ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングは、企業が人材紹介会社や転職サイトを通さず、直接求職者にアプローチして採用を行う手法です。従来の採用手法では、求人広告を掲載し、求職者からの応募を待つ受動的な形が一般的でしたが、ダイレクトリクルーティングでは企業が積極的に候補者をリサーチし、ターゲットとする人材に直接アプローチすることで、効率的かつ戦略的な採用活動が可能になります。
この手法は、中途採用と新卒採用の両方で活用されており、特に優秀な人材を確保するための競争が激化している業界では、ますます重要な手段となっています。
中途採用市場では、ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトなどが代表的で、企業は即戦力となる人材をターゲットにしています。新卒採用市場では、OfferBoxやdodaキャンパスが有名で、企業は市場に出る前の優秀な学生を早期に発掘し、関係を築いています。
さらに、LinkedInやX(旧Twitter)、Facebook、InstagramなどのSNSを活用した採用活動が急速に広がり、企業のブランディングと採用活動を一体化させる流れが生まれています。また、AIを活用したスクリーニングやパーソナライズされたスカウトメールなど、テクノロジーの進化により、ダイレクトリクルーティングの精度は年々向上しています。
ダイレクトリクルーティングの市場規模
市場規模の推移と予測
ダイレクトリクルーティングの市場規模は、近年急速に拡大しています。2022年度には市場規模が約872億円に達し、2023年度には約1074億円に成長しました。この成長率は約23.2%に上り、ダイレクトリクルーティングが企業の採用戦略の中心的な手法となりつつあることがうかがえます。
2024年度には市場規模が約1275億円に達する見込みで、前年から約18.7%の成長が予想されています。この増加は、ダイレクトリクルーティングの利用がさらに広がり、企業の採用活動がより戦略的かつ積極的になっていることを反映しています。

出典:「ダイレクトリクルーティングサービス市場に関する調査を実施(2024年)」株式会社矢野経済研究所
特に日本では、少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化しており、優秀な人材を確保するため、多くの企業がこの手法を積極的に取り入れています。この成長の背景には、いくつかの要因があります。
- 採用コストの削減
人材紹介会社を介さずに採用することで、紹介手数料を抑えられるため、企業にとってコストメリットが大きい。 - 採用競争の激化
少子高齢化による労働力不足を背景に、企業が優秀な人材の確保に向けて積極的な採用活動を行っています。 - テクノロジーの発展
AIを活用したスカウトの自動化や求職者の行動データ分析により、より精度の高いマッチングが可能になっています。 - 企業ブランディングの重要性
ダイレクトリクルーティングにより、企業の魅力を直接求職者に伝えることができ、求職者とのエンゲージメントが高まり、より適切なマッチングが実現します。
今後、企業がダイレクトリクルーティングをより効果的に活用するためには、ターゲット層を明確にし、適切なプラットフォームを選定した上で、効果的なアプローチ方法を確立することが重要です。
ダイレクトリクルーティングの今後のトレンド
ダイレクトリクルーティングの市場が広がるなかで、今後どのような変化が起こるのか、注目すべきポイントをいくつかご紹介します。技術の進化や求職者の行動の変化により、企業の採用のあり方もますます進化していくと考えられます。
①AI・データ活用の加速
AI(人工知能)やデータ分析の活用が進み、企業がより的確に候補者と出会えるようになってきました。たとえば、求職者のスキルや経験、行動傾向をもとに、AIが自動でスカウトを送るといった機能も精度が高まっています。
さらに、これまでの採用データを振り返ることで、どのような職種やスキルを持つ人材が活躍しているのかを把握でき、採用の方針もより明確に立てやすくなっています。こうした取り組みにより、これまでよりも効率的に、自社に合う人材と出会える可能性が広がっています。
②SNS・動画コンテンツの活用拡大
最近では、求職者が情報を集める手段として、SNSや動画コンテンツの存在感がぐっと増してきました。特に若い世代は、企業の公式サイトよりも、InstagramやTikTok、YouTubeといった媒体を通じて企業のことを知ることが多いようです。こうした背景から、企業側もダイレクトリクルーティングの一環として、SNSを活用した採用マーケティングに力を入れるようになっています。
SNS活用の具体的な取り組み例
- YouTubeで企業紹介や社員インタビューを配信し、会社の雰囲気を伝える
- TikTokやInstagramのストーリー機能で、オフィスの様子や仕事風景を日常的に発信する
- LinkedInやX(旧Twitter)で、専門性のある内容を発信し、求職者とのつながりを深める
このような発信によって、企業は求職者にとって身近で魅力ある存在として認知されやすくなります。
③内部リファラル採用(リファラルリクルーティング)の拡大
社員の紹介による採用、いわゆるリファラルリクルーティングの注目度が高まっています。企業文化をよく理解している社員が候補者を紹介することで、早期離職のリスクが低くなり、定着につながりやすいというメリットがあります。
また、ダイレクトリクルーティングとリファラル採用を組み合わせることで、採用の質をさらに高めることが可能です。
社内ネットワークを活かした具体例
- 社員がSNS上で採用情報を発信し、知人や友人に広める
- 社内にインセンティブ制度を設け、紹介を促す仕組みをつくる
- 社員同士のつながりを可視化し、AIなどの技術を使って潜在的な候補者を見つける
こうした取り組みを通じて、人材の流動性が高まるなかでも、自社にマッチする人材と出会える可能性が広がります。
④グローバル人材へのアプローチ強化
リモートワークが一般化したことで、企業の採用活動は国内にとどまらず、海外へと広がりつつあります。なかでも、ITエンジニアやデータサイエンティストのような専門性の高い職種では、世界中の人材を対象にした採用競争がより活発になっています。
ダイレクトリクルーティングを活用すれば、海外在住の候補者に対しても、企業が直接アプローチできるようになります。
- LinkedInを使ったグローバル人材のスカウト
- 多言語対応のスカウトメールや、オンラインでの面接ツールの導入
- 海外在住のリモートワーカーを想定した求人枠の設定
こうした取り組みにより、企業は国境を越えて、多様なバックグラウンドを持つ人材と出会えるチャンスが広がっています。
⑤採用プロセスの自動化とDX(デジタルトランスフォーメーション)
採用業務をより効率的に進めるために、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが企業の間で広がっています。その結果、ダイレクトリクルーティングの進め方にも変化が見られるようになってきました。
DXによる採用プロセスの具体的な変化
- AIを活用した候補者のスクリーニング
- チャットボットによる候補者への自動応答
- オンライン面接や適性検査の導入
- 採用データを可視化し、状況をリアルタイムで分析・改善できるダッシュボードの活用
こうした仕組みを取り入れることで、これまで時間がかかっていた選考プロセスをスピーディーかつ精度高く進めやすくなってきています。
⑥候補者エクスペリエンス(CX)の向上
求職者の体験(CX:Candidate Experience)が、採用の成否を左右するほど重要視されるようになってきました。企業にとっては、スカウトを送るだけでなく、応募しやすい環境づくりや、心地よい体験を提供することがこれまで以上に求められています。
求職者にとって心地よいプロセスとは?
- 応募の手間を減らす工夫(ワンクリック応募など)
- スピーディーで丁寧なレスポンスと、相手に合わせた対応
- 面接の前後で不安が残らないよう、きめ細かなフォロー
⑦AIによるパーソナルメッセージ作成で返信率を大幅に改善
AIを活用したパーソナライズメッセージの自動作成により、ダイレクトリクルーティングの成果が大きく変わりつつあります。たとえば、スカウト対象者のレジュメや過去の応募履歴などをもとに、AIが一人ひとりに合ったメッセージを作成することで、開封率や返信率の向上が期待できます。
アクシアエージェンシーでは「AI Insight Lab」という仕組みを開発・活用し、ターゲットに合わせた件名や本文の調整を行うことで、実際に既読率や返信率の改善が確認されています。
AI Insight Labの活用例

