近年、若手社員の離職率が高まる中で、特にZ世代と呼ばれる若手層に対する理解の重要性が高まっています。Z世代は1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代であり、生まれた時からデジタル環境に親しんで育ってきた「デジタルネイティブ」です。価値観や働き方への考え方も従来の世代とは大きく異なり、企業が彼らと良好な関係を築くためには、従来型のマネジメントや制度だけでは不十分なケースが増えています。
「仕事のやりがい」や「自己成長」、「心理的安全性」など、Z世代が職場に求める条件は多岐にわたります。また、SNSを通じて情報に敏感である彼らは、企業の姿勢や文化にも目を光らせており、表面的な魅力だけでは定着にはつながりません。こうした背景を踏まえると、Z世代の離職を防ぎ、長く活躍してもらうためには、組織づくりのあり方そのものを見直すことが求められます。
本記事では、Z世代の特徴や価値観を踏まえたうえで、企業が実践できる組織づくりの工夫や人材定着のための取り組みについて、具体的な視点から掘り下げていきます。これからの時代にふさわしい人材戦略を考えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
Z世代の離職率とその背景を知る
Z世代の新入社員が、わずか数年で職場を離れるというケースが急増しています。
かつては、入社した企業に長く勤めるのが一般的とされてきましたが、今やその前提は大きく崩れつつあります。特にZ世代においては、働き方やキャリアの選び方が従来の常識と大きく異なっているため、企業側がその変化に対応できなければ、早期離職が続出するのは避けられません。この章では、Z世代の離職率の現状と、なぜ彼らが早期に辞めるのかという背景について掘り下げていきます。リベンジ退職や退職代行など、これまでには見られなかった新しい離職のかたちも含め、彼らの選択行動の背景にある価値観や社会の変化を読み解くことで、今後の採用・定着施策に必要な視点を見つけていきましょう。
Z世代の離職率の現状とデータ
現在、多くの企業で「新入社員が定着しない」という声が聞かれるようになっています。特にZ世代の新卒社員においては、約3人に1人が3年以内に辞めるという現実があります。
実際、厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和5年10月)」によれば、令和2年3月卒の大学新卒者の3年以内離職率は34.9%とされており、これは長期的に見ても高い水準を維持しています【出典:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況(令和5年)】。
この数字は単なる統計ではなく、企業にとって人材確保の根幹に関わる深刻な問題です。特に中小企業では、限られたリソースのなかで採用・育成にかける労力が大きく、一人の離職が現場全体の機能に大きな影響を及ぼすケースも少なくありません。
かつては「とりあえず3年は続けるべき」といった価値観が主流でしたが、Z世代の多くは、自分に合わないと感じた場合には、迷わずに辞める選択をする傾向があります。背景には、自分の成長やライフスタイルを重視する考え方や、情報へのアクセスが容易で転職も当たり前という意識があります。
さらに、日本社会全体が直面している少子高齢化による労働人口の減少や、事業構造の変化に現場が追いついていない状況も加わり、「せっかく採用しても5年後には誰も残っていない」といった悩みを抱える企業も増えています。
こうした環境のもとでは、「採用したら育つ」「現場に任せれば自然と定着する」といった従来の発想では通用しません。企業には、入社後すぐに離職へとつながらないよう、Z世代に合った育成・定着戦略をあらかじめ設計する視点が強く求められています。
Z世代が仕事を辞める理由とは
Z世代が仕事を辞める理由には、従来の世代とは異なる特徴が多く見られます。
彼らが辞職を決断する背景には、働き方に対する価値観の変化や、企業に対する期待のすれ違い、そして職場環境の質への敏感さがあります。
まず最も大きな理由のひとつは、ワークライフバランスへの強いこだわりです。Z世代は、育った環境の中で「働きすぎ=美徳」とされない文化に親しんできました。仕事だけに人生を捧げるのではなく、自分の時間を大切にし、ライフスタイルと調和した働き方を重視します。そのため、残業が多い、休日に連絡が来る、フレックスタイムが導入されていないなど、柔軟性に欠ける職場では、短期間で見切りをつける傾向があります。
次に挙げられるのが、キャリア成長への強い欲求です。Z世代の多くは、「成長できるかどうか」「スキルが身につくかどうか」を会社選びの軸にしています。業務が単調で裁量がない、将来のキャリアが見えないといった状況では、「この会社にいても得るものが少ない」と感じ、早期の転職を選択するケースが目立ちます。特にスキル重視の転職市場が活性化している今、彼らにとって「転職=失敗」ではなく、ポジティブな自己成長の手段として捉えられているのが特徴です。
また、職場環境や人間関係の質も、離職理由として非常に大きな要素です。Z世代は、上下関係の厳しさや一方的な指示命令型マネジメントに違和感を覚える傾向があります。心理的安全性が感じられない、相談できる相手がいない、フィードバックが一方通行といった職場では、早い段階で「ここには居続けられない」と判断します。
