ハラスメント防止への関心が高まる中、多くの企業や団体が相談窓口の案内、メンタルヘルス支援との連携、パワハラ予防を目的とした研修やセミナー開催・オンライン講座等を導入しています。
しかし、いざ職場に目を向けると「結局、何も変わっていない」と感じている方も少なくありません。チェックテストには合格しても、日常のコミュニケーションには反映されず、職場環境は改善されない――。そんな“形だけの対策”では、効果的な人材育成にもつながらず、本来の目的を果たせません。
本記事では、ハラスメント研修が形骸化してしまう背景をひもときながら、研修の“効果を実感できる状態”をつくるための視点と具体的な改善ポイントをご紹介します。自社の研修を「やって終わり」にせず、「現場で変化を生み出す」ために、ぜひ最後までご覧ください。


なぜ、ハラスメント研修をしても効果が出ないのか?
ハラスメント防止の重要性が高まる中、多くの企業が研修を導入しています。しかし、実際に職場の変化を感じているかというと、そうではないという声も少なくありません。研修を実施したにもかかわらず、なぜ現場は変わらないのでしょうか。
その原因は、研修の中身だけでなく、捉え方や前提の理解にも潜んでいます。
よくある現場の声「やったけど変わらない」
ハラスメント研修を導入した企業の人事担当者や管理職からは、以下のような声がよく聞かれます。

「受講後も、上司の言動が変わったようには感じない」
「管理職が「一応受けた」という雰囲気で終わってしまっている」
「現場から「またか」と冷めた反応がある」
これらの声に共通しているのは、ハラスメント研修が職場の現実に根づく学びではなく、年に一度の決まりごとや、とりあえずの対応として受け止められてしまっていることです。
多くの研修は、座学やオンライン講義などで知識をインプットする形式で行われますが、その内容が日常の業務や実際のコミュニケーションに結びついていなければ、受講後に「で、何をどう変えればいいのか分からない」という状態になりがちです。
たとえば、受講者が「知識としては分かった。でも自分の現場ではどうすれば?」とモヤモヤしたまま終えてしまったり、「また同じ内容か」「チェックテストさえ通ればいい」と感じてしまえば、それは実質的に受け流しているのと変わりません。
つまり、内容そのものに問題があるというよりも、研修がその場で完結する一方通行の学びになっていることが、現場の行動変容につながらない一因になっているのです。
形骸化の原因は内容ではなく、捉え方にある
ハラスメント研修を導入する背景には、「安心して働ける職場をつくりたい」「管理職の意識を変えていきたい」といった、人事や経営層の前向きな想いがあるはずです。多くの担当者が、本気で職場を良くしたいと考え、限られた時間や予算の中で研修を企画しています。
しかし、その想いが受講者にうまく伝わらない場合、研修の目的や意義が曖昧なまま受け取られてしまい、結果として「法令対応で仕方なくやっているのだろう」「とりあえず受ければいいもの」と受け止められてしまうことがあります。
「形式的な対策」に見えないようにすることが重要
つまり、研修の伝え方や位置づけによって、受講者の関心度や学ぶ姿勢に大きな差が生まれてしまうのです。これは、内容が不十分というよりも、「なぜこの研修を行うのか」「何のために必要なのか」といった背景や目的が、現場までしっかり届いていないことが、形骸化を引き起こす一因になっています。


