「新人が“辞めない・育つ”組織づくり5ステップ」シリーズでは、内定から1年目までの各フェーズにおける定着につながる育成の仕組みをご紹介しています。

最終回のテーマは、「自立と協働を促す研修」です。

新人育成において、初期の教育や関係づくり、報連相を中心としたコミュニケーションの基盤づくりは非常に重要です。第1回〜第4回では、そうした土台となる環境や関わり方についてご紹介してきました。しかし、その環境の中で新人が「自ら行動する姿勢」を持てなければ、成長は一時的なものになってしまいます。どれだけ教えても、関係性が良くても、「受け身のまま」では、成長の限界が訪れます。

そこで今回は新人が「受け身」から脱し、自ら考え動く力=スタンスをどう育てていくかに焦点を当て、主体性・責任感・チーム意識といったマインドや行動習慣を、育成の早い段階からどう育てていくかについて解説します。

“言われたことをやる”から、“自ら動き、周囲と関わる”へ。この変化を後押しするために重要なのが、振り返りや実感を通じた「自分の成長に気づく機会」です。今回は、そうした成長を支えるフォロー研修の設計ポイントや、現場・人事の関わり方までを含めて、「新人が成長し続ける力を育む」ための視点をお届けします。

「教えられ待ち」から「自ら動く」へ

入社直後の新人が受け身でいるのは、ある意味では自然なことです。仕事も職場も初めての中で、「教えてもらう前提」で動いてしまうのは当然の反応とも言えるでしょう。しかしそのままの状態が長く続いてしまうと、自分で考えて行動する力が育たず、配属後の成長が止まりやすくなるという課題が出てきます。

ここで重要になるのが、スキルと同じように、スタンスも早期にインプットし、現場で実践できるようにしておくことです。同じ経験をしても、受け身な姿勢では“やらされた感”が残り、成長につながりにくくなります。一方で、あらかじめ「どんな意識や姿勢で仕事に向き合うべきか」という軸があれば、新人自身が意味づけをしながら経験を積むことができ、学びや吸収の質が格段に変わってくるのです。

だからこそ、入社初期のタイミングで「スタンスを共有・インプットする研修」を導入しておくことが有効です。

  • チームの中で自分はどう動くべきか
  • 指示を待つだけでなく、どのように周囲と関わるか
  • 主体性とはなにかを言葉と行動で整理する

たとえば、このような内容を扱い、配属後の行動を支える意識の土台を形成します。

そしてこのスタンスの土台を現場で実際の行動につなげていくためには、「きっかけ」が必要です。本人が自然と動き出せるようにするには、行動の主語を自分に戻せるような仕掛けや問いかけがあるかどうかが重要です。

「もっと主体的にやって」と声をかけるだけでは、なかなか変化は起きません。「何が求められていると思う?」「あなたならどうする?」といったやりとりを通じて、新人が自分の意志で動き出せるように働きかけることが、スタンスを現場で活かすための鍵になります。

スタンスは、自然に育つものではありません。スキルと同じように、早期からのインプットと実践の機会設計があってこそ、行動の質を高め、成長を後押しする力になっていくのです。

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スタンス形成の第一歩に「新人向けスタンス研修」

スタンスは早期から意識づけることで、その後の行動や学びに大きな差が生まれます。「新人向けスタンス研修」では、仕事への向き合い方を言語化し、自分なりの軸を持つプロセスを通じて、配属後の行動変容を後押しします。

研修の主な内容

  • 社会人としての基本的な立ち振る舞いや、仕事への向き合い方
  • 成長し続ける姿勢や、変化に敏感であることの重要性
  • お客様との接し方、最後までやり抜く責任感、当たり前のことを丁寧にやる意識

業務上のよくある場面(報連相・仕事への姿勢など)を題材に、「自分ならどう行動するか?」を問いかけながら、考え方と行動を結びつける内容となっています。

受講者の声

「焦りやすい場面を事前に学べたことで、実際の現場でも落ち着いて行動できそうです。」
「当たり前のことでも、できていないことに気づき、日々意識する重要性を感じました。」
「困ったときに立ち返れる、自分なりの考え方や指針ができたと感じます。」

スキルや知識の前に、「どう動くか」というスタンスを育てることが、成長の土台になります。育成のスタートに、ぜひスタンス研修を組み込んでみてはいかがでしょうか。

成長を実感できる振り返り・発表型フォロー研修の効果

新人が「自ら動く」ようになるためには、自分の成長を実感できるタイミングをつくることが欠かせません。どれだけ努力していても、手応えがなければ次の行動にはつながりません。だからこそ、「自分は成長している」と気づける仕掛けが、主体性を引き出す鍵になります。

フォロー研修はその絶好の機会です。特に、入社から数ヶ月が経過し、ある程度業務に慣れてきたタイミングで実施する振り返りは、新人にとって「立ち止まり、見直す」貴重な時間になります。

よくあるのが、成果や数値、行動の達成有無だけで良し悪しを判断してしまうケースです。しかし、それでは“できた人だけが評価される場”となってしまい、結果が思うように出なかった新人は、必要以上に落ち込み、自信を失ってしまうこともあります。

成長を「実感」に変える振り返りの設計

重要なのは、「できた/できなかった」ではなく、「やってみてどうだったか」という視点です。たとえ決めた行動が実行できなかったり、思ったような成果が得られなかったとしても、次のような問いで振り返ることで、ゴールに近づくための課題が明確になり、次の一歩が具体的になります。

  • どうすればできるようになるか?
  • どんな工夫や変化があったか?

