける」が実行されるため、それ以降の処理は行われません。

「次のループ」と「ループを抜ける」の違い

ここで改めて整理します。

  • 次のループ → その回だけスキップして続行
  • ループを抜ける → ループ全体を終了

似ているように見えますが、動きは大きく異なります。
特定の条件に一致したら処理を完全に止めたい場合は、「ループを抜ける」を使用します。

まとめ

PADの繰り返し処理には、それぞれ明確な役割があります。

  • データを順番に処理する → For each
  • 回数を指定する → Loop
  • 条件で繰り返す → ループ条件
  • その回だけを飛ばす → 次のループ
  • ループ自体を終了する → ループを抜ける

これらを正しく使い分けることで、意図通りの自動化が実現できます。

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