重要なのは、研修を形式的な対策と捉えられないようにすること。「これは誰かのためにやっているもの」ではなく、自分自身の仕事や職場にとっても意味のある時間だと受講者が感じられるよう、丁寧に設計・発信していくことが、効果につながる第一歩になります。
受講者が「自分ごと」と捉えられていない
ハラスメント研修の効果が現れにくい理由の一つに、「自分には関係ない」「自分はやっていない」といった、受講者側の他人ごと感があります。講義での説明やチェックテストを通して内容は理解していても、それが自分の言動と結びついていないと、研修後の行動にはつながりません。
この背景には、「ハラスメント=特定の人が起こす問題」というイメージが根強くあることが挙げられます。受講者の中には、「ハラスメントをする人は、モラルが欠けた一部の人」と考え、自分はその対象ではないと無意識に線引きしてしまっている人も少なくありません。
「誰もが当事者になり得る」構造を理解してはじめて、行動が変わる
しかし実際には、ハラスメントは誰でも加害者にも被害者にもなり得る現象です。たとえば、成果へのプレッシャーや職場の上下関係、働き方や価値観の違いといった要因が重なれば、本人に悪意がなくても相手を傷つけてしまうことは十分にあり得ます。
つまり、人格の問題ではなく、「構造」と「環境」そして「心理のクセ」が引き起こす仕組みとしての現象として理解しない限り、研修はあくまで「他人の話」のまま終わってしまうのです。
「もしかしたら、自分も知らず知らずのうちに相手に圧力をかけていたかもしれない」「無意識の思い込みが、言葉に表れていたかもしれない」――こうした気づきがあってはじめて、研修は意味のあるものに変わっていきます。
ハラスメントが起きてしまう「3つの要因」とは?
ハラスメントは、特定の誰かの性格や資質によって起きるものではありません。その背景には、時代の変化・組織構造・人の心理という、誰もが影響を受ける「仕組み的な要因」があります。
この章では、ハラスメントが発生しやすくなる3つの代表的な要因を整理し、なぜ悪気がなくても問題が起きてしまうのか、そのメカニズムを紐解いていきます。
1. 時代背景の変化と価値観のズレ
時代の流れとともに、職場におけるコミュニケーションやマネジメントの価値観は大きく変化しています。たとえば「厳しさが人を育てる」「失敗は叱って正す」といった考え方が、多くの職場で当たり前に受け入れられていました。
こうした根性論や体育会系の指導文化は、当時の社会や組織の中で一定の成果を上げてきた背景があり、それに支えられてきた現場があったこともまた事実です。
価値観の多様化が「すれ違い」を生みやすい職場にしている
しかし、社会全体の価値観が変化した現在では、「厳しさよりも対話」「命令よりも納得感」といったアプローチが重視されるようになってきました。働く人の多様化が進み、世代や性別、雇用形態、働き方などがこれまでになく幅広くなっている今、「昔はこれくらい普通だった」という言動は、「自分の価値観を押しつけられた」と感じられてしまうこともあります。


つまり、今の職場では「自分にとっての普通」が、相手にとっては違う意味を持つ場面が増えているのです。このような価値観のズレが、意図せずすれ違いや衝突を生み出し、ハラスメントにつながるリスクを高めています。
過去のやり方を否定するのではなく、時代の変化に応じてコミュニケーションの方法を“アップデート”していくことが求められているのです。
2. 職場構造による「関係性の圧力」
ハラスメントは、個人の性格や悪意だけでなく、職場という「構造の中で起きやすくなる」現象でもあります。その背景には、以下のような、いくつかの要因が重なっています。
- 上司と部下の“評価する・される関係”
何気ない一言でも「逆らえない」「拒否できない」と受け取られる。 - 立場の違いによるプレッシャー
上司は成果責任、部下は成長段階。この差から焦りや苛立ちが生まれ、強い言葉につながる。 - 指導側が伝え方を学ぶ機会が少ない
「自分がされてきたように」伝えることで、必要以上に厳しい印象になる。
「構造そのもの」が原因となるからこそ、見直しが欠かせない
このように、職場にはもともと「指示する側とされる側」「評価する側とされる側」という構造があります。そのため、特定の誰かが悪いわけではなくても、意図せずハラスメントにつながってしまうことがあるのです。
だからこそ、立場の違いを意識しながら、どう伝えるか、どう関わるかを見直していくことが、今後ますます重要になっていきます。
3. 人の心理に潜む「正義感と思い込み」
職場でのハラスメントが起きる背景には、環境や構造だけでなく、人の心理の働きも大きく関係しています。特に注意したいのが、「正義感」や「思い込み」が無意識に作用してしまう場面です。
そもそも、人は自分のこれまでの経験や成功体験をもとに、「こうあるべき」という価値観を自然と形づくっていきます。それは責任感や信念として職場での指導に活かされる一方で、他者の状況に目が向かなくなる原因にもなります。
たとえば、「昔はもっと厳しくされていた」「頑張る姿勢が評価されるべきだ」といった思いは、本人にとっては当たり前でも、受け手にとっては大きなプレッシャーや負担に感じられることがあります。
思い込み・ラベリング・余裕のなさがすれ違いを招く
また、人は情報を効率的に処理するために、相手を自分なりに分類しやすい傾向があります。このラベリングによって、まだ関係性が浅い段階から「この人はこういうタイプ」と決めつけてしまい、すれ違いを生むこともあります。
加えて、ストレスや忙しさが続くと、心に余裕がなくなり、言葉が荒くなったり相手への配慮が後回しになってしまうこともあります。こうした状況が重なることで、意図せず相手を傷つけるコミュニケーションが生まれてしまうのです。