その意味で、フォロー研修は単なる復習の場ではなく、自分の行動を客観視し、必要に応じて軌道修正するための“メンテナンスの機会”と位置づけることが大切です。

発表形式が生む、主体性と相互の学び

また、こうした振り返りを発表形式で行うことには、さらに大きな意味があります。「自分の言葉で語る」ことで、学びを整理し、他者に伝える責任感が生まれます。その過程で、ただ教わったことをなぞるのではなく、「自分はこう考え、こう動いた」という内省と主体性が強化されるのです。

聞いている側の新人たちも、発表を通じて「同じような壁にぶつかっていたんだ」と共感したり、「そんな工夫もあるのか」と視野を広げたりするなど、相互の学びが生まれるのも大きな効果です。

フォロー研修を「できたかどうかを確認する場」ではなく、「今の自分を振り返り、これからどう成長していくかを考える場」にできるかどうか。それによって、新人がこの研修を通じて得るものは大きく変わってきます。

自分の言葉で、自分の経験を語る。その過程で芽生えた気づきが、自信となり、次の行動へとつながっていくのです。

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小さな成功体験を積ませる仕掛け

新人が「自ら動く」ようになるためには、行動のきっかけとなる小さな成功体験の積み重ねが欠かせません。たとえば、「教わらなくても自分で対応できた」「初めて自分から提案できた」「お客様の反応が良かった」などの些細な成功が、新人本人にとっては大きな自信となり、次の行動を後押しします。

重要なのは、こうした成功体験のハードルを高く設定しないこと。成果として評価できるような完成された結果ではなく、日常業務の中で「一歩前に踏み出せた瞬間」を拾い上げることが鍵です。そして、その小さな成功を本人が「成功だ」と自覚できるようにする仕掛けが、行動の継続に直結します。

小さな成功を「成功だ」と実感させる関わり方

ここで欠かせないのが、先輩や上司によるフィードバックと問いかけです。まず一つは、新人の変化や工夫にいち早く気づいて、言葉にして伝えること。

「最近、周囲の動きをよく見て動けているね」
「その報告、すごく整理されていて助かったよ」

といったフィードバックは、本人にとって「ちゃんと見てもらえている」「自分は成長している」という実感につながります。

もう一つは、その変化の背景にある努力や工夫を本人の言葉で語ってもらうことです。「それって、何か意識してやってみたの?」「どうしてそのやり方を選んだの?」と問いかけることで、自身の行動を内省し、言語化する機会になります。

成功体験が行動の循環を生み出す

人はどうしても「できなかったこと」「失敗したこと」に意識が向きがちです。だからこそ、自分でも気づかないうちに通り過ぎてしまいそうな小さな成功を、周囲が拾い上げることが大切なのです。

そうすることで、「やってよかった」という気持ちが生まれ、モチベーションが高まり、積極性や主体性へとつながっていきます。その行動に対して、また先輩や上司がフィードバックを行い…という、良い循環が生まれていくのです。

評価ではなく、実感としての成功。それを積み重ねることで、新人は「自分は成長している」という確信を持ち、自ら考え動くスタンスを徐々に育んでいきます。

“成長し続ける新人”を育てるための上司・会社の関わり方

いくらスタンスや主体性の重要性を研修で伝えても、それが職場で日々実践されなければ、新人の行動は定着しません。スタンスづくりや行動変容は、短期的なイベントではなく、日々の現場で少しずつ育まれていくものです。だからこそ、新人が“成長し続ける”ためには、配属後の職場でどのような関わりがあるかが重要なカギとなります。

実際、何かに挑戦しようとしていた新人が、「失敗を気にする空気」「意図をくみ取ってもらえない環境」「振り返る機会がない」などの理由で、自分から動くことをやめてしまうケースは少なくありません。上司やOJT担当者のちょっとした声かけや気づきの共有が、新人の自信や前向きな姿勢を支える力になります。

行動の背景を問いかけたり、小さな変化に気づいてフィードバックすること。こうした関わりが、本人にとっては「見てくれている」「わかってもらえている」という安心感になり、それが挑戦の意欲を引き出すのです。

育成を“現場任せ”にしないための仕組みづくり

一方で、育成が職場に“任せきり”になっていると、こうしたサポートの質や頻度は上司によって大きくバラついてしまいます。そのため、会社として「育成を線で支える仕組み」をつくることが欠かせません。