加えて、企業文化やビジョンに共感できるかどうかも、Z世代にとっては重要です。社会的意義のある仕事か、自分の価値観に合っているか、という視点で企業を評価するため、理念と現場のギャップがあると「思っていた会社と違う」と感じ、早期に離職してしまうのです。
このように、Z世代が辞める理由は単純な「甘え」や「我慢のなさ」ではなく、価値観の違いと環境のミスマッチによるものです。企業側がこの認識を持たないまま、「最近の若者は根性がない」と片づけてしまうと、採用と育成の両面で機会を失いかねません。
企業がZ世代と向き合うには、まずは「なぜ辞めるのか」を丁寧に理解し、価値観に寄り添った働き方や制度設計を行う必要があります。これは単なる若手対策ではなく、持続可能な人材戦略の第一歩とも言えるのです。
リベンジ退職や退職代行の背景と実態
Z世代の離職行動の中で、近年特に注目を集めているのが「リベンジ退職」や「退職代行サービスの利用」です。これは単なるトレンドではなく、Z世代の価値観と心理的背景を映し出す、象徴的な現象でもあります。
まず、「リベンジ退職」とは、企業への不満や不信感を抱えたまま退職し、その後SNSや口コミなどで会社の実態を共有することで、ある種の“復讐”のような形をとる行動を指します。この背景には、過剰な期待と現実のギャップが存在しています。入社前に企業が掲げていた魅力的なビジョンや働き方が、実際の職場では実現されていないと感じたとき、Z世代は強い失望を抱き、その感情が「リベンジ」という行動に転化するのです。
一方、「退職代行サービス」の利用は、Z世代にとって辞職手段の一つとして自然な選択肢となりつつあります。入社後数日や数週間といった短期間での利用も珍しくありません。背景には、「直接辞意を伝えることへの心理的ハードルの高さ」や、「引き止められることへの恐怖感」があります。とくに、パワーバランスが偏っていたり、マネジメントの質に問題がある職場では、本人が安全に辞められる方法として、第三者への依頼という選択が合理的に見えるのです。
また、Z世代は幼少期からインターネットやSNSに触れてきた「デジタルネイティブ」です。情報をすばやく検索し、サービスを比較・選択するスキルに長けており、「退職代行」という存在を知った上で使いこなすことに抵抗がありません。彼らにとっては、感情や倫理よりも“効率”と“安全性”を優先する思考が自然であり、合理的な選択として代行サービスを利用しています。
企業側にとって、このような離職行動は決して「想定外」では済まされない時代に突入しています。むしろ、「なぜ本人が直接言えなかったのか」「どうして早期に辞める判断をしたのか」という視点から、職場の心理的安全性やマネジメント手法を見直す機会と捉えるべきです。
実際、退職代行の背景には「相談できる上司がいなかった」「不満を伝える場がなかった」といった組織風土の問題が潜んでいることが多く、一人の退職が企業の根本課題を浮き彫りにするケースも増えています。
Z世代のこうした行動を「最近の若者は非常識だ」と切り捨てるのではなく、「価値観の違い」として受け止め、心理的・制度的な接点を設計し直すことが、これからの企業に求められる姿勢と言えるでしょう。
労働市場の変化とZ世代のキャリア選択
Z世代の離職傾向を語る上で欠かせないのが、労働市場そのものの変化です。これは単に若者の価値観が変わっただけではなく、社会構造や雇用のあり方、働き方の選択肢そのものが大きく変わったことに起因しています。
まず、かつての日本型雇用では「年功序列」「終身雇用」が基本であり、キャリアは企業の中で積み上げていくものでした。しかし今は、複数の企業や職種を経験しながらキャリアを形成する「自律的キャリア」の時代に移行しています。Z世代はこの変化の中で育ち、就職活動の段階から「この会社で何を得られるか」「自分のスキルをどう磨けるか」といった視点で企業を見ています。
また、リモートワークや副業解禁、フリーランス人口の増加といった変化により、会社に縛られない働き方が広く認知されるようになりました。たとえば、YouTubeやSNSを活用した情報発信、スキルを活かしたギグワーク、クラウドソーシングによるプロジェクト単位の仕事など、Z世代には多様なキャリアパスが開かれています。
これに加えて、デジタル技術の進化によって情報収集や学び直しのハードルが大きく下がったことも、Z世代の転職志向を後押ししています。彼らは必要な情報をすぐにネットで調べ、独学でスキルを獲得し、次のステップへ進む準備が常に整っている状態にあります。つまり、昔のように「辞めたらキャリアに傷がつく」という価値観が通用しないのです。
さらに、企業側の変化スピードにも注目する必要があります。急速に進むDX(デジタル・トランスフォーメーション)や事業再編の流れの中で、現場と経営の間にギャップが生まれやすくなっており、マネジメント層がその変化に追いつけない状況が離職の引き金になることもあります。Z世代はこのギャップに敏感であり、「会社の方向性に納得できない」「将来性が感じられない」と判断したときには、迷わず次の道を選ぶのです。
つまり、Z世代のキャリア選択は、彼ら自身の個性だけでなく、変化する労働市場に適応するごく自然な行動だといえます。企業としては、この変化を否定するのではなく、新たな前提として受け入れ、柔軟に制度設計やマネジメントを見直していく姿勢が必要です。
Z世代の特徴と働き方の価値観