つまり、ハラスメントは「悪い人」が引き起こすものではなく、誰にでもある心理的なクセや状況的な要因が重なったときに起きやすくなるものです。そのことに気づけるかどうかが、防止への第一歩となります。
形骸化を防ぐために、研修で本当に目指すべきこと
研修の効果を高めるには、知識を伝えるだけでは不十分です。受講者が気づき、対話し、行動につなげられる設計へと質を変えていくことが必要です。
この章では、そのために押さえるべき3つのポイントを解説します。
知識の暗記ではなく「気づき」と「対話」が出発点
ハラスメント研修が形骸化してしまう要因のひとつに、「知識の暗記」で終わってしまう設計があります。もちろん基本的な法令や定義を知ることは大切ですが、それだけでは職場の行動や関係性は変わりません。
研修の出発点として本当に必要なのは、「なぜそれが起きてしまうのか」という構造や背景への気づきです。外部環境の変化から、誰もが気をつけるべきことだと気付いた上で、自分自身の言動を振り返り、相手との違いを理解することが、行動変容の第一歩になります。


こうした気づきは、講義を一方的に聞くだけではなかなか得られません。だからこそ、受講者同士で意見を交わす対話やディスカッションの時間が重要になります。価値観の違いや職場で直面している課題を共有することで、「自分とは違う視点」に触れ、理解が深まっていきます。
研修は、「知っていることを増やす」だけでなく、「これからどう関わるかを考える」場へ。気づきと対話の積み重ねが、職場全体のコミュニケーションを少しずつ変えていく力になります。
「正しい指導」「関係を壊さない伝え方」のスキル習得が必須
職場でのハラスメントを防ぐには、相手に伝える力だけでなく、相手からの言動をどう受け止め、どう返すかという双方向のコミュニケーションスキルが欠かせません。
たとえば、上司が指導として伝えたつもりの言葉が、部下には強い圧力や攻撃として受け取られてしまうことがあります。逆に、部下が違和感を覚えながらも「どう伝えたらいいか分からない」「関係が悪くなりそうで言えない」と感じ、気持ちを抱え込んでしまう場面もあります。
伝え方と受け止め方の「選択肢を増やすこと」が鍵
こうしたすれ違いを防ぐためには、双方が「どう伝えれば相手に届くか」「どう受け止め、どう言葉にするか」という視点を持ち、伝え方・受け止め方のバリエーションを増やしていくことが必要です。
目的は、相手を委縮させることではなく、行動を促し、職場の信頼関係を育むこと。お互いが安心して意見を伝え合える関係性、つまり心理的安全性を保ちながら、適切かつ効果的に意思を伝える技術を身につけることが、役職や立場に関わらず、すべての人に求められています。
単発ではなく、行動変容までを設計する研修デザインへ
「研修をやったのに変わらない」と感じる背景には、多くの場合、学びを現場につなげる導線の不在があります。一度きりの講義で意識や行動が変わることは稀であり、行動変容には継続的な支援が必要です。
本当に効果のある研修とは、単発で終わらせず、以下を含めて設計されたものです。
- 研修前の準備
- 現場の課題整理
- 受講後のフォローアップ
- 実践のサポート
「研修を受けて終わり」にするのではなく、「受講後にどのように行動を変えるのか」「どの場面でどう活かすのか」までを研修内で具体的に描けるようにすることが重要です。
指導時の声かけの仕方を変えてみる、気になる言動を見かけたら一言添える――といった、日常で実行できる小さな行動を明確にしておくことで、現場で実践しやすくなり、行動を起こすハードルが下がります。
研修後のフォローが形骸化を防ぐ鍵になる
さらに、研修後のフォローアップも大切な要素です。たとえば以下のような仕掛けが有効です。
- 職場内での振り返りミーティング
- 定期的なリマインド資料の配布
- 現場の声がけポイント集(チェックリスト)の共有
これらを組み込むことで、研修内容が学びっぱなしになることを防ぎます。
つまり、研修とは「完結したパッケージ」ではなく、行動が変わるまでをゴールとしたプロセスとして捉えることが、形骸化を防ぐ鍵になるのです。


