「新人が“辞めない・育つ”組織づくり5ステップ」シリーズでは、採用後のフォローから職場定着までの育成ステップを、段階ごとにわかりやすく紹介しています。

第3回のテーマは、「育成担当者の育成」

新人が定着・活躍するうえで欠かせないのが、現場で直接関わるOJT担当者や先輩社員の存在です。いくら採用や研修に力を入れても、「教える人」が不安や戸惑いを抱えたままでは、育成はうまく機能しません。

最近では、「どう教えたらいいかわからない」「つい自分でやってしまう」「指導に自信がない」といった声が、育成の現場から多く聞かれます。こうした育てる側の迷いこそが、早期離職や成長の停滞につながる一因でもあります。

だからこそ、新人を育てる前に、「教える人を育てる」ことが、育成成功のカギになるのです。今回は、OJT担当者の役割指導のポイント育成に自信を持つための支援施策についてご紹介します。

新人が育たない原因は「育てる側の迷い」

「配属後、しばらくして辞めてしまった」「何を考えているのかわからない」「こちらの意図が伝わらず、距離が縮まらない」こうした新人に関する悩みの裏には、OJT担当者や現場の先輩社員自身が、どう関わればいいかわからないという不安や戸惑いを抱えていることが少なくありません。

特に現場では、育成担当の役割を突然任されるケースが多くあります。指導経験が豊富なわけでも、教え方を学んできたわけでもない中で、手探りで関わっている担当者がほとんどです。

「自分も忙しい中で、どう時間を使えばよいか分からない」
「指摘すると嫌がられるのでは…と遠慮してしまう」
「どこまで任せていいか、どこまで教えるべきかの判断が難しい」

こうした迷いが積み重なると、新人への関わりが曖昧になり、結果的に「放置されている」「距離がある」と新人に感じさせてしまう原因になります。

新人の育成がうまくいかないとき、その要因を新人本人の特性だけに求めるのではなく、育てる側の環境やスキルに目を向けることが大切です。育成を「現場任せ」にせず、教える側の力を育てる取り組みが、新人の成長と職場の信頼関係を大きく左右するのです。

教えるのが苦手な人に共通する3つの傾向

新人育成の現場でよく耳にするのが、「うまく教えられている気がしない」「何をどこまで伝えればいいかわからない」「ちゃんと成長しているのか不安になる」といった、教える側の戸惑いの声です。特に初めてOJTを任される社員や、育成に慣れていない若手・中堅層では、「自分には向いていないのでは」と感じてしまうことも少なくありません。

ですが、こうした教えることへの苦手意識には、ある共通点があります。以下の3つは、多くの現場で見られる代表的な傾向です。

①自分が「丁寧に教わった経験」が少ない

「新人の頃、放置されていた」「見て覚えろと言われた」という経験があると、どう伝えればいいかがわからないまま教える立場になってしまうことがあります。

②全部自分でやったほうが早いと感じてしまう

忙しい日々の中で、教えるよりも自分でやったほうが効率的だと感じてしまい、「つい手を出してしまう」「任せられない」といった悪循環が起きやすくなります。

③どこまで関わればいいかの“加減”がわからない

干渉しすぎて自立を妨げたくない。でも放っておくと心配――。関わりすぎと放置のあいだで迷い、「結局、曖昧な関わり方になってしまう」というケースもよく見られます。

これらは、個人の性格や能力の問題ではなく、経験とトレーニングの不足によるものです。つまり、「教えることが苦手」と感じている人ほど、教え方や関わり方を学ぶ機会を持つことで、育成への自信を育てることができるのです。

育成は、場数だけで磨かれるものではありません。体系的に学び、日常の関わりに活かせる“型”を身につけることで、誰でも「育てられる側」から「育てる側」へとステップアップできます。

OJTのステップ設計とフォロー面談の型

「育成がうまくいかないのは、新人の問題」「担当者の力量に任せるしかない」そんなふうに属人的になりがちな新人育成ですが、実は教える側の関わり方を見える化・仕組み化することで、大きく改善されるケースが多くあります。

ポイントになるのが、OJTのステップ設計フォロー面談の型をつくることです。

OJTは段階を踏んで任せていくことが基本

OJTを行う際、「ある程度やってもらわないと成長しない」「とにかく現場で慣れてもらうしかない」と、いきなり業務を任せてしまうケースがあります。しかし、新人にとっては仕事の全体像も理解できておらず、「何をどうすればいいのか」が見えないまま手探りで進めることになり、失敗体験や自己否定につながってしまうこともあります。

一方で、教える側も「どこまで任せていいのか」「どうやってフォローすればいいか」が分からず、曖昧な関わり方になってしまいがちです。

こうしたお互いの不安をなくすために重要なのが、OJTのステップをあらかじめ設計しておくことです。たとえば、次のようなステップを事前に整理しておくだけでも、育成担当者の迷いや負担感が大きく軽減されます。

  • Step1:まずは見せる(やってみせる)
  • Step2:一緒にやる(声かけ・確認しながら)
  • Step3:任せる(自走をサポート)

このように「教える→一緒にやる→任せる」と段階的に関わることで、新人も安心してチャレンジでき、小さな成功体験を積みながら成長していく流れが生まれます。同時に、担当者側も「今はこのステップ」「次はここまで任せよう」と判断しやすくなり、育成が属人化せずに安定して進められるようになります。

「教える内容」ではなく「どう教えるか」を整理することで、現場に無理なく“育つ仕組み”をつくることができます。このステップ設計こそが、OJTを機能させるための土台となるのです。