Z世代と呼ばれる若手社員たちは、これまでの世代とは異なる価値観や働き方のスタイルを持っています。デジタル環境の中で育った影響から、情報感度や自己表現のスタイルが大きく変化しており、仕事においても「納得感」や「自分らしさ」を重視する傾向があります。
また、社会的な出来事やテクノロジーの進化によって、多様性・柔軟性を求める考え方が定着しつつあり、企業との関係性も「組織に合わせる」より「対等に関わる」スタンスが一般的になりつつあります。
この章では、Z世代の働き方に対する価値観をより深く理解するために、彼らが持つデジタルネイティブとしての特性や、自由と柔軟性を求める背景、さらには個人のキャリア観の変化について考察していきます。企業としてZ世代と向き合い、定着や活躍を促すためには、まずこの世代特有の視点や志向を正しく捉えることが欠かせません。
デジタルネイティブとしての特性
Z世代は、生まれた時からインターネットやスマートフォンに触れてきた「デジタルネイティブ」です。日常生活の中でSNSや検索エンジンを駆使し、必要な情報は自分で素早く手に入れることが当たり前になっています。この環境で育った彼らにとって、情報は「すぐに得られるべきもの」という感覚が強く根づいており、情報が適切に共有されない場面では、違和感や不信感を抱きやすい傾向があります。
そのため、職場においても一方的な指示や説明不足の状態は、彼らにとって大きなストレスの要因になりかねません。仕事の背景や目的が明確に説明されないと、「なぜやるのか分からない」「納得できない」と感じてしまい、エンゲージメントの低下や早期離職のリスクにもつながります。
また、Z世代はSNSやYouTubeといった双方向性の高いメディアに親しんでいるため、自分の意見が反映される環境や、オープンな対話を重視します。意思決定が一部の管理職に偏り、現場に情報が共有されないような「クローズなコミュニケーション」は、疎外感や不透明さにつながりやすく、働きにくさを感じる要因となります。
さらに、Z世代は多様性や社会的公正への意識も高く、企業の姿勢や価値観を注視しています。たとえば、長時間労働の是正への取り組みや、若手社員の声を取り入れる風土があるかといった点は、就職先を選ぶ際の大きな判断基準になります。表面的なブランドや福利厚生だけでなく、実際の働き方や社内のコミュニケーション環境に目を向けているのが特徴です。口コミサイトや社員インタビューなども活用し、リアルな職場の実態を見極めようとする傾向があります。
このように、Z世代の特性を理解するには、単に「デジタルに強い世代」という認識にとどまらず、情報に対する感度の高さと、それに伴う透明性や対話への期待値の高さを踏まえる必要があります。企業がZ世代と向き合うには、情報を一部に閉じず、オープンで対等なコミュニケーションをベースとした組織文化が求められます。
Z世代が求める自由と柔軟な働き方
Z世代の多くは、従来のように決まった時間・場所で働くスタイルにとらわれず、自由度の高い働き方を重視する傾向があります。特にリモートワークやフレックスタイム制など、働く時間や場所に柔軟性を持たせる制度に関心が高く、自身のライフスタイルに合わせて働ける環境を望む声が強まっています。
この背景には、コロナ禍によって社会全体の働き方が大きく見直されたことが影響しています。Z世代は学生時代や社会人生活の初期から、オンライン授業やリモートワークを経験しており、それが新たな“当たり前”として定着しつつあります。そのため、「どこで働くか」よりも「どう成果を出すか」を重視する考え方が広がっています。
一方で、自由や柔軟性を重視する働き方には、いくつかの課題やリスクも存在します。たとえば、リモートワーク中心の勤務形態では、先輩社員からの直接的な学びや、現場での臨機応変な対応力を養う機会が減少することがあります。また、チーム内での雑談や偶発的な気づきが生まれにくいため、若手社員が孤立感を抱いたり、組織への帰属意識が薄れたりする懸念も指摘されています。
さらに、自己管理能力が求められる度合いが高まることで、業務の進め方や時間の使い方に不安を感じる若手社員も少なくありません。適切なサポート体制がなければ、自由な働き方がむしろストレスの要因になる可能性もあります。
そのため、企業側としてはZ世代の価値観を尊重しつつも、柔軟な働き方と育成環境のバランスをどのようにとるかを慎重に検討する必要があります。たとえば、出社とリモートを組み合わせたハイブリッド勤務や、リモート下でも対話を促す1on1ミーティングの定期実施などが効果的です。自由を与えるだけでなく、それを支える仕組みやコミュニケーション設計が伴っているかどうかが、Z世代の定着にも大きく関わってきます。
個人の価値観とキャリア観
Z世代のキャリア観は、従来の世代とは異なる特徴を持っています。たとえば、「長く1社で働き続けて昇進する」ことよりも、自分の価値観に合った働き方を選ぶことや、自己成長の機会が得られる環境を重視する傾向があります。これは、働くこと自体を「人生の目的」とするのではなく、人生の一部として“納得できる形”で働きたいという意識の表れでもあります。
また、Z世代は働く上での判断基準として、給与や福利厚生といった条件面だけでなく、企業の理念や文化、仕事の意義といった「意味的報酬」にも関心を示します。自分の仕事が社会にどう貢献しているか、どんな価値を生み出しているのかを実感できることが、モチベーションの維持に直結します。