アクシアエージェンシーの研修が「現場で変化を生む」理由
ここまで、ハラスメントが起きる背景や、従来の研修では効果が見えにくい理由を整理してきました。では、どうすれば現場が変わる研修が実現できるのでしょうか?
アクシアエージェンシーでは、ハラスメントを「伝え方の問題」として一方的に捉えるのではなく、言われた側の受け取り方や、職場内の関係性・構造にも目を向けることが重要だと考えています。だからこそ、ただ知識を届けるだけでなく、受講者一人ひとりが自分の言動や関係性を見直し、実践につなげるための支援を重視しています。
ここでは、私たちが研修設計で大切にしているポイントをご紹介します。
時代・構造・心理をベースにした、納得感のある設計
アクシアエージェンシーのハラスメント研修は、「これを言ってはいけない」「こう振る舞いなさい」といった禁止事項の伝達を目的とはしていません。
私たちが重視しているのは、なぜ今、ハラスメントが起きやすくなっているのかという背景を丁寧にひも解きながら、受講者が自分ごととして理解し、行動につなげることです。
“時代 × 構造 × 心理”の3つの要因を理解して初めて腹落ちする
ハラスメントは、「性格の問題」や「悪意ある行動」だけが原因ではありません。次の3つの要因が重なることで、誰もが加害者にも被害者にもなり得る状況が生まれています。
- 時代の価値観の変化
- 職場に根づく上下関係・評価制度などの構造的要素
- 誰もが持つ心理的なクセ
こうした複合的な要因を正しく理解しないままでは、受講者が「自分には関係ない話」として研修を受け流してしまい、実際の行動変容にはつながりません。
だからこそ、私たちは時代・構造・心理の3つの観点から、なぜハラスメントが起こるのかを分解し、一人ひとりが「自分にも関係がある」と実感できる研修設計を大切にしています。
受講者が「なぜ注意しなければならないのか」「なぜ自分の言動を見直す必要があるのか」を理解し、腹落ちできる状態になることで、一方通行の知識提供では得られない深い納得感と主体性が生まれます。この納得感があるからこそ、研修で得た学びが職場での具体的な行動に結びつき、日常のコミュニケーションが変わるきっかけとなるのです。
「知る」「気づく」「やってみる」を段階的に支援
ハラスメント対策の多くは、「知識を得る」ことに重点を置きがちです。しかし現実には、「知っている」だけでは行動は変わりません。弊社の研修は、知識の装着にとどまらず、「気づく」「やってみる」という実践までを支援する設計になっています。
まず大切にしているのは、「知る」だけで終わらせないこと。講義や動画を通じて基本的な知識を伝えるだけでなく、自分自身のこれまでの言動や職場の状況と照らし合わせるワークや受講者同士のディスカッション等を通じて、「気づく」プロセスを挟むようにしています。


