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2023.12.7.Thu

       

新入社員研修は内製と外部委託とではどちらにするべきか、おすすめの内容を徹底解説

新入社員研修は内製と外部委託とではどちらにするべきか、おすすめの内容を徹底解説

「人事が採用活動に追われているので、研修は外部委託にしようか迷っている」
「社内で業務改革を行っているのを機に、新入社員研修の内容を見直したい」

人事担当者は限られた人員の中で、常に業務の効率化を求められています。何を外部委託して何を内製化すべきなのか、常に判断に迫られています。

そこで今回は、毎年必ず行わなければならず、実施時期が決まっている新入社員研修について、内製すべきか外部委託すべきかを迷っている人事担当者に対して、それぞれのメリット・デメリットを解説したうえで、おすすめの内容をご紹介していきます。

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新入社員研修を見直すべき理由


新入社員研修とは、社会人として初めて入社した社員に対して行う、社員育成の手法です。毎年4月の入社直後のタイミングで研修を行い、社会人としての心構えやビジネスマナーなどを学ぶことが主目的であるため、内容の検討をせずに同じ内容で繰り返してしまう傾向にあります。

しかし社会情勢が大きく変化する世の中においては、時世に合った内容に見直す必要が出てきます。

◆ビジネスモデルの変化


IoT(Internet of Things)ビッグデータ人工知能(AI)などのデジタル技術の飛躍的発展により、新たなビジネスモデルや社会常識の変革につながる第4次産業革命は加速的に進行しています。その結果、対面での対応が上記であったレジや販売窓口の無人化や、インターネット上での商品・デジタルコンテンツ売買(EC:Electronic Commerce)の普及など、今までの常識を覆す大きなビジネスモデルの返還を迫られている業界が多数発生しています。

従って、常に最新の状況に合わせた内容を新入社員に教育する必要が出てきています。

◆DX推進


日本社会におけるDX(Digital Transformation)推進が遅れた状態で2025年を迎えた場合、最大で年間12兆円の経済損失が発生すると経済産業省がレポートをあげているように、企業が競争力を維持するためには、変化に対応できるDX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成が不可欠です。

現職の社員のほとんどがDXリテラシーを持っていない会社も多いため、DX推進に関しては新入社員が先頭を切って実施していくような感覚で、教育を施す必要が出てきています。

◆リモート手法の積極活用


新型コロナウィルスが蔓延した際の緊急対応として、世の中に直接対面することを前提としないリモートによるコミュニケーションが普及したことで、日常化した分野が発生しました。今までは研修対象の社員が全員同じ場所に集合して研修を行わなければならず、特に時間や実施場所が制限されたわけですが、リモート手法を活用すれば予算や時間、実施場所に制限されることなく、様々な研修を実施することが可能となりました。

その結果、実施する内容のみならず、実施する手法についても再検討が必要となったというわけです。


研修の外部委託とは


研修業務を社外の専門会社に外部委託(アウトソーシング)することを指します。
研修の企画から実行まで全てを委託するケースもあれば、一部業務のみ(例えば講師のみといったケース)を依頼するケースもあります。

◆外部委託のメリット


研修を外部委託する具体的な2つのメリットについてご紹介しましょう。

他の人事業務を止めなくても良くなる

新入社員研修を全て自社で行おうとした際には、人事担当者は数日間研修に貼りつかなければならなくなるため、日常業務を止めなければならなくなります。しかし、2023年現在の新卒採用業務は1月~5月あたりに業務が集中しているため、止めることはできません。外部委託を活用すれば、採用業務を含む日常業務を行う時間が確保できるようになります。

自社にノウハウがなくても研修を実施できる

初めて新卒採用を開始した会社などは特に、自社の中に新入社員研修についてのノウハウや知識がないわけですが、外部のプロフェッショナルに委託することで新入社員研修を行うことが可能になります。

◆外部委託のデメリット


研修を外部委託する具体的な3つのデメリットについて詳しく解説しましょう。

自社の社風や文化に合わない可能性がある

会社にはそれぞれ社風や企業文化がありますが、外部委託する企業が必ずしも合致するとは限りません。例えば顧客対応について、研修で習ったことが現場では全く通用しないというようなケースも発生するわけです。それを防ぐためには、研修を開始する際に言葉使いなど詳細にわたり、綿密にすり合わせを行わなければならず、かなりの時間を必要とします。