このような価値観の変化の背景には、パンデミックや経済不安、デジタル社会の拡大など、社会環境の急速な変化があります。不確実な未来を前にして、Z世代は「今この瞬間をどう生きるか」「自分らしさをどう大切にするか」といった視点でキャリアを考えるようになりました。さらに、SNSの影響もあり、他者と自分を比較しやすい環境にいることから、自分の人生や仕事に対する“納得感”や“意味づけ”を強く求める傾向があります。
一方で、こうした価値観は、組織に対する期待値が高くなりすぎる傾向も持ち合わせています。たとえば、入社初期から「自分のやりたいことができない」「職場に共感できない」と感じた場合、比較的早い段階で転職や離職を検討することもあります。そのため、企業としてはZ世代の価値観を理解し、一人ひとりのキャリア観に向き合う姿勢が求められます。
具体的には、定期的な1on1面談を通じて価値観や目標を言語化させる機会をつくることや、本人の関心に応じた業務アサインやロールモデルの提示などが効果的です。キャリアの方向性に関する対話を継続的に行うことで、納得感のある働き方につながり、結果として早期離職の防止にも寄与します。画一的なキャリアパスではなく、多様な成長ルートや働き方の選択肢を用意することが、Z世代との信頼関係構築、そして定着・活躍への第一歩となるのです。
Z世代が理想とする職場環境
Z世代が仕事に求めるのは、単なる労働条件の良さや安定性だけではありません。自分の存在意義や、仕事を通じた成長実感、人間関係における安心感といった、より内面的で本質的な価値に重きを置く傾向があります。
特に注目すべきなのは、「働きがい」と「心理的安全性」が両立した環境を重視する点です。仕事にやりがいを感じながらも、自分の意見や感情を安心して表現できる職場でなければ、持続的なエンゲージメントは生まれにくいのです。
また、上司・同僚との人間関係の質、成長につながる経験があるかどうか、企業のビジョンや文化に共感できるかといった要素も、Z世代の定着においては欠かせない要素となります。
この章では、Z世代が理想とする職場の条件について、「心理的安全性」「人間関係」「企業文化」などの視点から掘り下げていきます。彼らが“ここで働きたい”と感じるために、企業側に求められる具体的な環境づくりとは何かを明らかにしていきましょう。
働きがいと心理的安全性の両立
Z世代が理想とする職場環境には、「働きがい」と「心理的安全性」という2つの要素の両立が求められています。働きがいとは、自分の仕事に意義や価値を感じられること。一方の心理的安全性とは、職場で自分の考えを安心して発言できる、挑戦や失敗が許容される雰囲気のことです。
この世代は、単に仕事をこなすだけでなく、自分が社会や組織にどう貢献しているのかを実感できる環境を求めています。企業のビジョンやミッションに共感し、それに向けて自分の役割が明確であると、モチベーションが高まりやすくなります。また、業務の成果がきちんと評価され、フィードバックがあることで、働く意味ややりがいを感じやすくなるのです。
一方で、Z世代は職場における人間関係や雰囲気にも敏感です。自分の意見や感情を安心して表現できる環境がなければ、萎縮し、積極性を失ってしまうこともあります。上下関係が厳格であったり、ミスを責めるような風土が残っていたりすると、早期離職のリスクが高まる傾向にあります。
そのため、企業は評価制度やマネジメントのあり方を見直し、若手社員が「ここなら自分らしく働ける」と思えるような土壌作りを行うことが求められます。たとえば、業務目標だけでなく、個人の価値観や意欲に目を向ける1on1ミーティングや、フラットな対話を重視したフィードバック文化の浸透などが有効です。
働きがいと心理的安全性は一方だけでは機能しません。「期待されている」ことと「守られている」ことの両方を感じられることが、Z世代にとって安心して力を発揮できる環境と言えるでしょう。
人間関係の質と成長実感の重要性
Z世代にとって、職場での人間関係は「働きやすさ」や「働きがい」を左右する非常に重要な要素です。これは単なる仲の良さを指すものではなく、安心して相談できる関係性や、意見を尊重し合える風土があるかという点に重きが置かれます。
特にこの世代は、上下関係に過度な距離感があることを好まず、フラットでオープンな関係性を築ける環境を理想としています。その背景には、SNSなどを通じて年齢や立場に関係なくフラットなやり取りをしてきた経験や、上意下達型の組織への抵抗感、共感を重視する文化の影響があります。「立場」よりも「考えや共感」でつながることを重視する感覚が、職場にも求められているのです。
また、Z世代は「今の自分がどのように成長できているか」を敏感に意識しており、日々の業務を通じて成長実感が持てるかどうかを重視する傾向にあります。目の前の仕事が単調だったり、成果や変化が感じられないと、「この環境にいても将来に繋がらない」と感じてしまい、早期離職の要因となることもあります。
そのため、企業としては、単に業務を与えるだけでなく、仕事の意味づけや、どのようなスキルにつながるのかを明確にするコミュニケーションが必要です。加えて、本人の関心や適性に応じた業務へのアサイン、メンター制度や定期的な振り返りの場などを通じて、「自分の成長が見える化されている」状態をつくることが大切です。
良好な人間関係と成長実感は、Z世代にとっての「働く意義」を支える両輪です。どちらか一方が欠けても、職場に対する信頼は薄れやすくなるため、両面からのアプローチが必要となるのです。
企業文化とビジョンへの共感