一人で学ぶだけでは見落としがちな価値観の違いやすれ違いのリスクに気づくことで、「相手からどう受け取られるか」という視点を持つきっかけになります。
やってみることで、現場で使える行動に変えていく
そして次のステップが「やってみる」。気づきが得られても、具体的な言動の選択肢がなければ、職場での行動変容にはつながりません。
そこで「どう言えばよかったのか」「こんなときどう対応すればいいか」といった、実際にどんなコミュニケーションが望ましいのかを体験的に学べるパートを設けています。ケーススタディや言い換えワークなどを通じて、相手に配慮した伝え方や適切な距離感を掴むことができます。
単に知識を得るだけでなく、自分の行動を見直し、現場で実践するまでのハードルを下げることで、研修後も自然と意識し続けられる状態を目指します。
管理職・若手・現場全体に届ける、役割に応じたメッセージ
ハラスメントに対する受け止め方や感じる課題は、役割や立場によって大きく異なります。たとえば、管理職の中には「これは指導として必要な言葉だったのに、なぜハラスメントと言われるのか」と戸惑う方もいれば、若手社員からは「上司の言動に違和感があるけれど、どう伝えたらいいか分からない」「指摘したことで評価に響くのではないか」と不安を抱えているケースもあります。
同じ組織の中でも、こうした立場の違いがハラスメントに対する理解のズレを生みやすくしているのです。そうしたズレを前提とし、それぞれの立場に寄り添ってメッセージすることを大切にしています。
管理職と若手、それぞれに必要な視点とアプローチ
研修では、管理職・若手社員それぞれが「相手の立場に立ったコミュニケーションとは何か」を考える内容になっています。ただし、伝える内容は同じではありません。違うのは“視点”です。
- 管理職へのアプローチ
「指導」と「ハラスメント」の境界線をどう捉えるか、意図が適切に伝わる関わり方や具体的な言動を扱います。
- 若手へのアプローチ
違和感を覚えた際に「どう受け止めるか」、そして抱え込まず「どう言葉にして伝えるか」という実践スキルを扱います。
管理職だけ、あるいは一般社員だけに研修を実施するのではなく、現場全体で共通の知識と視点を持つことを重視しています。全員が同じ土台に立つことで、「あの人は分かってくれない」といった温度差が減り、ハラスメントに対する共通認識を組織内に育てていくことができるのです。
どの立場の人も「自分ごと」として向き合えること。それが、現場での変化を生む第一歩になると考えています。
ハラスメントは防ぐには、アップデートが鍵
ここまでご紹介してきたように、ハラスメントは誰か一人の問題ではなく、環境・構造・心理が重なって生まれる現象です。そして対策の鍵は、知識を詰め込むことではなく、一人ひとりがコミュニケーションをアップデートしていくことにあります。
「すでに対策しているのに効果が出ない」「これ以上、何をすればいいのかわからない」――・そんな壁に直面したときこそ、研修のあり方を見直す絶好のチャンスです。
ここからは、これからの時代に求められるハラスメント対策の考え方を、改めて整理していきます。
「これ以上何をすればいいの?」と感じたときが見直しのタイミング
「すでに研修はやっている」「対策も取ってきた」――それでも現場に変化が見られない。そんなときこそ、一度立ち止まってやり方を見直すタイミングかもしれません。
大切なのは、研修の回数や長さではなく、「どのように設計されているか」「どんな姿勢で届けられているか」という質の部分です。単に「受けさせる」研修ではなく、「自分ごととして考える」ための設計ができているかどうか。そこに変化の鍵があります。