できれば、人事業務の閑散期にこれらの作業は済ませてしまうようにしましょう。

経営陣が費用が高いと感じる可能性がある

研修を行うためには、前準備などでかなりの時間が必要となるため、実際に研修を行う期間が短い割には高額の費用がかかることとなります。これを経営者が高いと感じてしまい、継続が難しくなることがあります。

ノウハウが自社に蓄積できない

業務効率だけを求めて研修の内容までの全てを丸投げしてしまうと、プロのノウハウを学ぶ機会を放棄することとなり、自社内にノウハウが蓄積されません。また、研修後の効果検証を行ったり、追加で研修を行おうとしても、実施時の目的などが理解できてなければ、継続性のある施策を打つことはできません。

社員教育は新入社員研修で終わりではなくスタートです。継続的な教育を行うためにも、ノウハウの蓄積なども視野に入れて、委託先の業者と並走すべきことは一緒に並走するようにしましょう。


研修の内製とは


研修の企画から実行(講師含む)まで、全ての業務を社内の社員で完結させるかたちで行うことを指しています。

◆内製のメリット


研修を内製する具体的な3つのメリットについて詳しく解説しましょう。

自社の状況に合致したプログラムが組める

自社の社員が企画から実行まで全て行うことになるので、自社の方針に沿って研修を実施することができます。例えば、講師も自社の社員ですので、現場の業務との乖離を生む心配もありませんし、企業理念・企業文化を浸透させることも可能です。

また、事業の状況や経営陣の方針に合わせて即時にプログラムの変更することもできる臨機応変さも、運営する人事側にはメリットになるでしょう。

講師を担当した社員の自己成長につながる

研修を内製で実施するほとんどの場合、講師を社員から抜てきすることになるため、任命された社員自身は成長の機会を得ることができます。人に何かを教える場合は、自分の中で積み重ねてきた手法や経験を言語化しなければなりません。その過程において自分の頭の中が整理され、学んできたことが再現性のあるノウハウとして消化できるのです。

また、分かりやすく説明するためにはどうしたら良いのか、といったことを考え、実践し、フィードバックを得ることで、プレゼンテーション力やコミュニケーション力も磨くことができます。さらに社員の性格によっては、講師に任命されることを名誉と感じ、モチベーションが向上することも期待できます。

入社後すぐにローモデルに触れることが出来る

新入社員が社内講師に触れた際、自分も将来その講師のようになりたいと思わせることが出来れば、入社直後にローモデルに触れることとなり、新入社員のモチベーションアップにつながります。裏を返せば、期待を裏切ってしまった場合、新入社員の夢や希望を損ねてしまうことにもなりかねません。

社内で講師をたてるのであれば、専門のトレーニングを受けさせてから実行させた方が良いでしょう。

◆内製のデメリット


研修を内製する具体的な3つのデメリットについて詳しく解説しましょう。

講師の手配が本業を圧迫しかねない

研修の講師を社内で手配することになるわけですが、任命された講師には必ず日常業務が存在しています。自分の仕事をこなしながら、一方で研修の準備をすることになった社員の負担は相当なものとなり、本業を圧迫しかねません。

新入社員研修は成功したが、実は各所の業務に支障が出たのでは意味がありませんので、講師以外の周囲も協力できるような体制でなければ、講師の内製は避けたほうが無難です。

人件費の高騰

内製すれば外部委託の費用がかからないので、一見経費削減につながっているように感じますが、内製化することで人事部門の社員の残業が増えてしまえば人件費が高騰してしまいます。また、過剰労働が原因で離職してしまう可能性も出てきますので、労務環境についての配慮を欠かさないようにしましょう。

社外からノウハウを得られない

全てを自社内で完結してしまうことは、自社が持っていない専門知識やスキル、ノウハウなどが習得できません。世の中で起こっている変化や、他社が取り入れて成功した手法など新たな視点を取り入れることができなくなるため、その状態が何年も続いてしまうと組織力の停滞につながりかねません。





新入社員研修はハイブリット型がおすすめ


新入社員研修は、内製か外部委託か、2択にする必要はありません。また、リモートなどを活用すれば、配属後のタイミングでも臨機応変に研修を実施することも出来ます。

新入社員は入社してすぐに全員一か所に集めて、とにかく必要なことを全て学ばせるという従来型の新入社員研修にこだわるのではなく、時期も場所も手法もハイブリット型で設計することがおすすめです。