フォロー面談は“気づき”を引き出す場に

新人育成において、つい後回しになりがちなのが、「業務の振り返り」や「気持ちを言語化する対話の時間」です。ですが、こうしたフォローの時間こそが、新人の成長に大きく影響します。

新人は日々の業務の中で、さまざまな不安や戸惑い、ちょっとした成功体験を積み重ねています。しかし、それを言葉にして振り返る機会がないと、せっかくの経験もただの“通過点”として流れてしまいがちです。

そこで有効なのが、定期的なフォロー面談です。育成担当者が少し立ち止まり、一緒に言語化しながら振り返ることで、新人は自分の成長に気づき、次の行動に前向きに取り組めるようになります。たとえば、以下のような問いかけが効果的です。

「自分も忙しい中で、どう時間を使えばよいか分からない」
「指摘すると嫌がられるのでは…と遠慮してしまう」
「どこまで任せていいか、どこまで教えるべきかの判断が難しい」

こうした対話の積み重ねは、新人にとって「ただ言われた通りに動く」のではなく、“自分で考えて動く”マインドを育てる土壌となります。また、担当者にとっても、新人の理解度やモチベーションの変化に気づく機会となり、より的確なサポートがしやすくなります。

面談というと構えてしまいがちですが、「一緒に成長を言語化する対話の時間」と捉えることで、育成の質が一段階上がっていきます。

人事向けおすすめセミナー

育成担当者研修 導入事例

ここまで見てきたように、新人育成では「段階的に任せる」「振り返りの対話を重ねる」といった関わり方が重要になります。しかし、実際に現場でOJTや面談を行う育成担当者の多くが、「どこまで任せていいのか分からない」「どう声をかければいいか迷ってしまう」「そもそも新人との関係性に自信が持てない」――。こんな不安を抱えています。

こうした不安や戸惑いがあると、せっかくのOJT設計や面談の機会も、「ただの作業」や「形式的な確認」に終わってしまいがちです。そこで効果を発揮するのが、育成担当者向けの研修です。

たとえば、ある企業では性格診断ツールを用いた研修を実施。自分自身と新人の傾向を可視化し、それぞれに合った関わり方を考える機会を設けました。

「性格の相性が良さそうだったので、安心して関われそう」
「消極的な面がありそうなので、少し丁寧にフォローしていきたい」
「真逆のタイプかもしれないけど、話し合いながら成長していきたい」

こうした声が聞かれた背景には、「新人の個性にどう合わせるか」という視点が芽生えたことがあります。それはまさに、“仕事を任せる時”や“面談での声かけ”に直結する関わり方のヒントです。

また、育成スタンスやコミュニケーションを体系的に学ぶ研修では、「なんとなく教えていた」から「考えて関わる」へと、育成に対する意識が変化しました。

「感覚でやっていた指導を整理できた」「心理的安全性を意識するようになった」「トレーナー同士の指導スタイルが揃った」――。このように、担当者が「どう関わるか」の軸を持つことで、OJTや面談の場面でもブレずに自信を持って接することができるようになります。

新人の定着や早期活躍は、OJTや面談の“やり方”だけでは実現できません。それを支えるのは、「教える人」の関わり方の質。育成担当者自身の意識と行動が変わることで、育成の場そのものが前向きなものに変わっていきます。

「教える人」を育てることが、定着と成長のカギ

新人育成がうまくいくかどうかは、OJT担当者や育成リーダーの関わり方に大きく左右されます。「どのように任せていくか」「どう声をかけるか」といった育成の質を支えるのは、教える人の“迷いの少なさ”と“関係性の築き方”です。

OJTのステップ設計や、気づきを引き出すフォロー面談の実施は、新人の成長を加速させるために欠かせない要素。そしてそれを支える土台として、育成担当者自身が「教えること」に前向きに取り組める状態を整えることが必要です。

教える人が変わると、職場が変わる。そんな変化を生み出す育成の仕組みづくりを、ぜひこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。

若手も管理職も、成長を実感できる研修を

「何年も同じ研修を繰り返しているけど効果が出ているのかな?」
「研修後の振り返りがないから、学びが定着しない気がして…」
「OJTをやって終わりだけど、それだけで成長を促すのは難しい」

若手や管理職の育成は、どの企業にとっても大きなテーマです。「新人がなかなか定着しない」「OJTだけでは限界を感じる」など、同じようなお悩みを抱える企業も少なくありません。
アクシアエージェンシーの研修サービスは、そうした声に寄り添いながら、現場で本当に役立つ力を育てることを大切にしています。

アクシアエージェンシーの人材育成・研修サービスの特徴

  • 一度きりで終わらない研修設計で、学びを定着させる仕組みを提供
  • 動画やフォローアップで、現場での行動変化まで伴走
  • 採用支援から育成・定着まで一気通貫で見える人材課題を解決
  • 法人営業や人事経験を持つ講師が担当し、現場に即した実践的な学びを提供

研修の形は企業ごとにさまざまです。まずは貴社の状況や課題をお聞かせください。最適な研修プランを一緒に考えていきます。お気軽にご相談ください。

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監修者情報

株式会社アクシアエージェンシー
ビジネスソリューションユニット 研修開発グループ

中井 美沙

株式会社アクシアエージェンシー新卒入社。求人広告営業として大手中小企業の採用活動に携わる。2020年人事コンサルティング会社へ出向し研修企画実施や人事評価制度運営などに従事。2022年に研修開発部立ち上げに参加。人事部と兼務しながら社内の人材育成、人事評価制度運用、人事面談、社内外の研修企画実施などに従事。国家資格キャリアコンサルタント取得。株式会社アナザーヒストリー プロコーチ養成コーチングスクール修了。

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