「悪気はない」では済まされない時代に必要な、伝え方の再構築
職場でのすれ違いやトラブルの多くは、「そんなつもりじゃなかった」「悪気はなかった」から始まります。しかし今の時代、そのつもりや悪気が通用しない場面が増えています。
多様な背景を持つ人が働く現代の職場では、「自分がどう言ったか」以上に、「相手にどう受け取られるか」が問われるようになっています。
だからこそ必要なのは、伝え方のアップデート。一人ひとりが、立場や状況に応じたコミュニケーションを身につけ、対話の選択肢を増やしていくことが求められているのです。
人を罰するのではなく、職場を育てる研修へ
ハラスメント研修というと、つい“問題のある人を矯正する場”のように見られがちです。しかし本来、研修の目的は人を罰することではなく、「安全で信頼できる職場を育てること」にあります。
誰もが安心して声を上げられる。ミスを指摘できる。立場を越えて協力し合える。そんな職場づくりの土台になるのが、ハラスメント防止の取り組みであり、その第一歩が研修なのです。だからこそ、対策を義務としてではなく、「職場をより良くするためのチャンス」と捉えることが重要です。
今、私たちにできるのは、職場のコミュニケーションを一人ひとりがアップデートしていくこと。その積み重ねが、ハラスメントのない、健やかな職場づくりへとつながっていきます。
まとめ
ハラスメント対策は、特定の個人や部署だけのものではなく、すべての社員・管理職・経営層に向けた継続的な教育の一環です。
大切なのは、制度的な措置だけでなく、一人ひとりが日常の言動を見直し、未然にトラブルを防ぐ視点を持つこと。特に「指導とハラスメントの違い」や「相手への伝わり方」といった基礎的な理解が、職場全体の信頼関係の向上に直結します。
本記事では、実際の研修でありがちな落とし穴や、会社として押さえるべきポイントも解説してきました。研修の形だけを整えるのではなく、受講者の行動が変わる効果的なプログラムとして活用されているかどうかが重要です。
「一度やったから終わり」ではなく、現場の状況に応じて内容を見直す・変更することも必要です。対象別のアプローチを工夫することで、相談しやすい職場づくりが進みます。ハラスメントのない健やかな職場を育てるために、研修をリスク管理ではなく、人と組織を育てる機会として捉える視点を、ぜひ持ち続けてください。
法令対応だけでは不十分かも?現場の課題に効くハラスメント研修を


「法令対応はしているのに、現場の指導トラブルが減らない」
「若手が“注意されるのが怖い”と言ってすぐに辞めてしまう」
「研修をやっても一時的で、職場の行動に結びつかない」
ハラスメントの研修は「問題があるから導入するもの」と思われがちですが、実際にはハラスメント予防や安心して育てられる環境づくりを目的に選ばれる企業が増えています。
アクシアエージェンシーの実践型ハラスメント研修は、上司と若手双方の声に寄り添い、職場の関係性を前向きに整えるお手伝いをします。
アクシアエージェンシーの人材育成・研修サービスの特徴
- ロールプレイ中心で現場に活かせるスキルを習得
- 管理職と若手双方に対応することで、すれ違いを防ぎ安心できる関係性を築きます
- 実務経験が豊富な講師陣が担当し、納得感のある実践的な学びを提供します
- 研修後のフォロー支援により、学びを定着させ職場での行動変容につなげます
貴社の現場に合わせた最適な形を一緒に考えていきます。小さな不安や気になることでも、まずはお気軽にご相談ください。
監修者情報

ビジネスソリューションユニット 研修開発グループ責任者
中島 昌宏
1999年株式会社アクシアエージェンシー入社。株式会社リクルートの専属パートナー営業として、HRメディア(新卒・中途採用)を中心に営業および管理職として営業・採用・部下育成などに23年間従事。2022年に研修開発部を立ち上げ、現在は社内及びお客様の研修講師と企画立案に従事。高校時代は野球部に所属し甲子園出場、大学時代には教員免許取得、その後プロゴルファーを目指し研修生を経験。