たとえば、研修後の行動変容が続くよう、職場と連動したフォロー体制を設ける。あるいは、上司向けに「関わり方の型」や「成長を支えるフィードバック」のあり方を伝える場をつくるといった取り組みです。

配属前にスタンス研修で自分の軸を持ち、フォロー研修で成長を実感し、小さな成功体験を積んでいく――。こうしたプロセスが、職場と会社が連携しながら仕掛けを重ねることで、“一過性ではない成長のサイクル”として回っていきます。

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職場での関わりを変える「マネジメント・コミュニケーション研修」

スタンスは新人だけでなく、受け入れる上司や先輩にとっても重要な視点です。「マネジメント研修(コミュニケーション研修)」では、マネジメントの基本的な役割を踏まえたうえで、関わり方のスタンスや、日常業務でのコミュニケーションの実践力を高めていきます。

研修の主な内容

  • マネジメントとは何か?という原点から考える、上司としての役割とスタンス
  • 主体性を引き出すための声かけや、信頼関係を築く日常的なコミュニケーション
  • 報連相が自然に生まれる関係づくりや、意欲をしぼませないフィードバックのコツ

業務上のよくある場面(新人の報告への返し方・困っていそうなときの声のかけ方など)を題材に、「自分ならどう関わるか?」を問いかけながら、新人の成長を支えるための関わり方を実践的に学ぶ内容となっています。

受講者の声

「自分自身のスタンスやマネジメントに対する姿勢を見直すことができました。」
「相手の立場を意識することの大切さを再認識しました。」
「普段のコミュニケーションが、組織全体の成果にも影響することを実感しています。」
「他のメンバーの考えを知ることで、自分に足りない視点に気づくことができました。」

上司だけでなく、チーム全体でより良い職場環境をつくっていくために、一人ひとりのマネジメントスタンスを見直し、育成への関わり方をアップデートする機会として、ぜひご活用ください。

成長を“支える仕組み”が、辞めずに育つ組織をつくる

新人の育成とは、単にスキルや知識を教えることではありません。「安心して声を出せる関係性」「仕事に向き合うスタンス」「自ら動ける環境」。こうした要素がかけ合わさることで、新人は“自分の力で成長し続ける人材”へと育っていきます。

本シリーズでは、新人が「辞めずに、育つ」ために必要なステップを、以下の5つのフェーズに分けてご紹介してきました。

この5回を通じてお伝えしたのは、育成を“点”で終わらせず、組織として“線”で支えることの重要性です。「教えたはずなのに、動かない」「関係性はいいのに、成長が止まる」といった声の背景には、こうした仕組みの分断があることも少なくありません。

人が育つには、環境が必要です。そしてその環境とは、個人の努力や現場の熱意だけに頼るものではなく、会社として設計できるものでもあります。

新人が辞めずに育ち、やがて次の世代を支える存在へと育っていく――そんな“成長の連鎖”を生み出すために、今、何を仕組みとして整えていくか。本シリーズが、皆さまの育成設計に少しでもお役に立てれば幸いです。

新入社員の育成で、こんなお悩みはありませんか?

「学生気分がなかなか抜けず、指示待ちになってしまう」
「報連相や仕事の進め方が人によって違い、現場が戸惑っている」
「OJTはしているが、新入社員の不安が解消されているのか分からない」

新入社員の育成において、こうした悩みを感じている企業は少なくありません。とくに入社直後は、何を求められているのか分からない不安が、行動のブレーキになりがちです。

アクシアエージェンシーの新入社員研修は、社会人としてのスタンスから、現場で求められる基本行動までを整理し、新入社員が安心して一歩を踏み出せる「土台づくり」を重視しています。

アクシアエージェンシーの新入社員研修の特徴

  • 社会人としての考え方・姿勢を言語化し、行動の基準を明確に
  • 報連相や仕事の進め方を、知識で終わらせず実践レベルまで落とし込み
  • 新入社員と育成担当者の認識を揃え、育成のばらつきを防止
  • 講義だけでなく、ワークやロールプレイを通じて「使える学び」を定着

研修は、実施して終わりではありません。新入社員が不安を減らし、現場で自立して行動できる状態を目指します。

「今の育成の進め方で良いのか分からない」「どこから手をつけるべきか悩んでいる」といった段階でも構いません。貴社の状況に合わせて、研修の設計から一緒に整理します。

コースラインナップをご紹介
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フリーダイヤル:0120-00-1616

監修者情報

株式会社アクシアエージェンシー
ビジネスソリューションユニット 研修開発グループ

中井 美沙

株式会社アクシアエージェンシー新卒入社。求人広告営業として大手中小企業の採用活動に携わる。2020年人事コンサルティング会社へ出向し研修企画実施や人事評価制度運営などに従事。2022年に研修開発部立ち上げに参加。人事部と兼務しながら社内の人材育成、人事評価制度運用、人事面談、社内外の研修企画実施などに従事。国家資格キャリアコンサルタント取得。株式会社アナザーヒストリー プロコーチ養成コーチングスクール修了。

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