Z世代が職場に求めるものの中で、近年特に重視されているのが「企業文化」や「ビジョンへの共感」です。ただ条件が良い企業で働きたいというだけではなく、「この会社の考え方に共感できるか」「自分の価値観と合っているか」が、企業選びの重要な判断軸になっています。
Z世代は、子どもの頃から多様性を尊重する教育やメディアに触れて育ち、社会課題にも高い関心を持っています。そのため、「何をしている会社か」だけでなく、「なぜそれをするのか」「どのような姿勢で社会と関わっているのか」にも敏感です。経営理念や行動指針が明確に発信されていない企業に対しては、安心感を抱きにくいという傾向があります。
また、上からの押しつけではなく、自分自身がビジョンに共感して動ける状態を大切にするため、「トップダウン型」より「共創型」の文化や姿勢に惹かれる傾向があります。たとえば、「社内報で経営層の考えを共有している」「ビジョン実現に向けた具体的な取り組みを社員と一緒に考える場がある」など、共感を生むための情報開示と対話の工夫が重要です。
このような姿勢がある企業では、Z世代の社員が「自分も会社の一部として社会に貢献できている」という実感を持ちやすくなり、モチベーションや定着率の向上にもつながります。
企業側としては、採用時やオンボーディングの段階から、ビジョンや価値観を丁寧に伝えることが求められます。また、日常的なマネジメントや制度設計の中でも、社員一人ひとりが「会社の方向性に参加している」と感じられるような仕掛けを持つことが重要です。
Z世代のキャリア観とライフスタイル
Z世代は、これまでの世代とは異なる価値観とライフスタイルを持ち、働くことに対する考え方もより多様で柔軟です。組織に長く留まることよりも、自分自身の成長や納得感、生活との調和を大切にしながら、キャリアを主体的に築こうとする傾向があります。
彼らにとって、働くことは「人生の中心」ではなく、「人生の一部」として、自分らしさを活かせる場でありたいという意識が強くあります。そのため、企業側には、キャリア開発や働き方の支援においても、Z世代の個別性や価値観に目を向けた柔軟なアプローチが求められます。
この章では、Z世代が重視する「自己成長」や「仕事とプライベートの調和」、さらに注目を集めている「副業やスキルアップへの意識」といった観点から、彼らのキャリア観とライフスタイルを紐解きます。変化の時代を生きるZ世代が安心して働き、力を発揮できる環境を整えるために、企業が理解しておくべき視点を探っていきます。
自己成長を重視する志向
Z世代は、他の世代と比べて「自己成長」を重視する傾向が非常に強くなっています。働く上で給与や福利厚生だけでなく、「この仕事で自分がどのように成長できるか」を重視し、キャリア選択の重要な判断軸としています。
この背景には、技術革新のスピードや社会の変化の速さがあります。Z世代は、変化が激しい現代を生き抜くためには、自分自身のスキルを常にアップデートし続けることが必要だと捉えています。将来の不確実性が高まる中で、「今どれだけ成長できているか」が、安心感とやりがいの源泉になっているのです。
特に重要なのは、「会社が自分の成長にどれだけ関心を持ってくれているか」「上司がどれだけ真剣に向き合ってくれているか」という実感です。ただ制度として研修やメンター制度が用意されているかどうかよりも、日常の業務の中で成長機会を与えてくれるか、自分の希望や課題に耳を傾けてもらえるかという信頼関係が、Z世代のモチベーションを大きく左右します。
そのため企業には、定期的な面談を通じたキャリアの棚卸しや、本人の強み・興味を踏まえた業務の設計が求められます。また、目の前の業務が将来的にどのようなスキルやキャリアに結びつくのかを具体的に説明できる環境があると、Z世代の定着につながりやすくなります。
自己成長の実感は、Z世代が職場に「意味」を感じるための大きな要素です。自分の努力が未来につながっていると感じられる職場環境こそが、Z世代に選ばれる組織となっていくのです。
仕事とプライベートの調和を求める理由
Z世代にとって、仕事とプライベートのバランスは、働くうえで欠かせない価値観のひとつです。仕事一筋の働き方や、長時間労働を前提としたキャリア形成は時代遅れだと考える傾向が強く、自分の時間やライフスタイルを大切にしたいという想いが明確に存在します。
このような価値観は、幼い頃から「個人の多様性」や「自由な生き方」を尊重する社会で育ってきたことや、SNSを通じてさまざまな人生観や働き方を知る機会が多かったことが影響しています。また、パンデミックや経済不安といった外部環境の影響もあり、「いつ何が起きるかわからない」時代の中で、日々の充実や安心を重視する価値観が形成されています。
Z世代は「ワークライフバランス」という言葉以上に、「ライフに合わせたワーク」という感覚を持っており、自分の生活スタイルに合った働き方でなければ長く続けたいとは思わない傾向があります。これは「甘え」ではなく、限られた時間の中で最も自分を活かせる場所で力を発揮したいという、合理的な選択でもあります。
ただし、働く時間や場所の自由度が高まる一方で、オンとオフの境目が曖昧になりやすく、自己管理が求められることや、職場でのつながりの希薄化といった課題も存在します。リモートワークの普及によって自由は得られる反面、孤立感や不安感が増すという声もあります。
企業としては、単にフレックスタイムやリモート勤務を導入するだけでなく、一人ひとりが安心して働けるような心理的安全性の高い職場づくりや、目標や評価の仕組みを明確にすることが重要です。仕事と生活のバランスを大切にするZ世代に対して、適度な自由と明確な期待値を両立させることで、より高い定着率とパフォーマンスが期待できるでしょう。