◆外部委託すべき研修内容


ビジネスマナー研修

業界独自のルールもありますが、社会人としてのマナーやルールは共通していますので、自社独自の色を出す必要はありません。専門の業者に依頼し、学んだことをレポートとして提出させて、理解が足りない部分だけを補足するという形式で充分です。

営業系の職種でなければ、実戦形式での研修を必要としないので、オンライン研修でも十分間に合います。

リーダーシップ研修

リーダーシップはマネジメントと違い、組織上のマネージャーでなくても必要とされるスキルです。問題を解決するために正面から向き合い、人を動かし、行動することを実践できる力を身に着けることに重きをおいています。

特に若手社員はDX推進にはリーダーシップを発揮してもらう必要があるため、新入社員研修においてもリーダーシップ研修の導入は効果を発揮します。

コンプライアンス研修

インターネット上での様々なコンプライアンス違反が取りざたされ、ブランディングなどにも大きく影響する昨今では、コンプライアンスの根本から徹底的に理解しておく必要があります。コンプライアンスの意識を高めるためには最初が肝心ですので、新入社員研修では徹底して行うべきです。社内では問題意識がないようなことでも、実はコンプライアンス的に問題があるといったようなことがあるでしょう。人事としてコンプライアンスを学ぶという意味でも、一度は外部のプロによる研修を受けておいても損はありません。

新入社員が入社してすぐのタイミングでコンプライアンスの話を聞いてもピンと来るはずもありません。肝心なのは、実際に働きだした後、問題になりそうな場面に遭遇した際に気付くことが出来て、正しい行動が起こせるかどうかです。

理解度の確認を含めた後追い研修が大切となるわけですが、こちらに関しては実際の業務との関連性が高いので、内製で行うこともできる筈です。配属後でもリモートを活用すれば全員が集まることも可能ですので、全てを最初の研修で完結させようとするのではなく、時間差をつけた方が良いものに関しては、リモートなどを上手に活用して設計するように心がけましょう。

◆内製すべき研修内容


内製に適した研修は、その企業独自の知識やノウハウ、ルールに関することになります。また、外部研修での内容に自社独自の必要な項目を加える形での活用も有効となるでしょう。

企業理念やSDGsなどの理解

企業にはそれぞれ「生活を豊かにする」であるとか「人間の安全性を保証する」というような存在意義(事業目的)があります。それを言語化したのが企業理念です。また、SDGsとは、世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を2030年までに解決していこう」という計画・目標のことであり、各企業は自社のビジネスで取り組むべき「持続可能な開発目標」を設定しています。

これらについての理解を深めることは、忠誠心やモチベーションの向上、判断する際の指標の定着化などにつながるため、新入社員研修では欠かせない項目です。普段の仕事に追われるようになると忘れてしまいがちなことであるため、社員に今一度認識させるためにも、社内講師をたてて内製した方が良いでしょう。

DX推進やデータ活用などへの理解

社会構造の変化はほとんどすべての業界にビジネスモデルの改変を迫っています。データ活用やDXを中心としたイノベーションを起こすことに、業界の常識や経験は必要ありません。むしろ邪魔になる可能性の方が高いです。

それらのことを考えれば、DX推進は若者にリードさせるべきであり、その最たる適任者は新入社員であることが理解いただけるでしょう。現在会社が取り組んでいるDX施策を説明するのに留めるのではなく、デジタル技術の研修なども実施し、牽引者を育てていくべきです。

もし社内にデジタル技術のスキルがなければ、その部分を切り取って外部委託することも検討すべきかと思います。


まとめ


人事担当者は、上司や経営層に「新入社員研修を内製するべきか外部委託するべきか」について問われることがあると思いますが、もはやその2択で考えるのは意味がないということをご理解いただけたのではないかと思います。

それぞれのメリット、デメリットを考え、外部委託すべきことは任せる、自社で行った方が良いことは時間をかけても良いので自社で行うという方針で、柔軟に設計し直す時期にきているのだと考えます。もしかしたら、今会社が抱えている問題の解決方法が、新入社員研修を設計する中で見えてくるかもしれません。

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編集・執筆/株式会社アクシアエージェンシー HRコンサルティング事業部

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