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2023.3.30.Thu

       

VUCA(ブーカ)時代における若手社員の育成ポイントとは?これからの時代に学ぶべきことを育成事例を交えてご紹介します

令和の時代に入り、AIやIotなどデジタル技術の発展や紛争などの国際情勢、地球環境の変化などにより、将来の予測が困難な世の中になってきています。

かつての常識は意味を成さなくなり、若手社員の育成についても、過去の踏襲では時代についていくことはできません。

その象徴的な言葉として使われている「VUCA(ブーカ)時代」について理解するとともに、今後若手を育成していくにはどのようなポイントを意識しなければならないのかについてわかりやすく説明いたします。


VUCA時代を知り、育成のポイントを考える


VUCA時代は、下記4つの英単語の頭文字から取られた造語です。混沌とした、予測不可能な時代を表す単語として使われています。

・Volatility:変動性
・Uncertainty:不確実性
・Complexity:複雑性
・Ambiguity:曖昧性



Volatility:変動性

時代の変化は一過性のモノではなく、地球全体を大きなうねりとなって覆いつくしています。変化に対応できないビジネスはあっという間に衰退していく、変化の激しい世の中となっています。

Uncertainty:不確実性

気候変動、自然災害の増加、少子高齢化とそれに相反する人口爆発、地域紛争、新たなエネルギー争奪戦の勃発など、様々な外的要因を経済界情勢は抱えています。

この先、何が起こるのかを予想するのは非常に困難であり、不確実な情勢は今後も続いていくでしょう。

Complexity:複雑性

変動制が高く、不確実な要因が複雑に絡み合っているため、過去の問題解決方法をそのまま応用することはできません。例えば成功事例について理由を考えても、答えがはっきりとわからない状態が増えています。しかし確実に、新しい成功事例は発生し、急成長を遂げているという事実は増えています。

Ambiguity:曖昧性

「Volatility:変動性」と「Uncertainty:不確実性」が「Complexity:複雑性」を生み、曖昧な状態により拍車がかかっています。

最適解が見つからないため、自社内で新しいビジネスを育てるのではなく、曖昧さのリスクがある程度排除された状態のベンチャー企業を買収するなどのケースが増えています。


若手育成の研修で学ぶべきことは何か


新入社員研修などの若手に向けた研修は毎年定期的に行われており、ルーティン化しがちですが、新しい時代についていくためには学ぶべきことが発生しています。

具体的に詳しく説明していきましょう。

◆ PDCAサイクルからOODAループへ


様々な業界のビジネスシーンにおいて用いられてきたフレームワークとして、「PDCAサイクル」という概念があります。

・Plan(計画)
・Do(実行)
・Check(測定・評価)
・Action(対策・改善)

仮説を立てて実行し、検証して改善策を探すというサイクルを循環させ、マネジメントの精度を高めようという考え方です。

VUCA時代においては、的確な状況判断に基づく迅速な意思決定が求められるため、時間をかけて仮説検証する時間がありません。

そこで着目され始めたのが、「OODAループ」というフレームワークです。

・Observe(観察):市場や顧客など外部環境を観察して生データを収集する
・Orient(状況判断):収集した生データを基に現状を把握・理解する
・Decide(意思決定):具体的な方針やアクションプランを決める
・Act(実行):決まったことを迅速に実行する

仮説検証をベースにした「PDCAサイクル」との一番の違いは、観察・収集したデータを基に状況を分析し、現状を把握した上で計画を立て、すぐに意思決定を行い実行することにあります。
意思決定の思考サイクルを、若手社員にまずは身に付けさせることが肝要です。

◆ データから状況を把握する力


OODAループは市場や顧客など外部環境を観察して生データを収集するところから始まります。その施策として注目されているのがデータサイエンスです。

観察することで得たデータを利用できる情報として抽出・分析することで、既成概念では対処できなかった問題を科学的根拠をもって解決することが出来るようになります。

これからのビジネスマンは、少なくとも必要なデータを選択し抽出する力、そして分析することで解答を導く力を会得しなければなりません。



◆ リーダーシップの正しい理解


リーダーシップと聞くと組織の上に立つマネジメント層が持つべき「カリスマ性」に近い能力であり、生まれ持った素養だと思われていますが本質は全く違います。

リーダーシップとは、誰もがトレーニングによって身に付けられる能力です。

立場や年齢に関係なく社員それぞれの価値観や能力を活かし、新たな挑戦を行っていく必要があるVUCAの時代では、全ての社員にリーダーシップが求められます。

リーダーシップとは組織や集団に属しているメンバーに対し、ビジョンや目的、方向性に皆が向かっていくように影響を与えることです。
新しい時代に即したアイディアを実行するためには、若手社員がリーダーシップを発揮するようにしていかなければ、イノベーションが起こるわけがないからです。


若手社員の育成事例を紹介


ここでは若手社員の育成を実施している会社の事例を紹介します。

◆ 株式会社IHI


デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたデータ活用を容易にするために、データを分析し価値に変えることができる人材の育成を推進しています。

具体的には、全ての事業部門がAI・データ分析を活用できるようになるために、2018年より外部企業と連携して、社内に導入したデータ分析ツールを実際に利用するための方法の教育に力を入れています。

2018年から2021年度までに、AI・データ分析講座を受講した社員は、IHIグループ全体で累計650名となっており、2023年には1000名の受講を目標に動いています。

また、データ分析の独創性やアイディアを競う「AIコンテスト」を開催し、現場から業務にデータサイエンスを活用するマインドを育て、若手のリーダーシップを醸成しようとしています。

参考:DXを支えるツール展開と社内データアナリスト育成

◆ サントリーグループ


サントリーグループがグローバルに発展していくための人材育成プログラムとして、2015年4月に「サントリー大学」を開校しました。

強いビジネスリーダーを継続的に育成していくためのカリキュラムも用意されています。
例えば、GLDP(Global Leadership Development Program)と呼ばれるプログラムは、グローバル市場でも負けないリーダーを輩出することを目的に、サントリーグループ全体から選抜されたチームリーダー層を対象に行われています。

2021年には、ケンブリッジ大学とパートナーシップを組んで、約8ヶ月にわたるプログラムを実施していますが、次世代リーダーシップマインドセット、自己認識などの理解を中心に、ケンブリッジ大学の教授や外部の専門家による講義を行いました。

ますます加速するグローバル社会における経営のリーダーを育成することを重点に、施策を考えている様子が伺えます。

参考:人材育成 - サントリーグループ


まとめ


若手社員の育成といえば、多くの企業が下記のような項目について実施してきました。

・事業目的や企業理念に対する理解
・組織内、及び社外に対してのの立ち振る舞い
・社会人としてのマナー
・企業コンプライアンスの理解

価値観の共有や人間関係の育成、社会人としてのモラルなど必要な項目ばかりですが、これだけではますます競争が激化する社会で企業が生き残っていくことはできません。

様々な変化が世の中で起こっていますが、その荒波を乗り切るために、若手社員に何を学ばせていくべきなのかについて育成目標をしっかりと掲げて取り組んでいただけたらと思います。

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編集・執筆/株式会社アクシアエージェンシー 採用コンサルティング事業部

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