副業・スキルアップ意識とその影響
Z世代の中には、副業やスキルアップに対して高い関心を持ち、自分の得意分野や興味を活かしながら収入の柱を増やそうとする動きが見られます。学生時代からSNSやスキルマーケットを通じて小さな収益を得る経験を持つ人もおり、「会社に依存せず生きていく力を身につけたい」という発想を持つ人もいます。
一方で、このような姿勢はZ世代全体に共通しているわけではありません。すでにキャリアの方向性が定まっている一部の若手や、専門職・都市部の就業者に多く見られる傾向であり、多くの若手社員は「自分に何が向いているか分からない」「とりあえず目の前の業務をこなすのに精一杯」と感じているのが現実です。
副業や学び直しに対して、「やらなければ」という漠然としたプレッシャーや焦りを抱えている若手もおり、実際に行動に移せている層は限定的です。副業解禁や学びの制度が整っていても、それを自分のキャリアにどう活かすべきか分からず、結果として活用されないケースも少なくありません。
企業としては、「Z世代は皆副業を望んでいる」と思い込まずに、社員一人ひとりの状況や興味に寄り添いながら、本業と副業・学びの両立に対して適切な距離感を持つことが大切です。例えば、副業の申請ルールを明確にしたり、業務と関連づけてスキルアップ支援を行うことで、本人の成長と会社の成果の両立を図ることができます。
Z世代のキャリア形成は多様化しており、全員が同じ意識を持っているわけではありません。だからこそ、画一的な制度ではなく、個々の意欲や状況に応じた柔軟なサポートが求められているのです。
Z世代の離職を防ぐ組織作りとは
Z世代の早期離職を防ぐには、従来の管理手法や組織文化を見直し、より丁寧な関係構築と個別最適な支援が求められます。特にこの世代は、業務内容や待遇といった外的条件だけでなく、日々の対話や職場の空気感、自分らしさを発揮できるかどうかといった内的要素を重視する傾向が強くあります。
そのため、形式的な制度だけでなく、上司やチームとの信頼関係や安心して働ける心理的な土壌をどう整えるかが重要なテーマとなります。日々のコンディションを見逃さないマネジメント、意見や感情を尊重する対話、成長を支えるフィードバック――こうした積み重ねこそが、Z世代が「ここで働き続けたい」と感じる組織づくりの鍵を握っているのです。
この章では、Z世代の離職リスクに向き合う企業が実践すべき具体的な取り組みとして、エンゲージメント向上の工夫や、心理的安全性の高いマネジメント、1on1面談・フィードバックの活用方法を紹介していきます。
コンディション管理とエンゲージメント向上
Z世代の離職を防ぐためには、社員一人ひとりの状態や気持ちに対する理解を深めることが不可欠です。特に重要なのが、本人が日々どのような状況にあるのか、どんなことに悩み、どんなことにやりがいを感じているのかといった業務に関連する感情や状態を、上司やチームが丁寧に把握していくことです。こうした対話の積み重ねによって、信頼関係が生まれ、安心して働ける土台が築かれていきます。
そのための実践的な手段として、1on1面談のような定期的な対話の場が有効です。短時間でも、上司が関心を持って話を聴くことで、本人の置かれた状況や心の状態を理解しやすくなり、「自分はちゃんと見てもらえている」という感覚にもつながります。このような環境が整うことで、社員のエンゲージメント、つまり仕事や組織に対する前向きな関心や主体性が高まり、定着率の向上にもつながっていきます。
また、エンゲージメントを高めるには、上司による関与だけでなく、社員自身が自分の働き方や状態を主体的にマネジメントできるようになることも重要です。自分の強みを発揮できる場で、小さくても成功体験を積み重ねること。それによって、「自分の仕事がチームや会社にどんな価値をもたらしているのか」を実感できるようになります。この“介在価値”を自覚することが、やりがいや誇りにつながり、さらに自発的な行動や成長意欲を生み出す好循環をつくります。
エンゲージメント向上とは、こうした「相手を理解しようとする姿勢」と「個の自律性」の両輪で成り立つものです。Z世代のように多様な価値観を持つ世代に対してこそ、一方的な管理ではなく、共に考え、共に成長を目指すマネジメントが求められています。
心理的安全性を育むマネジメント
Z世代が安心して働き続けるためには、職場における「心理的安全性」を高めることが不可欠です。心理的安全性とは、失敗や弱さを見せても責められたり否定されたりせず、自分の意見を安心して発言できる状態のことを指します。特にZ世代は、他者との比較や評価に敏感である一方で、自分らしさや自己表現も大切にする傾向があるため、この安全性のある職場環境が仕事の継続意欲やエンゲージメントにも直結します。
では、どうすれば心理的安全性を育むことができるのでしょうか。ひとつの鍵となるのが、マネジメント層の関わり方です。ただし、上司がすべてを受け止める必要があるわけではありません。重要なのは、「意見を否定しない」「課題があれば一緒に考える」「改善を責めるのではなく支援する」といった、対等で建設的な関わりです。これは、部下の自立を促す姿勢にもつながり、上司の負担を過度に増やさずに、信頼関係を築いていくアプローチでもあります。