自社の求人情報とスカウト対象者のレジュメを入力することで、候補者ごとに適したスカウト文面を自動で作成する仕組みです。内容が個別に調整されることで、開封率や応募率の向上につながります。
AI Insight Labの効果事例

新卒採用において、Offer Boxを通じたスカウト活用の取り組み事例です。
25卒採用では、担当者がレジュメを一件ずつ確認してメッセージを送付しており、オファー承諾率は4.2%でした。一方で、26卒採用ではAI Insight Labを用いて自動作成されたメッセージを活用したところ、オファー承諾率は8.3%まで改善されました。

AIでスカウトの開封率・返信率を最大化
求人情報と求職者レジュメを掛け合わせ、AIが最適なスカウト文面を自動生成。対象者ごとのカスタマイズにより「自分宛」と感じさせ、開封率・返信率が飛躍的に向上。dodaやGreen、リクナビなど主要データベースに対応し、あらゆる採用戦略に柔軟に活用可能です。
料金
個別スカウト100通あたり10万円~
今後の展望
ダイレクトリクルーティングの重要性は今後も高まると考えられます。より高度な戦略やテクノロジーの取り入れが、これまで以上に求められるようになるでしょう。企業にとっては、AIやデータをうまく活用しながら、求職者とのコミュニケーションの取り方も工夫していくことが大切です。
また、採用市場の変化に適応するためには、柔軟な採用手法の導入や、リファラル採用の強化、グローバルな採用戦略の拡大が不可欠です。ダイレクトリクルーティングの進化に対応し、より効果的な採用活動を展開することが、今後の企業の成長を左右する重要な要素となるでしょう。
企業が競争力を維持し、優秀な人材を確保するためには、これらのトレンドを適切に活用し、戦略的な採用活動を展開することが不可欠です。今後のダイレクトリクルーティングの動向に注目しながら、自社に最適な手法を取り入れていきましょう。
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監修者情報

ビジネスソリューションユニット ユニット長 / マーケティング事業部 事業部長
神津秀明
人材業界における20年の経験を持つ採用コンサルタントとして、大手企業の採用課題解決(新卒採用、中途採用、アルバイト採用、派遣採用)に数多く取り組んできました。特にIndeedを活用した採用マーケティング領域の事業責任者として、Indeedの運用ノウハウと採用WEBマーケティングの知見を生かし、多様な企業の採用活動を支援しています。
採用ブランディング、採用力向上、ダイレクトソーシング、SNSマーケティングなど、採用活動を多角的にサポート。Indeed広告の効果的な活用方法や運用改善を通じて、企業の採用成功を実現するための実践的なノウハウを提供しています。採用におけるデジタルマーケティング戦略の策定と実行において、企業の課題解決と目標達成をサポートするエキスパートです。