また、心理的安全性を高めるためには、行動のプロセス自体を肯定する姿勢が欠かせません。たとえ結果がうまくいかなかったとしても、「挑戦したこと」「意見を発したこと」「一歩踏み出したこと」自体が価値あるものとして受け止められる環境が、安心して行動できる土台になります。上司や周囲のメンバーがその過程に目を向け、努力や思考を丁寧に承認することで、Z世代は「失敗しても大丈夫」「自分の存在が認められている」と感じられるようになります。こうした空気感が、継続的なチャレンジ意欲や職場への信頼感を育てていくのです。
加えて、心理的安全性は一人の上司だけでつくるものではなく、チーム全体の文化として育てていくことも大切です。メンバー同士が支え合い、相互にフィードバックし合える雰囲気があると、孤立や不安が軽減されます。こうした文化の醸成には、上司が率先して自己開示をしたり、失敗談を共有したりすることが有効です。あえて完璧であろうとしない姿勢が、Z世代の共感を呼びやすく、チーム全体に安心感を与えることにもつながります。
心理的安全性のある職場とは、誰もが自分らしくいられ、成長に向けて挑戦できる場所。Z世代が中長期的に働き続けるには、この土台づくりが何よりも重要なのです。
1on1面談・定期的なフィードバックの効果
Z世代との信頼関係を構築し、定着につなげるうえで、1on1面談や定期的なフィードバックは非常に有効なアプローチです。特にZ世代は、自分の考えや気持ちを丁寧に聞いてもらえる環境を重視し、個別に向き合ってもらえることで安心感を覚える傾向があります。1on1では、業務の進捗確認だけでなく、日々の悩みや将来への不安、キャリアに対する考えなど、業務外のテーマにも耳を傾けることで、相手の価値観や思考のクセを理解しやすくなります。
また、フィードバックは「評価の伝達」ではなく、「成長を支援するためのコミュニケーション」として位置づけることが大切です。Z世代は、自分がどのように評価されているかと併せて、「今後どう成長できるか」「何を改善すれば次のステップに進めるか」といった未来志向の情報を求める傾向があります。そのため、結果だけでなく、行動のプロセスや取り組み姿勢にも触れながら、具体的かつ建設的なフィードバックを行うことが有効です。
たとえば、成果が出なかった場面においても、「どのような工夫をしていたのか」「何が壁になっていたのか」を一緒に振り返り、次に活かせる視点を与えることで、本人にとって前向きな経験になります。逆に成果が出た場合も、「なぜうまくいったのか」「どの行動が効果的だったか」を言語化して伝えることで、成功体験を再現可能なものとして定着させることができます。
こうした面談やフィードバックの機会を「一方的な指導」ではなく、「対話を通じた相互理解の場」とすることで、上司と部下の関係性がよりフラットかつ協働的になります。Z世代にとっては、対等な関係の中で自分の意見が尊重されていると感じられることが、モチベーションの維持にも直結します。結果として、信頼をベースにした健全な人間関係が築かれ、離職防止につながっていくのです。
人材定着を成功させるための取り組み
Z世代の離職を防ぐためには、日々の関わり方や職場環境づくりに加え、企業全体としての仕組みや文化を見直す必要があります。目先の待遇だけでなく、長期的に安心して働ける基盤が整っているかどうかが、定着率に大きく影響します。また、若手社員が自身の成長を実感しながら働ける環境を提供することは、エンゲージメントを高めるうえでも欠かせません。
この章では、Z世代にとって「働きがいのある企業」とはどのようなものかを明らかにしながら、離職防止に向けた取り組みや、その成果を測定し改善していくためのポイントについて解説していきます。
離職防止の具体策と継続支援
人材の定着を図る上で、離職の「予防」と「継続支援」は不可欠です。Z世代に限らず、若手社員は入社後の数年間がキャリアの分岐点となりやすく、不安やミスマッチを感じやすい時期でもあります。そのため、初期段階でのフォロー体制を整えることが、離職の抑制につながります。
たとえば、入社後半年間はオンボーディングとして先輩社員が週1回フォローする体制を設ける、1年経過後にはキャリア面談を実施するなど、時間軸に応じた段階的な支援が有効です。さらに、業務の忙しさに埋もれないよう、社員の声を定期的に拾い上げる「キャリアアンケート」や「エンゲージメントサーベイ」なども有効な手段です。
支援のポイントは、表面的なケアで満足せず、その後の継続的な成長・活躍まで見据えた仕組みであること。Z世代は「育ててもらっている」と感じられることで信頼関係が深まり、早期離職のリスクが軽減されます。
定着施策の効果測定と改善サイクル
定着に関する施策は、導入して終わりではなく、実施後の効果測定と改善サイクル(PDCA)が欠かせません。たとえば、離職率や平均在籍年数の推移、面談時の満足度調査、エンゲージメント指標など、定量・定性の両面から結果を分析することが重要です。
また、施策の成果を可視化することで、社内への説得力も高まります。たとえば、「1on1実施率の向上により、3年目社員の定着率が20%改善」など、具体的な数値で示すことができれば、経営層や他部署への横展開も行いやすくなります。
さらに、Z世代の価値観は変化も早いため、定着策も“つくって終わり”ではなく、“動かしながらアップデート”する視点が求められます。施策の振り返りを年に1回のイベントとして終わらせるのではなく、半年ごとの見直しや、現場の声をもとにしたマイクロ改善を積み重ねていくことが、定着力の高い組織づくりにつながります。
ホワイト企業化とZ世代への安心感
Z世代は、自身の働く環境に対する「安心感」を重視します。そのため、制度や働き方の面で“ホワイト企業らしさ”を感じられるかどうかが、企業選び・定着意欲に大きく影響します。
ここでいうホワイト企業とは、単に労福利厚生が整っていることや残業が少ないことではなく、「公正な評価制度がある」「キャリアの見通しが立つ」「安心して相談できる体制がある」といった、長く働くうえでの土台が整っている組織を指します。
また、Z世代はSNSや口コミで企業情報を収集する傾向があるため、社内外への透明性も重要です。オープンな情報発信や、実際に働く社員の声が発信されていると、安心して応募・定着につながるケースも少なくありません。企業側としては、外向けの広報だけでなく、社内に向けた安心の仕組みづくりが先決です。育成・評価制度、ハラスメント防止、フィードバック文化など、日常の中に信頼される制度・文化を根付かせることが、結果的にZ世代の定着を後押しします。
Z世代と歩むこれからの人材マネジメント
Z世代の理解が人材戦略を変える
Z世代の価値観や働き方への考え方は、従来の世代とは大きく異なります。自由や柔軟性、自己成長へのこだわり、そして「納得感」を重視する姿勢は、従来の人材マネジメントに見直しを迫るものとなっています。企業にとって、こうした変化を正しく理解し、対応していくことは、人材戦略全体を見直す起点にもなり得るのです。
Z世代の離職を防ぐには、単に彼らの要望に応えるのではなく、企業として「どんな経験を積ませるべきか」「どんな力をつけてもらいたいのか」という視点を持ち、成長の方向性を丁寧にすり合わせていくことが不可欠です。一方通行ではなく、双方向の関係性の中で、社員一人ひとりが自らのキャリアに主体性を持てる環境を作ることが、企業の未来を支える人材の定着へとつながっていきます。
企業文化のアップデートがカギ
これからの時代、企業の持続的成長には、制度や仕組みだけでなく、組織の価値観や文化そのものをアップデートすることが求められます。Z世代が求めるのは、単に「働きやすい」環境だけでなく、「自分の存在意義を感じられる」環境です。理念やビジョンへの共感、納得感のある対話、そして一人ひとりが自分の役割を理解できる組織は、高いエンゲージメントを生み出します。
加えて、今後の企業経営においては、AIや自動化といったテクノロジーの進化、多様性の受容、そしてメンタルヘルスへの配慮といった要素も避けては通れない課題です。特にZ世代は、こうした社会的なテーマにも強い関心を持っているため、企業としての姿勢が明確であることが信頼や定着にもつながります。
人材戦略を「採用」と「研修・育成」に分けて考えるのではなく、入社からマネジメント層への成長までを一貫して描く。そんな戦略的な取り組みこそが、これからの企業に必要とされていくでしょう。
まとめ
Z世代との向き合い方を考えることは、単なる若手社員のマネジメントにとどまらず、組織全体の価値観や人材戦略のアップデートにも直結します。従来の評価軸やキャリアモデルにこだわりすぎず、多様な働き方や個人の納得感を重視した環境づくりが、今後の企業競争力を左右するといっても過言ではありません。
特に、AIや自動化の進展、社会の不確実性、メンタルヘルスやダイバーシティへの関心の高まりなど、企業を取り巻く外部環境は急速に変化しています。こうした時代の中でZ世代と向き合うことは、未来の働き方に対応する企業文化の再構築にもつながっていくはずです。
Z世代が安心して挑戦し、成長し続けられる職場環境を整えることは、結果として企業全体の活性化にも寄与します。画一的な対応ではなく、一人ひとりに向き合う姿勢を持つことが、これからの人材マネジメントにおける最も大きなカギになるでしょう。
若手も管理職も、成長を実感できる研修を


「何年も同じ研修を繰り返しているけど効果が出ているのかな?」
「研修後の振り返りがないから、学びが定着しない気がして…」
「OJTをやって終わりだけど、それだけで成長を促すのは難しい」
若手や管理職の育成は、どの企業にとっても大きなテーマです。「新人がなかなか定着しない」「OJTだけでは限界を感じる」など、同じようなお悩みを抱える企業も少なくありません。
アクシアエージェンシーの研修サービスは、そうした声に寄り添いながら、現場で本当に役立つ力を育てることを大切にしています。
アクシアエージェンシーの人材育成・研修サービスの特徴
- 一度きりで終わらない研修設計で、学びを定着させる仕組みを提供
- 動画やフォローアップで、現場での行動変化まで伴走
- 採用支援から育成・定着まで一気通貫で見える人材課題を解決
- 法人営業や人事経験を持つ講師が担当し、現場に即した実践的な学びを提供
研修の形は企業ごとにさまざまです。まずは貴社の状況や課題をお聞かせください。最適な研修プランを一緒に考えていきます。お気軽にご相談ください。
監修者情報

ビジネスソリューションユニット 研修開発グループ
中井 美沙
株式会社アクシアエージェンシー新卒入社。求人広告営業として大手中小企業の採用活動に携わる。2020年人事コンサルティング会社へ出向し研修企画実施や人事評価制度運営などに従事。2022年に研修開発部立ち上げに参加。人事部と兼務しながら社内の人材育成、人事評価制度運用、人事面談、社内外の研修企画実施などに従事。国家資格キャリアコンサルタント取得。株式会社アナザーヒストリー プロコーチ養成コーチングスクール修了。